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2018年2月1日発売

勁草書房

フランスの社会階層と進路選択

学校制度からの排除と自己選抜のメカニズム
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内容紹介
2000年代にフランスでは中等・高等教育が大衆化したが、各教育段階からの移行(進学)時の進路指導の結果、社会階層によってどのような問題が出てきているのか。とくに、移民の多い庶民階層の進路形成・進路決定の課題を中心に検討しつつ、近年のフランスの代表的な社会学的研究成果や現状分析を基に、総合的に分析する。
目次
はしがき[園山大祐]

序章 なぜフランスの進路決定過程に注目するのか[園山大祐]

第Ⅰ部 高等教育への進路形成過程と進路決定要因

第1章 進路形成における自律的生徒・学生像─ナント大学区を事例に─[田川千尋]
 1.はじめに
 2.背景:国内における高等教育の諸課題
 3.高大接続の位置づけ
 4.ナント大学における試み
 5.おわりに:フランスの高大接続理念を支える自律的学生像

第2章 高校卒業後の学業選択─社会階層による異なったロジック─[ソフィ・オランジュ(Sophie Orange)訳:田川千尋]
 1.はじめに
 2.可能な選択の幅が限定的であること
 3.選択肢があらかじめ決められていること
 4.選択との直接的経験のかかわり
 5.集団的な進め方
 6.学校的保守主義
 7.おわりに

第3章 イル・ド・フランス地域圏における居住地と大学選択─空間的セグレゲーションか?─[レイラ・フルイユー(Leila Frouillou) 訳:田川千尋]
 1.はじめに
 2.居住地に関する役割:学生が(大学選択を)判断する際の三つの次元
 3.大学選択のセンス:大学進路選択における居住地の重要性を相対的にみる
 4.おわりに:イル・ド・フランス地域圏には大学隔離があるのか?

第4章 大学における移動と調整─悪評高い居住区から高等教育の場へ─[ファビアン・トリュオン(Fabien Truong) 訳:園山大祐]
 1.はじめに
 2.「合格する」:到達点としてのバカロレア
 3.「旅立ち」:出発点と就学路の戦略
 4.「揺れる」:変調と調整
 5.おわりに

第5章 フランスの大学の初年次における学業「中退」─社会的事実─[ロミュアルド・ボダン(Romuald Bodin) 訳:田川千尋]
 1.はじめに
 2.制度的自明と学術的に明らかになっていることを隠微する概念としての「失敗」の定義
 3.中退は社会的事実である
 4.不平等を維持させている制御プロセス
 5.おわりに

第Ⅱ部 中等教育に至るまでの進路決定の形成過程

第6章 学校への道、進路決定を前にした教師、生徒、両親[セヴリーヌ・ショヴェル(Severine Chauvel)訳:園山大祐]
 1.はじめに
 2.協力的な仕組みで生徒の自主性を保障する
 3.進路決定の仕組みの回避と批判
 4.教師の役割の対立
 5.おわりに

第7章 学校的要請と庶民階層─全員就学の状況における進路指導─[ジョアニ・カユエット=ランブリエール(Joanie Cayouette-Rembliere) 訳:渡辺一敏]
 1.はじめに
 2.二枚舌的な言説
 3.序列づけ作業:生徒の「志望」の背景事情を探る
 4.進路指導の格差(グロス値)から最初の説明モデルへ
 5.おわりに

第8章 学校と庶民─庶民階層における教育的軌道と学業に対する関係─[ユーゴ・パレタ(Ugo Palheta) 訳:渡辺一敏]
 1.はじめに
 2.教育の大衆化と教育課程の序列化
 3.中学による分割
 4.学校と学業に対する庶民階層の本質的なアンビバレンス
 5.職業教育課程の空間と庶民階層の差異化
 6.職業教育への投資(あるいは非投資)のかたちを理解する
 7.被支配者のジレンマ
 8.経済的必然性と象徴的必然性

第9章 家族支援のパラドックス[トリスタン・プーラウエック(Tristan Poullaouec) 訳:園山大祐]
 1.はじめに
 2.家族支援の高まり
 3.資源の不平等
 4.おわりに

第10章 成績がすべてではない─SEGPAへの進路変更が示していること─[ジョエル・ザフラン(Joel Zaffran) 訳:園山大祐]
 1.はじめに
 2.1-SEGPAの生徒:普通学級の中学1年生に近い学力
 3.社会的違いがより濃く現れ、進路は対照的
 4.SEGPAあるいは「特殊課程」への進路決定要因
 5.おわりに

第11章 なぜ、離学者たちは復学先に留まるのか?─学業中断状態の若者達が復学する理由─[ジョエル・ザフラン(Joel Zaffran) 訳:園山大祐]
 1.はじめに
 2.離学対策の現場
 3.復学機関に頼る:争点は承認
 4.復学:主観的で集団的な試練
 5.おわりに

第12章 新任教員の始まり[ジェローム・ドォヴィオー(Jerome Deauvieau) 訳:渡辺一敏]
 1.はじめに
 2.授業中のワイワイガヤガヤ声と学習
 3.認知的相互作用の不確実性
 4.新任教員時の専門的知識(savoir professionnel)
 5.おわりに:教員養成に関する疑問点

第13章 保育学校はいかにして文化的支配を教えるのか?[マチアス・ミエ(Mathias Millet)、ジャン=クロード・クロワゼ(Jean-Claude Croizet) 訳:渡辺一敏]
 1.はじめに
 2.非意識的な学習と予備知識
 3.社会的差異化の基準としての参加の違い
 4.不平等の早期経験
 5.おわりに

第Ⅲ部 「移民」を対象としてみた進路形成と進路決定

第14章 移民第2世代の教育問題─「成熟」した移民社会において多様化する学校経験とアイデンティティ─[村上一基]
 1.はじめに
 2.フランスにおける移民第2世代問題
 3.学校教育と社会統合
 4.ムスリム移民第2世代の文化とアイデンティティ
 5.おわりに

第15章 3人姉妹と社会学者─あるアルジェリア系家族の兄弟姉妹の社会階層移動に関する民族誌的研究ノート─[ステファン・ボー(Stephane Beaud) 訳:荒井 文雄]
 1.はじめに
 2.B家の人々:アルジェリアからフランスへ、「栄光の30年」における大量移民の最後の波
 3.女の子は優等生、それに比べて男の子は落ちこぼれぎみ
 4.学歴資格を得た女の子たちは社会的上昇の途上にあり、男の子たちも何とか職に就く
 5.姉妹間での世代に基づく相違
 6.おわりに

第16章 移民系大家族出身の子どもの学校経路[ロール・モゲルー(Laure Moguerou)、エマニュエル・サンテリ(Emmanuelle Santelli)訳:村上一基]
 1.はじめに
 2.兄・姉の特別な位置
 3.親の教育モデルにおける女子と男子
 4.きょうだい間の助け合い
 5.はっきりと異なる生活環境や社会的背景
 6.おわりに

第17章 マグレブ系移民子孫の学校経歴とイスラームへのアイデンティフィケーション[ナタリー・カクポ(Nathalie Kakpo) 訳:村上一基]
 1.はじめに
 2.社会的運命への資格の影響力と社会人になる過程
 3.敵対する制度としての進路指導もしくは学校での経験
 4.新たな資格を獲得するためのもしくは対立性を示すためのイスラーム
 5.女性の学校での成功、家族の変化、イスラームとの関係
 6.ジェンダー関係における変化
 7.おわりに

第18章 移民の子どもの小学校入学から中学校卒業までの学業成績の差異[マチュー・イシュー(Mathieu Ichou) 訳:村上一基]
 1.はじめに
 2.データ、変数、方法
 3.結果
 4.議論:ネイティブの子どもと移民の子どもの間の「純粋な」学校成績の差異をどのように解釈するのか
 5.おわりに

参考文献
フランスの学校系統図(2016年度)
あとがき
人名索引
地名索引
事項索引
略語一覧
著者略歴
園山 大祐(ソノヤマ ダイスケ)
園山 大祐(そのやま だいすけ) 大阪大学大学院人間科学研究科准教授 教育学修士 専門:比較教育社会学. 主著:『日仏比較 変容する社会と教育』(共編著, 明石書店, 2009), 『学校選択のパラドックス』(編著, 勁草書房, 2012), 『排外主義を問いなおす』(編著, 勁草書房, 2012), 『教育の大衆化は何をもたらしたか』(編著, 勁草書房, 2016), 『岐路に立つ移民教育』(編著, ナカニシヤ出版, 2016).

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