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2018年2月10日発売

みすず書房

知性改善論/神、人間とそのさいわいについての短論文

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内容紹介
「共同の暮しの中でよく出遭うものがみなむなしく、くだらないということを経験から教わったのち、失われるのではないかと心配していたもの、招くことを恐れていたものがどれも、それによって気持が揺すぶられたからということがなければ、それそのものには善いところも悪いところもそなわらないことを見たとき、わたしはやっとたずねようと心を定めた。真の善でみずからを分ちあずからせるような或るものが与えられるかどうか。ほかのいっさいを投げ棄てて、独りそれだけから気持が触発されるようなもの、それを見出して獲得すると、持続する最高の喜びが永遠にわたって享受されるような或るものが与えられるかどうかをたずねよう、と。」(「知性改善論」)

本書に収められた二つの著作は、ユダヤ社会から追放されたスピノザの初期思想をよく伝えるものである。ここには、既存の教義や語彙をもちいながら、同時にそこから自由になれるよう有効な手段を作りあげるべく自らの問題意識と言語を鍛えて、「持続する最高の喜び」を探り、「精神が全自然を相手にもつ、一つに結ばれていることの認識」を究めるスピノザが確かにいる。
後年の主著『エチカ』へと至る哲学の根本動機と独自の方法論が記述される二篇を、ラテン語刊本およびオランダ語写本から半世紀ぶりに新訳。最新の研究を踏まえた精細な訳注と解題を付した待望の一巻。
目次
知性改善論
  読者へのことわり
  「知性改善論」

神、人間とそのさいわいについての短論文
  標題とまえがき
  章の見出し
  「神、人間とそのさいわいについての短論文」
   第一部
   第二部
   〈付録〉
  短論文の概略
   「概略」

  訳注
   「知性改善論」訳注
   「短論文」訳注
   「概略」訳注

  解題
  あとがき――「犯罪通り」のスピノザ

   文献
   略語表
著者略歴
スピノザ(スピノザ)
1632年11月24日オランダ、アムステルダムのユダヤ人居住区で商人の家に生まれる。両親の家系はイベリア半島でキリスト教へ改宗したユダヤ人(マラーノと呼ばれる)で、オランダに移住し、ユダヤ教の信仰生活を回復していた。ヘブライ語名バルッフ(Baruch)、ポルトガル語名ベント(Bento)、のちにラテン語名ベネディクトゥス(Benedictus)を用いた。ユダヤ教会内で早くから俊才として注目されたとも伝えられるが、1656年7月27日、23歳のときに破門を受ける。友人・弟子のサークルとつながりを保ちながら、ライデン近郊ラインスブルフ、ハーグ近郊フォールブルフを経て、ハーグに移る。1677年2月21日ハーグで歿す。同年、「エチカ」を含む『遺稿集』が刊行される。他の著作は「デカルトの哲学原理」、「神学・政治論」、「知性改善論」(未完)、「政治論」(未完)、「神、人間とそのさいわいについての短論文」、往復書簡集ほか。
佐藤 一郎(サトウイチロウ)
1952年生まれ。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。山梨大学教授。著書『哲学的冒険――形而上学へのイニシアシオン』(丸善)『個と無限――スピノザ雑考』(風行社)。訳書 『スピノザ エチカ抄』スピノザ『知性改善論/神、人間とそのさいわいについての短論文』(以上みすず書房)。論文「内と外へのまなざし――スピノザの哲学への一つの近づき」(日本哲学会編『哲学』57号)「朗らかとあきらめ――日本的ニヒリズム考」(哲学会編『哲学雑誌』123巻795号)「哲学するジャコメッティ――「夢・スフィンクス楼・Tの死」」(『みすず』447号)など。

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

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