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7月14日発売予定

白水社

ぼくの兄の場合

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内容紹介
兄の人生から浮かび上がる戦争と家族の物語

 ナチズムに疑いをもつことなく戦地に赴き、19歳で命を落とした兄。弟である著者が、残された日記や手紙から兄の人生を再構成しながら、「戦争」とは何か、「家族」とは何かを問いかける意欲作。
 16歳年上の兄はヒトラーユーゲントの教育に染まり、武装親衛隊の「髑髏師団」に入隊、ウクライナで戦死した。戦後民主主義の教育を受けて育った第一世代である著者は、兄の遺した日記や手紙を読みながら、戦争の記憶をほとんどもたない自身の半生、両親や姉の人生を振り返る。そしてナチズムと国家による暴力、戦時下の小市民の生活について、短いテクストの集積で語りつつ、読む者に深い問いを投げかける。
 わずかな手がかりをもとに、亡き兄の人生について考察する本書の書きぶりは、小説というよりも自伝、あるいはノンフィクションの手触りに近い。身近でありながらほとんど知ることのなかった肉親への情、戦争に向き合おうとすることの困難、葛藤が随所に表われ、日本の読者にも考えさせられるところが大きい。
 著者は1940年生まれ。2003年に出版した自伝的な本書は、ドイツにおける記憶の文化とナチスについて社会的な議論を巻き起こした。
著者略歴
ウーヴェ・ティム(ティム)
1940年生まれ。ミュンヘン在住。1970年代から作家活動を始め、『カレーソーセージをめぐるレーナの物語』(1993, 浅井晶子訳、河出書房新社)、『赤』(2001)などで人気作家に。戦後の西ドイツで民主主義教育を受けた第一世代にあたり、60年代の学生運動にも参加。良心的でユーモアのある作家として定評がある。2001年にバイエルン芸術アカデミー賞を受賞。2003年に出版した自伝的な本書によって、ドイツにおける記憶の文化とナチスについて社会的な議論を巻き起こした。
松永 美穂(マツナガ ミホ)
1958年生まれ。ドイツ文学者、翻訳家、早稲田大学文学学術院文化構想学部教授。訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(毎日出版文化賞特別賞受賞)、『帰郷者』、『階段を下りる女』、ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ『ヴォルテール、ただいま参上!』(以上、新潮社クレスト・ブックス)、ヘルマン・ヘッセ『車輪の下で』、ライナー・マリア・リルケ『マルテの手記』(以上、光文社古典新訳文庫)、著書に『誤解でございます』(清流出版)など。

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

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