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2018年1月11日発売

笠間書院

出版社名ヨミ:カサマショイン

サブジェクト・ライブラリアン

海の向こうアメリカの学術図書館の仕事
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内容紹介
海の向こうで、図書館員たちはどんな仕事をしているのか。
それは日本の図書館の参考になるのか。
ワシントン大学東アジア図書館勤務の著者が、はじめて体系的に紹介する、サブジェクト・ライブラリアンという仕事のすべて。

構成は、1 サブジェクト・ライブラリアンって何?―定義・歴史・その仲間たち―/2 サブジェクト・ライブラリアンになるには/3 日々どんな仕事をしているのか/4 こんな研修でスキルを磨く/5 キャリアステップを知る/6 変わりゆくライブラリアンの仕事と環境/7 サブジェクト・ライブラリアンたちへのインタビュー、の全7章。
微に入り細を穿ち、サブジェクト・ライブラリアンの仕事の全貌を語り尽くします。

【 この本では日本にはなかなか伝わっていない、米国のサブジェクト・ライブラリアンという制度を、私が今まで経験してきた日本研究専門のサブジェクト・ライブラリアンという立場から紹介していきます。
 サブジェクト・ライブラリアンは、日々、学生・研究者、日本の出版・図書流通関係の方々、それに図書館相互貸出部門やレファレンス、専門図書館員など日本の図書館の皆さんとも日々関わっています。この本での海外のサブジェクト・ライブラリアンの紹介で、日本の学生や研究者の皆さんに、図書館から受けられるバックアップについて知って頂くことで安心して渡米して頂けると嬉しいですし、出版社や図書流通関係者、また図書館関係者、図書館行政に従事している皆さんには、海の向こうの顧客・同業者がどんな仕事をしているか知って頂き、日々の仕事のお役に立てれば幸いです。】……「はじめに」より
目次
はじめに
サブジェクト・ライブラリアンとの出会い/ライブラリアンになりたい/本書が目指すこと

1 サブジェクト・ライブラリアンって何?―定義・歴史・その仲間たち―

1.サブジェクト・ライブラリアンとは
さまざまな種類があるアカデミック・ライブラリアン/サブジェクト・ライブラリアンの定義/サブジェクト・ライブラリアンのさまざまな呼び方の理由
2.米国の学術図書館とライブラリアンの歴史
(1)植民地時代―混沌の時代
植民地の学術図書館の初期の姿
(2)19世紀末から20世紀初頭―ライブラリアンが馬鹿にされていた時代から必要とされる時代へ
馬鹿にされていたライブラリアン/ライブラリアンカレッジ設立へ/変わる学術の世界、変わる図書館/C.C.ウィリアムソン・レポートと利用者サービス
(3)戦後―学術図書館とライブラリアンの発展
1950〜60年代/1960〜70年代/1970〜80年代/1990年代以降
(4)ライブラリアンの男女比・年齢層・人種民族などの歴史
給与が安く地位の低い職種/大学教育を受けた女性とライブラリアン/現在の男女比
人種・マイノリティの割合/進むライブラリアンの高齢化
(5)アカデミック・ライブラリアンの現在の雇用形態
3.「サブジェクト」の約160の研究領域
4.サブジェクト・ライブラリアンの仲間―誰と働くのか
(1)上司と東アジア図書館内の同僚
館長の仕事、そして上司としての館長/中国、韓国、日本研究のサブジェクト・ライブラリアン/購入専門家・カタロガー/貸出カウンター
(2)分野の近いサブジェクト・ライブラリアン
(3)貴重書室
(4)ライセンス・ライブラリアン
(5)IT部署
(6)フィナンシャル・サービス(Financial Services)
(7)贈与部門(Office of Advancement)
(8)PR部門(広報)
(9)人事部門
(10)購買目録サービス部門
(11)インター・ライブラリー・ローン (ILL) 課
(12)Digital Initiatives課
(13)学部の秘書
(14)寄贈書部門
(15)委員会で関わる同僚

2 サブジェクト・ライブラリアンになるには

1.募集要項から見る必要条件
(1)必要条件1―教育的な条件は何か
ライブラリースクールでMLS(図書館学修士)を取得するには/ライブラリースクールのプログラムの内容/MLS(図書館学修士)はサブジェクト・ライブラリアンの就職に必要か/博士号を持つライブラリアンの苦悩
(2)必要条件2―スキルや経験としての条件は何か
1 協調性/2 コミュニケーション能力/3 言語も含めた担当学問領域の知識/4 研究活動への精通/5 自立・率先性/6 優先順位や問題解決能力を含むプロジェクト管理能力/7 テクノロジー/8 担当学問領域の出版事情・資料に精通している/9 デジタルリサーチ能力/10 サービス精神/11 課題のリサーチ能力/12 図書館分野職や図書館の勤務経験/13 多様性(Diversity)へのコミットメント/14 教室教育の経験/15 専門的能力の開発、学会やトレーニングへの参加が一般的、学会会員になること/16 コレクション構築/17 創造性/18 レファレンス経験/19 データ管理能力/20 自己やプロジェクトを評価する能力/21 適応性・柔軟性/22 ユーモアのセンス/23 図書館普及活動(マーケティングの能力)
(3)ライブラリアンになることを決めたら準備しておくこと
(4)募集はどこに出るのか
図書館勤務の経験の少ない新卒にぴったり「レジデンスプログラム」
2.米国学術図書館への就職のプロセス―私の就職活動記から
1つ専門と呼べる分野の修士を持つべき/ワシントン大学図書館(セントルイス)の募集要項/選考はどのように進むか/履歴書と面接のプロセス/ワシントン大学図書館の面接プロセス/採用が決まったあと―条件交渉/引越しのサポート
3.おわりに
ライブラリアンになるのに向いている人は?

3 日々どんな仕事をしているのか

米国での一般的なライブラリアンのイメージ
1.コレクション構築
選書―コレクションに資料を足す作業/コレクションを構築するためのポリシー/コレクション構築に使う資料/図書購入出張(Acquisition Trip)とは/国立国会図書館のレファレンス協同データベース/Twitterからも情報を入手/資料の調達―アプルーバル・プラン(Approval Plan)/寄贈によってもたらされる資料/寄贈をして頂くと、ギフトレポートと礼状を発行/予算のこと(大学からの予算、資金調達、寄付を募る)/グラント(補助金・助成金)(1)―MVS助成金プログラム/MVS助成金プログラムの委員を経験する/グラント(補助金・助成金)(2)―アレン助成金(Allen Opportunity Award)/グラント(補助金・助成金)(3)―近代日本を知るための100冊(100 Books for Understanding Contemporary Japan)/グラント(補助金・助成金)(4)―韓国国際交流財団(Korea Foundation)/グラント(補助金・助成金)獲得のスキルをどう学ぶのか/予算管理と為替
2.レファレンス
学生からの質問/教授からの質問/コミュニティの利用者からの質問/ライブラリアンからの質問/オンラインレファレンスサービス/東アジア図書館に転送される質問/学際化・国際化のなかのレファレンス/日々質問にどう備えるのか/レファレンス協同データベースやリサーチ・ナビ/ライブラリアンのメーリングリスト、Eastlib、Japan Liaison
3.教授のサポート
リサーチサポート・ティーチングサポート/教授陣には調査結果を。大学生や大学院生には調査方法を。/ティーチングサポートと図書館
4.アウトリーチサービス
日本研究者会議(Japanologists Colluquium)/LibGuide(資料を集めたポータル)/新入生のオリエンテーション/大学院生向けオリエンテーション
5.インストラクション(図書館ワークショップ)
教授陣に「営業」をかける/指導と情報リテラシーワーキンググループ
6.学内外の委員会の活動
ダイバーシティ委員会(Diversity Advisory Committee)/パブリック・ウェブ・オペレーショングループ(Public Web Operations Group)/デジタル・ヒューマニティーズ・タスク・グループ(Digital Humanities Task Group)/ティーチング・ラーニング・留学生グループ(Teaching Learning International Students Group)/アレン特別助成金選考委員会(Allen Signature Award Selection Committee)/面談予約システムのタスク・フォース(Appointment Scheduling Task Force)/人事審査委員会(Personal Review Committee)/その他の活動/学外の委員会/ALAの理事会・委員会/ACRLの委員会
7.図書館展示
初めての展示会のキュレート―1年前からスタート/展示作品の選定と著作権の権利処理/著作権者のもとに直接出向く/展示の準備と講演準備、最終調整/展示会がスタートしても続く仕事
8.参加する学会と交流
サブジェクト・ライブラリアンが参加する学会/AAS (アジア学会: Association for Asian Studies) /ALA (アメリカ図書館協会: American Library Associaion)/ACRL(大学・研究図書館協会 : Association of College and Research Libraries)/PRRLA (環太平洋学術図書館連合: The Pacific Rim Research Library Alliance)/PNC(Pacific Neighborhood Consortium)/Beyond the Book : A Conference on Unique and Rare Primary Sources for East Asian Studies Collected in North America(本を超えて:北米東アジア研究向け貴重資料会議)/EAJRS(日本資料専門家欧州協会年次会: European Association of Japanese Resource Specialists)/National Diversity in Libraries Conference(図書館における多様性会議)/Joint Council of Librarians of Color (有色ライブラリアンの合同会議)/ARL Fall Forum 2015 (Association of Research Librariesの秋のフォーラム)/パーティーやさまざまな交流を通してのネットワーク作り

■コラム「東日本大震災の日のこと」

4 こんな研修でスキルを磨く

新しい職場ですぐに行ったこと/新しい職場に慣れるために役に立ったこと/さらなる情報やスキルの共有のために
1.日本研究・韓国研究ライブラリアン向けの研修
NCC(北米日本研究図書館資料調整協議会: North American Coordinating Council on Japanese Library Resources)「The Junior Japanese Studies Librarian Training Workshop」/国立国会図書館・国際文化会館・国際交流基金などが共同で行なってきた「日本専門家ワークショップ(Japan Specialist Workshop)」/国立国会図書館「海外日本研究司書研修」/天理古典籍ワークショップ/韓国国立中央図書館・韓国国際交流財団共催「Workshop for Overseas Korean Librarians」
2.職能を越えて受講できるリーダーシップ研修
Minnesota Institute for Early Career Librarians from Traditionally Underrepresented Groups(ミネソタインスティチュート)/ARL Digital Scholarship Institute(ARLデジタル・スカラーシップ研修)/Digital Humanities Summer Institute (デジタル・ヒューマニティーズ・サマー・インスティチュート)/Emerging Leaders Program (新生リーダシッププログラム)/ALA Leadership Institute(ALAリーダーシップ・インスティチュート)
3.その他の研修・トレーニングプログラム

5 キャリアステップを知る

1.ライブラリアンの査定・昇級
ライブラリアンの等級の仕組み/ランク査定・昇級の流れ/ワシトン大学図書館でのテニュア(終身雇用)までの道/3年目と6年目の査定で検討される項目―職員規約(Librarian Personnel Code)
(1)期待される事項
1.職能に関する知識をマスターしている/2.図書館職員たち(同僚)や利用者と良い関係を築いている/3.職務と差し迫ったニーズにクリエイティブに対応している/4.課、図書館、利用者へのサービスを向上させるための新しいプロジェクト、手順、 機能を開始する能力/5.効果的な指導とコミュニケーションの能力/6.報告や分析の能力/7.課や図書館全体のポリシーの作成に効果的に参加している/8.課内のリーダーシップ、計画力、指導能力などを含むマネジメントの能力/9.専門分野におけるスキルや知識の習得へのコミットメント
(2)プロフェッショナル・デベロップメント
(3)大学図書館、大学、地域へのサービス貢献
2.テニュア(終身雇用)のライブラリアンに必要な研究・発表
出版と学会発表が評価の対象になる
(1)ワシントン大学におけるライブラリアンの出版活動へのサポート
1.1年以上勤務したら年間で最大240時間まで研究に費やせる/2.7年以上勤続すると最長1年間のプロフェッショナル・リーブ(Professional Leave)/3.その他のサポート
過去8年に私が書いたもの
3.メンタープログラムが支えになる
4.おわりに

6 変わりゆくライブラリアンの仕事と環境

1.1人で複数の学問領域・大学を担当する
複数の学問領域を担当する/複数の大学を担当する
2.多様性―ジェンダー・人種・マイノリティ等―が求められている
なぜ求められているのか/全国図書館多様性会議(National Diversity in Libraries Conference)/図書館に続々と設置されるダイバーシティ委員会(Diversity Committee)/なぜマイノリティのライブラリアンは少ないのか
3.増加する留学生に対応する
留学生の母国語で図書館ワークショップを開催/ワシントン大学図書館の取り組み
4.デジタル人文学を支援するために
5.変化する利用者に対応するために
デジタルネイティブとデジタルイミグラント/学生の多くは世の中に存在する全ての情報はインターネット上にあると考えている
6.授業の方法が変われば図書館も変わる
フリップドラーニング(Flipped Learning)とアクティブラーニング(Active Learning)/遠隔学習支援ライブラリアン
7.電子化時代の選書―PDA(利用者主導型購入方式)とライブラリアン―

7 サブジェクト・ライブラリアンたちへのインタビュー

1.ジェイソン・ソコロフ(Jason Sokoloff)【ビジネス・ライブラリアン】
2.アニャ・バーテルマン(Anya Bartelmann)【数学・物理・宇宙科学ライブラリアン】
3.ダン・マンダビル(Dan Mandeville)【北欧研究・言語学】

おわりに
著者略歴
田中 あずさ(タナカ アズサ tanaka azusa)
同志社女子大学英語英文学科卒業、ワシントン大学国際関係学科修士課程修了、シラキュース大学図書館情報学修士課程修了。ライブラリアンとして、ワシントン大学セントルイス東アジア図書館勤務を経て、2013年よりワシントン大学東アジア図書館にて勤務。 論文「米国の図書館就職事情」(カレント・アウェアネス)、「在米ライブラリアンからみた日本研究」(鴨東通信)、共著 The Librarian Stereotype: Deconstructing Presentations and Perceptions of Information Work 第7章 Unpacking Identity: Racial, Ethnic, and Professional Identity and Academic Librarians of Color(「人種・民族・職業のアイデンティティと有色人種のライブラリアン」) などがある。 詳細は http://jisao-washington.academia.edu/AzusaTanaka を参照。
タイトルヨミ
カナ:サブジェクト ライブラリアン
ローマ字:sabujekuto raiburarian

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