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2018年1月12日発売

講談社

メタサイコロジー論

講談社学術文庫
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内容紹介
本書は、ジークムント・フロイト(1856-1939年)が1915年に執筆し、『メタサイコロジー序説』という表題で1冊の書物にまとめることを意図していた論文のうち、現存する5篇と草稿1篇を収録したものである。
1900年に『夢解釈』を発表して衝撃を与えたフロイトは、その後、「ドーラ」、「ハンス」、「鼠男」、「狼男」などの症例における臨床経験を経て、包括的な理論の構築を「メタサイコロジー(メタ心理学)」の名の下に企図した。精神分析にとって大きな画期となるはずだった『メタサイコロジー序説』は12篇の論文から成るものとして計画され、フロイトは1915年3月15日から5月4日までに5篇を執筆し、『国際精神分析雑誌』で発表する。それが本書に収録された「欲動と欲動の運命」、「抑圧」、「無意識」、「夢理論へのメタサイコロジー的補足」、「喪とメランコリー」である。
さらにフロイトは、3カ月後の8月9日までに残る7篇をも書き上げた。その爆発的な知的エネルギーには圧倒されるばかりだが、なぜかそれら7篇は公表されず、『メタサイコロジー序説』も幻の書物となる。「意識」、「不安」、「転換ヒステリー」、「強迫神経症」、「投影」、「昇華」、「転移神経症概要」という表題が知られる7篇はフロイト自身の手で破棄されたものと考えられていたが、しかし1983年、書物の掉尾を飾るはずだった第12論文「転移神経症概要」の草稿が発見された。本書にはこれも併せて収録し、1915年のフロイトに起きていた思想劇を最善の形で見ることができるようになっている。
各論文の表題に示されているとおり、ここでなされているのは「欲動」、「抑圧」、「無意識」、「夢」といった精神分析の根幹に関わる概念の再構築にほかならない。書物の形にすることを放棄したことに示されているように、フロイト自身はここからさらなる進展を遂げていくが、その出発点としてこれらの論文が存在していることは否定しようもない。現存するメタサイコロジー論文の日本語訳が1冊の形にまとめられるのは今回が初めてとなる。本書は、フロイトと同様、常にみずからの理論を刷新する第一級の分析家による渾身の訳書である。
目次
欲動と欲動の運命
抑 圧
無意識
夢理論へのメタサイコロジー的補足
喪とメランコリー
転移神経症概要[草稿]

訳者解題
訳者あとがき
著者略歴
ジークムント・フロイト(ジークムント フロイト)
1856-1939年。精神分析の創始者。独自の人間論・文化論を構想し、世界に不可逆的な変化をもたらす。主な著書に、『夢解釈』(1900年)、『精神分析入門講義』(1917年)など。
十川 幸司(トガワ コウジ)
1959年生まれ。精神分析家、精神科医。十川精神分析オフィス勤務。著書に、『精神分析への抵抗』、『精神分析』、『来るべき精神分析のプログラム』ほか。

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