近刊検索 デルタ

2018年8月10日発売

金剛出版

臨床心理学 増刊第10号-当事者研究と専門知

生き延びるための知の再配置
このエントリーをはてなブックマークに追加
内容紹介
当事者の日々と世界は「こまったこと」にあふれている。そして、そのたびごとに創意工夫で「こまったこと」に対処していく。「こまったこと」への対処という経験から、人は「当事者になる」。このプロセスにおいて、それぞれの当事者は固有の「知」を獲得していく。一人一人の個人から生み出される知でもあり、仲間と共同制作する知でもあるそれは、当事者(たち)の唯一無二の「経験-アクション-関係」から生まれた実践知として、共有され、継承される。一方、必ずしも当事者とオーバーラップするとは限らない専門家=研究者による専門知は、当事者による実践知との同心円を描かず、また当事者ニーズから乖離しうるだけでなく、時にパターナリスティックな動機によってこれを疎外することさえある。
では、いかにして「専門知」は当事者による「実践知」へと寄与できるのか――これが本特集を貫くリサーチクエスチョンとなる。このリサーチクエスチョンを解明するべく、「言いっぱなし聞きっぱなしの当事者研究会議」を通じて、これまで交わることの少なかった各分野の当事者が、互いの領域で共有・継承されてきた「実践知」を紹介し合い、それと同時に、残された問いを示しつつ、現時点での回答を専門家にオーダーする。「いっしょにつくる当事者共同研究」では、オーダーを受諾した専門家が、編集会議の問いに答える形で自らの専門知を開示し、それでもなお残る問いを返していく。
医療・保健・福祉領域における静かなる革命、当事者研究と、各分野の専門知とのコールアンドレスポンスが生み出す、生き延びるための知の再編成の試み。
目次
1 みんなでつくる当事者研究

知の共同創造のための方法論
熊谷晋一郎

2 言いっぱなし聞きっぱなしの「当事者研究会議」

座談会
言いっぱなし聞きっぱなしの「当事者研究会議」
[司会]熊谷晋一郎/秋元恵一郎・綾屋紗月・楳原節子・上岡陽江・倉田めば・白井誠一朗・美郷・山根耕平

3 いっしょにつくる当事者共同研究

1-遺産継承
対談
継承すべき系譜①―運動
熊谷晋一郎・尾上浩二
 
座談会
世代間継承①―身体障害・難病篇
[司会]熊谷晋一郎/川合千那未・川﨑良太・白井誠一朗・廣田喜春
 
継承すべき系譜②―自助グループ
野口裕二
 
座談会
世代間継承②―自助グループ編
秋元恵一郎・楳原節子・上岡陽江・熊谷晋一郎・倉田めば・美郷
 
2-スティグマ
 
多重スティグマ①―精神障害と恥
樫原 潤・石垣琢麿
 
多重スティグマ②―依存症・セクシュアリティ・HIV/AIDS
新ヶ江章友
 
多重スティグマ③―依存症者の子育てとスティグマ
熊谷晋一郎
医療者の内なるスティグマ―知の再配置の試みから
熊倉陽介
 
差別されない権利と依存症
木村草太
 
3-当事者性と専門性/当事者性の専門性
専門家と当事者の境界
信田さよ子
 
ピアワーカーの政治(politics)
松田博幸
 
アカデミズムと当事者ポジション
上野千鶴子
 
4-回復―言葉・集団・健康の視点から
ハームリダクションのダークサイドに関する社会学的考察・序説
平井秀幸
 
言葉と組織と回復―当事者研究・自助グループと対話
大嶋栄子
 
「ゆるゆる組織」のエビデンス―当事者運営組織と高信頼性組織研究
中西 晶
食生活と回復のメカニズム―精神栄養学の立場から
功刀 浩

4 「いっしょにつくる当事者共同研究」のその後

「知の共同創造と再配置」のための編集後記―「当事者共同研究」への応答
熊谷晋一郎

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを利用しています。