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内容紹介
京都学派は西田幾多郎を筆頭とする哲学者らだけのものではない。狩野直喜らの東洋学、吉川幸次郎、桑原武夫らによる文学研究、今西錦司の人類学などさまざまな学統を生み出した。本書が酔故伝と銘打たれているように酒の力があり、三高の気風があり、東洋と西洋の異質性にとらわれない「文」の気風がずっとあった。今日において学問とは何か、大学はどうあるべきかを改めて考えるさせる一冊。 立本成文氏による跋を収録。
目次
まえがき―「京都学派」について    「まえがき」のまえがき/哲学者たちの「京都学派」/東洋学者たちの「京都学派」/     今西グループによる「京都学派」/文学研究にも「京都学派」が/あとになった     人物論/京大の内側から/「守成は創始より難し」 第Ⅰ部……實事求是―文学研究の京都学派 序 第1章……實事求是とは    東洋学と文学の学風を一括/實事求是の慣用/實、實事、是/モットーとして/    清朝考証学派の方法/移入と鼓吹/伝授/小林秀雄 第2章……一次資料を読みきる―實事求是の核心    上田敏の「細心精緻」/宣長とペイター/一次資料に対して 第3章……学風の啓蒙―内から外へ    学外への啓蒙/現代批評理論の先駆/深瀬対御輿 第4章……深瀬基寛と学統    深瀬の方法/御輿の方法/深瀬の「講釈」/社会に提供 第5章……今西学の登場    強力なライヴァルとして/「自然学」というライヴァル/實事求是から見ると/    学問も探検―今西学から学ぶ 第Ⅱ部……第二期の特徴 序 第1章……ヨコ社会―第二期の土壌    共同研究と塾/タテ社会あってのヨコ社会/酒という潤滑油 第2章……教養主義―ヨコ社会の理念    リベラリズムの影響/アカデミズムへの批判勢力 第3章……独自なもの    日本のために/京の町/登山、探検、フィールドワーク/好き勝手 第4章……第二期と出版社    弘文堂と創文社/筑摩書房/岩波書店その他/京都大学学術出版会 第5章……学風の見取り図    草創期にあった二極/変化していった二極 第6章……第二期の事柄    大学共同利用機関と京都学派/京都学派と文章/守成から隆盛へ 第Ⅲ部……京都学派人物列伝 序 第1章……第二期を率いた三巨頭 序 1 吉川幸次郎―壮絶な人と酒と学問    「もう無茶苦茶だよ」/第二期の二極分化/酒とイギリスの大学・社会/    酒と人と学問が/なぜ酒が飲めたのか/「吉川さん」二話 2 桑原武夫―第二期を造った仕掛け人    酒とうまく付合う/生産性を高める酒/酒を伴った第二期/独自な見方と    「あほくさ」/脱専門領域と共同研究/愛嬌/聖恩禽獣に及ぶ 3 今西錦司―京都学派の新しい学風    「バンザーイ」と酒/教養主義/「今西塾」/ヨコの関係/長かった    浪人時代/仮説を早く―学風(一)/「直観の賜」―学風(二)/    本流に加わる/ロンドンでの雄姿 第2章……第二期人物列伝 序 1 深瀬基寛―詩人と教養主義者    居酒屋/逸脱/学会への反感/両輪/チンチン電車 2 大山定一―自由の「純粋な象徴」    一番の酒豪/ぬきさしならない関係/放埓なほどの自由/美しい文章/    町の人が 3 古田晁―京都学派の心柱    並外れた酒漢/気の弱さ/窮地/寂しい男/京都学派の本を出す/最期 4 富士正晴―侠気と絶望    竹林の酒仙/竹内勝太郎/人生の二つの目的/危険/司馬遼太郎の    不思議な文章/棲み家の跡 5 高橋和巳―『人間にとって』へと向かって    お茶屋と待合/酒乱二話/独酌/酒悲/新しい小説?/「自己解体」/    『人間にとって』こそ/近所に居た高橋 6 小岸昭―受難への旅    どんぐり橋/相乗/火花から始まる/弱いマラーノと詩人/体感/    「呑ん兵衛の旅人」 第3章……草創期の三傑 序 1 原勝郎―都に落ちた雷    京都嫌い/人馬一体/武士道と京の文化/書生同士/都の勝利 2 九鬼周造―遊里と遊離    遊里/風流人/天心の酒乱/「ルミナス・ヘイロゥ」/グローバリズム/    九鬼邸の跡地/墓碑のゲーテ詩/もう一つの物語 3 青木正兒―「遊心」の逸楽    大酒三景/仙境の酒/真の在/敗戦時/戦後の変節を嫌う/学問、酒、仙境/    最期/住まいと墓/青木というフィナーレ/学派を造った空気 精神の灯を伝える―観望の記  立本成文 謝 辞 出典一覧/図版引用出典リスト 人名索引
著者略歴
櫻井 正一郎(サクライ ショウイチロウ)
1936年生まれ。京都大学英文科卒、ケンブリッジ大学客員研究員、京都大学総合人間学部教授、同大学名誉教授。京都学派に入学前から関心をいだいてきた。留学後外国人学者の招聘に尽力した。 主な著書 『女王陛下は海賊だった―私掠で戦ったイギリス』(ミネルヴァ書房、2012)。 『最後のウォルター・ローリー―イギリスそのとき』(みすず書房、2008)。 『サー・ウォルター・ローリー―植民と黄金』(人文書院、2006)。 『結句有情―英国ルネサンス期ソネット論』(山口書店、1979)。 The View from Kyoto: Essays on Twentieth-Century Poetry(編著、Rinsen Books、1998)。 主な論文 「實事求是―京大英文科の学統」(『Albion』60, 2014)。 「細心精緻―上田敏の学風」(『Albion』48, 2002)。 「エピグラムとソネット―イギリス型ソネットの起源をめぐって」(『英文学評論』55, 1988)。

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