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2018年3月26日発売

法政大学出版局

出版社名ヨミ:ホウセイダイガクシュッパンキョク

百科全書の時空 典拠・生成・転位

典拠・生成・転位
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内容紹介
近代啓蒙思想史上の記念碑たるディドロとダランベールたちの『百科全書』は、厳しい検閲や弾圧のなかでいかにして執筆・編集・出版されたのか。先行するさまざまな辞典や著作からの借用・書き換え、翻訳や改訂を通じて各項目テキストが成立してきた詳細な内情を解明し、18世紀的な知の地図そのものを再構成する試み。日仏の啓蒙研究を代表する執筆陣が切り開く、『百科全書』研究の新地平!
目次
はじめに 【逸見龍生】

第一部 『百科全書』における〈借用〉の思想とその言説戦略

第1章 『百科全書』は啓蒙思想の陰謀か 【マリ・レカ=ツィオミス】

第2章 借用の哲学──『百科全書』におけるスペイン史とジョクール 【オリヴィエ・フェレ】
1 方法論的前提
2 項目「スペイン」
3 項目「マホメット教」

第3章 哲学の哲学的歴史とディドロ 【フランソワ・ペパン】
はじめに──哲学のもうひとつの哲学的歴史
1 「借用」の哲学的価値
2 使用の歴史
3 ある哲学が他の哲学によって使用されること
4 哲学の使用から自然の使用へ
5 材料の豊かさと瓦礫
6 歴史学的工芸とそれに課せられた制約
おわりに

第4章 〈意志〉論の神学・政治的布置──ディドロ執筆項目「政治的権威」におけるパウロ解釈 【逸見龍生】
1 「神ニ由来スル権力ハスベテ、整序サレタ権力デアル」
2 「一」なる権力とその分割
3 神の絶対的能力と神の秩序的能力
4 王権と議会──ジャンセニスム、シャフツベリ
5 アンリ四世における意志の分有──討議的統治

第二部 テクストの分析──本文典拠とその編集史

第5章 地名学から自然地理学へ──十八世紀フランスの辞典類はどのような地理知識を伝えようとしていたか 【小関武史】
はじめに
1 『百科全書』の地理項目に混入された「大きな異物」
2 十八世紀初頭までの地理辞典およびブリュザン・ド・ラ・マルティニエールによる短評
3 ブリュザン・ド・ラ・マルティニエールの生涯と作品
4 ブリュザンの問題意識──「地理学は何を対象とすべきか」
5 三つの辞典の対比的読解
おわりに

第6章 『百科全書』の制作工程──ダランベールと引用の系譜学 【井田 尚】
はじめに
1 チェンバーズからの明示的借用
2 チェンバーズからの非明示的借用
3 チェンバーズを含む複数の典拠および自著からの借用
おわりに

第7章 アブラカダバクス──項目「アバクス」、「地球の形状」における翻訳、再構成、革新 【イレーヌ・パスロン】
1 著者・編集者ダランベール
2 ダランベールの最初の項目「アバクス」
3 戦闘的な項目「地球の形状」
4 翻訳者ダランベール
5 ダランベールと「翻訳=ペースト」
6 編集物と著者──「どこまでも逃げ去る起源の探求という戯れ」

第8章 ダランベールの項目「河川」──項目の制作工程と河川の運動への数学の応用 【アレクサンドル・ギルボー】
1 手始めの解読
2 定義および見出し語一覧の問題
3 地理学部分の制作工程
4 自然学部分の制作工程
5 河川の運動への数学の応用
結 論

第9章 消費から制作へ──項目「ガーゼ」をめぐる『百科全書』と『商業総合辞典』の比較 【小嶋竜寿】
はじめに──工芸はいかにして一般知識として共有されたのか
1 『商業総合辞典』
2 ガーゼ産業からガーゼ製造機へ──『百科全書』の項目について
3 知識編纂の背景
おわりに

第三部 諸学の交叉と転位
第10章 中国伝統医学とモンペリエ生気論──モンペリエ学派による中国伝統医学の受容と生気論の確立 【寺田元一】
はじめに
1 モンペリエ生気論が中国脈学と遭遇した歴史的文脈
2 ボルドゥとその神経中心主義的身体観
3 メニュレの中国伝統医学評価と、それによる生気論的生命観の深化
4 フーケによる中国伝統医学と生気論の総合──神経学的・組織学的脈学へ
おわりに

第11章 サン=ランベールと『百科全書』──項目「メランコリー」を中心に 【井上櫻子】
1 項目「メランコリー」はなぜディドロに帰せられたか
2 項目「メランコリー」とサン=ランベール
3 『百科全書』の寄稿者としての戦略

第12章 物質と精神のあいだ
十八世紀化学における活力概念の両義性 【川村文重】
はじめに
1 十八世紀までの活力の語義形成史──自然学・自然哲学を中心に
2 化学における活力の脱神秘化──活力と力の相違をめぐって
3 火の化学的活力とイメージ連鎖──物質と精神の連結
おわりに

第13章 自然法は拘束力をもつか──ルソー『ジュネーヴ草稿』葉紙63裏面に書かれたディドロ執筆項目「自然法」批判 【飯田賢穂】
はじめに
1 手稿二二五・葉紙63裏面に書かれた断片群の分析
2 「義務」と「良心」または「関係」と「感情」
3 項目「自然法」との対話
4 葉紙63裏面の自然法批判
おわりに

補 論 『百科全書』典拠索引目録研究

第14章 『百科全書』項目の構造および典拠研究の概要 【淵田 仁】
1 『百科全書』研究の状況
2 『百科全書』の項目の構造
3 典拠研究の意義
4 『百科全書』第一巻典拠データベース見本の概要
『百科全書』第一巻典拠情報(見本)

おわりに
初出一覧
『百科全書』項目名索引
著作名索引
人名索引
著者略歴
逸見 龍生(ヘンミ タツオ henmi tatsuo)
新潟大学人文社会・教育科学系教授。著書:Lectures critiques de Diderot et de l'Encyclopédie. Genèse, Dynamique et Contexte(NUSS)、Diderot l'humain et la science(共著、Éditions Matériologiques)、Diderot et le temps(共著、Presses Universitaires de Provence)。
小関 武史(コセキ タケシ koseki takeshi)
一橋大学法学研究科教授。論文「『百科全書』研究にとっての典拠調査の意義」(『一橋論叢』)、「『トレヴー事典』の東アジア関係項目」(『一橋法学』)。
タイトルヨミ
カナ:ヒャッカゼンショノジクウ
ローマ字:hyakkazenshonojikuu

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