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内容紹介
「あの時代、私たちは誰もが恐ろしい力を持っていた――」
名士である実父による著書への激越な批判、その父の病と交通事故での死、愛人の告発、昔馴染みの女性の証言、そして彼が密告した家族の生き残りとの時を越えた対話……。父親の隠された真の姿への探求の果てに、第二次大戦下の歴史の闇が浮かび上がる。
マリオ・バルガス=リョサが激賞するコロンビアの気鋭による、あまりにも壮大な大長篇小説!

私、どうしてもガブリエルの顔を見る気になれなかったの。ガブリエルのことを軽蔑していたの。だって、そんなことができる人だなんて考えたこともなかったから。ただいっぽうでは、ガブリエルがああしたことをやったのは当然だ、とも思っていた。当時はおそらく、どんな人でも、ガブリエルがやったことを知ったとしても別に驚かなかったと思う。ガブリエルを軽蔑する気持ちと肯定する気持ち、その両方が私の中で綯い交ぜになって、自分でももうどうしていいかわからなくなっていたの。恐ろしくてたまらなかった。なにがどう恐ろしかったのかと言われるとわからないのだけれど。(…)けっきょくのところ、密告する人なんてどこにでもいるということなのよね。戦争中であろうがなかろうが、人はいつだって、自分の置かれた状況次第では、平気で誰かを密告してしまうものなのよ。(本書より)
著者略歴
フアン・ガブリエル・バスケス(フアンガブリエルバスケス)
1973年、コロンビアの首都ボゴタに生まれる。ロサリオ大学で法学を学び、その後フランスに留学、ソルボンヌ大学でラテンアメリカ文学の博士課程に進む。23歳のときに最初の小説『人』を、25歳のときに第二作『人と嘆願者アリーナ』を出版した。2001年には短篇集『すべての聖人たちの愛人』を、2004年には『密告者』(本書)を刊行。他の小説作品に、『コスタグアナ秘史』(2007年、邦訳・久野量一訳、水声社)、『物が落ちる音』(2011年、アルファグアラ賞受賞、邦訳・柳原孝敦訳、松籟社)、『名声』(2013年)、『廃墟の形』(2015年)がある。また、ノンフィクション『歪曲の芸術』(2009 年)でシモン・ボリーバル・ジャーナリズム賞を受賞している。
服部綾乃(ハットリアヤノ)
翻訳家。訳書にアウグスト・モンテロッソ『黒い羊』、『全集 その他の物語』(書肆山田)、エドゥムンド・パス・ソルダン『チューリングの妄想』(現題企画室、すべて石川隆介と共訳)などがある。
石川隆介(イシカワリュウスケ)
1974年メキシコ生まれ。ラテンアメリカ文学博士(カリフォルニア大学バークレー校)。現在、カリフォルニア州立大学Fullerton校教授。

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