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2018年4月20日発売

新曜社

出版社名ヨミ:シンヨウシャ

原爆の記憶を継承する実践

長崎の被爆遺構保存と平和活動の社会学的考察
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内容紹介
負の記憶をどう受け継ぐか
 昨年ノーベル平和賞のスピーチでは被爆者が自ら核廃絶を訴え、人々の心を揺さぶりました。しかし被爆者は年々高齢化し、生の声を聴くことのできない日がいずれやってきます。恐るべき原爆の記憶を継承し、次世代に手渡していくにはどうすればよいでしょうか。長崎・平和公園の平和祈念像や浦上天主堂をはじめ、長崎市内のさまざまな祈念像の建立や被爆遺構の保存・解体には、当事者の苦渋の決断と壮絶な記憶が刻まれています。それらを丹念に読み込み、被爆経験のない市民や高校生がどのように自らを継承の担い手として主体化していくのか、その実践を聞き取り調査から明らかにします。著者は福島大学うつくしまふくしま未来支援センター助教。
目次
原爆の記憶を継承する実践 目次

序章 原爆の記憶をどのように継承するのか
 ――問題の所在と研究方法

1 問題の所在
2 対象──なぜ1つの都市を対象とするのか
3 長崎原爆と長崎市
4 研究のスタート地点と立ち位置
5 調査の概要と本書の構成


第Ⅰ部 原爆の記憶 長崎の被爆遺構の保存と解体

第1章 〈原爆〉へのアプローチ
 ――社会学における被爆者調査の系譜と記憶研究との接続

1 久保良敏・中野清一の調査──初期の被爆者調査
2 リフトンの精神史調査と慶応・一橋・原医研調査
3 被爆者調査から原爆の記憶研究へ


第2章 記憶空間としての長崎
――〈平和公園〉の形成と原爆資料館の展示,旧浦上天主堂保存をめぐるポリティクス

1 爆心地周辺の記憶空間の形成
2 長崎原爆資料館と展示論争
3 旧浦上天主堂廃墟の保存をめぐる論争
4 長崎における記憶空間の形成


第3章 城山小学校被爆校舎の保存とその活用
 ――被爆遺構の保存と記憶の継承

1 モノと記憶の関係
2 被爆遺構の解体から保存・活用へ
3 被爆遺構保存の経緯──山王神社二の鳥居と立山防空壕
4 城山小学校被爆校舎の一部保存──経緯と始まり
5 城山小学校被爆校舎の保存運動
6 平和祈念館の設置と開館──保存から活用へ
7 〈原爆〉を想起・記憶する場所の力


第4章 新興善小学校校舎の解体とその活用
 ――被爆遺構の解体と記憶の継承

1 救護所となった新興善小学校
2 新興善小学校校舎の保存問題
3 現物保存派の論理──新興善救護所跡を保存する市民連絡会の主張
4 再現展示派の論理──校区住民の主張 ?
5 「小学校」のもつ意味──中央3小学校統廃合問題と校区住民の主張   ?
6 「救護所メモリアル」の再現展示
7 被爆遺構の保存と記憶の継承


第Ⅱ部 継承実践としての平和活動 証言・ガイド・署名

第5章 原爆記憶の継承と市民運動
 ――「長崎の証言の会」・爆心地復元運動・継承活動への政治的規制

1 証言運動──「長崎の証言の会」の活動
2 原爆被災復元運動――爆心地周辺の地図を復元する調査活動
3 慰霊行為としての爆心地復元運動
4 「原爆は原点ではない」――行政による公教育への規制
5 語り部への政治的発言自粛要請
6 長崎における継承実践と政治的規制が示すもの


第6章 平和ガイド活動と戦争の記憶
 ――平和案内人の生活史と原爆記憶の継承実践

1 戦争記憶の継承実践に関する研究
2 長崎における平和ガイド活動
3 平和案内人の生活史とガイドの継承実践Ⅰ──Tさんの場合
4 平和案内人の生活史とガイドの継承実践Ⅱ――Mさんの場合
5 平和案内人の継承実践


第7章 高校生1万人署名活動
 ──若者と原爆記憶の継承実践

1 被爆地長崎の平和運動と高校生1万人署名活動
2 高校生1万人署名活動の特徴
3 聞き取り調査の概要と参加者のプロフィール
4 署名活動参加者の生活史と継承実践Ⅰ──Cさんの場合
5 署名活動参加者の生活史と継承実践Ⅱ──Dさんの場合
6 高校生1万人署名活動参加者の継承実践


終章 日常の生活空間と原爆記憶の継承

1 長崎における記憶空間と継承実践の特徴
2 〈原爆〉の社会学的研究と本書の位置づけ
3 原爆記憶における「継承」とは何か

あとがき
参考文献
長崎市の被爆建造物等ランク付一覧表
図表一覧・人名索引・事項索引

装幀 鈴木敬子(pagnigh-magnigh)
組版 武 秀樹/図版制作 谷崎文子
著者略歴
深谷 直弘(フカヤ ナオヒロ fukaya naohiro)
タイトルヨミ
カナ:ゲンバクノキオクヲケイショウスルジッセン
ローマ字:genbakunokiokuokeishousurujissen

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