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9月26日発売予定

みすず書房

中井久夫集 4――統合失調症の陥穽 1991-1994

最相葉月/解説

978-4-622-08574-4

本体価格:3,400円+税

判型:四六

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内容紹介
夫人がどのようにして日本に亡命し、こうして悠々と暮らしておられるのか、私はついに知らない。アジアの人とつきあうには好奇心からの質問をしないのが、最低の作法である。どのようにして日本に亡命されたのかは、四半世紀のあいだ、私はついにうかがわなかった。仮にうかがっていても、ここに書かないだろう。
私は必ず「Yプイン(夫人)」と呼んで、決して「オモニ(母)」とか「ハルモニ(おばあさん)」とは呼ばなかった。そこに四半世紀のつきあいにも狎れない一線があった。実の母とは夫人とのように深い話をしたことはなかったが、そもそも親子とはそういうものかもしれない。夫人も、わが子には普通の「チマ・パラミ・オモニ(教育ママ)」ではなかったか。実の子ではありえない出会いであった。
(「Y夫人のこと」 1993)

私には一つひとつの精神病院が違った下位文化に見える。病院ごとに匂いが違い、職員の「顔」が違い、何よりも患者の「顔」が違う。病院の「質」の判定は、建物よりも何よりも患者の「顔」が雄弁に、正直に物語っていると思う。
(「治療文化論再考」 1994)

表題作はじめ、「精神科医がものを書くとき」「顔写真のこと」「ある少女」「精神病棟の設計に参与する」ほか32編を収録。
目次
精神科医がものを書くとき
隣の病い
国際化と日の丸
顔写真のこと
精神医学と階級性について
私に影響を与えた人たちのことなど
精神保健の将来について
統合失調症の陥穽
一夜漬けのインドネシア語
疎開体験に寄せて――佐竹調査官への手紙から
ワープロ考
外国語が話せるということ
ある臨床心理室の回顧から――故・細木照敏先生を偲びつつ
劇詩人としてのカヴァフィス
家族の方々にお伝えしたいこと
多重人格をめぐって
一医師の死
Y夫人のこと
ハンガリーへの旅から――1992年6月
ある少女
私の外来治療
戦時中の阪神間小学生
精神病棟の設計に参与する
オランダの精神科医たち
コラージュ私見
フェレンツィの死と再生
危機と事故の管理
新制大学一年のころ
クラス会に出る
治療文化論再考第一回多文化間精神医学会において
詩の基底にあるもの――その生理心理的基底
霧の中の英国経験論

解説4 最相葉月
掲載文・書誌一覧

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