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2017年10月14日発売

慶應義塾大学出版会

失踪の社会学 親密性と責任をめぐる試論

親密性と責任をめぐる試論
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内容紹介
▼あなたは、 なぜ、 そこにいるのか 失踪とは何か。 その不条理さ、不可解さ、やりきれなさは、何に由来するのか。 現在でも日本国内で年間に数千件規模のペースで生じている 隠れた社会問題、失踪――。 失踪が惹起する実存的な問いを突きつめ、 あなたや私がそこにいる、という 一見自明の事態を根底から見つめなおす、気鋭の力作。
目次
はじめに   <b>I いま、失踪を問う意味</b> 第1章 なぜ私たちは「親密な関係」から離脱しないのか  1 自殺について  2 「無縁」のイメージの変容  3 「純粋な関係」の出現と、親密性の変容  4 「親密な関係」からの離脱に対する抵抗感の根拠(リスク・愛・外    的基準)  5 失踪の社会学へ 第2章 失踪の実態はどこまで把握可能か  1 諸概念の整理(失踪・家出・蒸発・行方不明)  2 失踪の件数と内訳  3 失踪発生後の一般的な流れ  4 「現代的な問題」としての失踪?  <b>Ⅱ 失踪の言説史</b> 第3章 失踪言説の歴史社会学――戦後から現在までの雑誌記事分析  1 失踪言説の分析は何を語るのか  2 失踪言説の戦後史――「家出娘」と「蒸発妻」  3 失踪言説の背後にあるもの①――家族の戦後体制  4 失踪言説の現代史  5 失踪言説の背後にあるもの②――個人化  6 雑誌記事における失踪批判の論点  <b>Ⅲ 当事者の語る失踪</b> 第4章 失踪者の家族社会学  1 失踪の当事者の研究へ  2 「社会的死」と「曖昧な喪失」  3 研究の方法――失踪者の家族へのインタビュー  4 さまざまな失踪のかたち  5 失踪者の家族たちの特殊な経験  6 失踪者はなぜ失踪してはいけなかったのか 第5章 失踪者の家族をいかにして支援すべきか――MPSの取り組みから  1 「曖昧な喪失」理論の問題点  2 研究の方法――支援団体に対するケーススタディ  3 MPSのプロフィール  4 情報提供者としてのMPSスタッフの語り  5 情報提供者がなしうるケアとは何か  6 共に物語を作るという可能性  7 失踪に対する筆者の立場 第6章 失踪者のライフストーリー  1 失踪者本人への問い  2 先行研究の検討(家出・蒸発・runaway・ホームレス)  3 研究の方法――失踪者のライフストーリーを聞く  4 〈失踪〉経験者のライフストーリー①――家族からの離脱と応答の    拒否  5 〈失踪〉経験者のライフストーリー②――自殺未遂から失踪へ  補論 〈失踪〉経験者のライフストーリー③――職場からの〈失踪〉  <b>Ⅳ 「親密な関係」に繋ぎとめるもの</b> 第7章 親密なる者への責任  1 責任という問いへ  2 本書における責任の定義  3 責任の「行為-因果モデル」  4 責任の「傷つきやすさを避けるモデル」  5 「親密な関係」と責任の倫理 第8章 現代社会と責任の倫理  1 「親密なる者への責任」の重要性の高まり  2 「神隠し」と〈逃がし〉の論理  3 自己責任論と親密圏の過負荷 終 章 行為としての〈失踪〉の可能性  1 〈失踪〉を実行させたもの  2 〈失踪〉は自殺の代わりになるのか  3 第三者からの承認であることの効用 註 参考文献 あとがき 初出一覧 索引
著者略歴
中森 弘樹(ナカモリ ヒロキ)
中森 弘樹 1985年生まれ。2015年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学・立命館大学・京都造形芸術大学非常勤講師。著作に、「網野善彦――『無縁』の否定を超えて」(大澤真幸編『3・11後の思想家25 別冊大澤真幸 THINKING「O」』左右社、2012年)、「失踪者家族の悲嘆」(髙木慶子・山本佳世子編『悲嘆の中にある人に心を寄せて――人は悲しみとどう向かい合っていくのか』上智大学出版、2014年)などがある。

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