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内容紹介
地震 大雨 火山爆発 ――あの年、熊本県を中心に襲った災害の数々。なにかの始まりなのかもしれない。まだ過去の出来事とも言えない。愛犬みるくは、大地震の後の何カ月も続く揺れの恐怖のなかで、もう吠えたてる激しさも失せ逝った。
 天禍だからと/簡単には呑めないよ、な/ハリセンボン/9月になったからとて/油断するな

ヒトも、生物も、安全を追求してさまざまなものをつくり出していく。長い時間をかけ、身を守るため体を大きく見せ、武器で守ろうとするのだが。
 どうせボクラハ/忘れられの 人間同志の/夢まぼろしの
//干潟(ありあけ)のハクセンシオマネキ/ナノダカラ
ハクセンシオマネキは、生きていくために大きすぎるほどの武器を振り上げるだろう。しかし、絶滅危惧種への道をたどることになる。藤子じんしろうの詩は私的でおだやかであるが、具体的な体験を通し、根は強烈な文明批評のメタファー(喩)として読者の心の底に触れてくるはずだ。
  道筋を辿るだけでは何も見えてこない
  感じなければ何も見えてこない
 犬もハリセンボンもハクセンシオマネキも、ことばは通じないけれど感じあうことで詩人のなかで戦友となる。絶滅危惧種は私たちだから。だからさまざまなものから「叱咤」されながら、
 どんな人生でも/「たたかい」/は尽きないものだ
ということになるのだろう。藤子じんしろうのことばはたおやかだ。ことばが醸す味わいを感じることが、見えない時代のなかで詩集「雨野では」は生きることの孤独に寄り添うあたたかさとも喜びともなる。
著者略歴
藤子じんしろう(フジコジンシロウ)
1946年熊本市生まれ。熊本県詩人会 代表・日本詩人クラブ・日本現代詩人会に所属。 2016年より詩とエッセイ誌「千年樹」に寄稿。 1981年「病根」から詩集・詩画集を10冊を刊行、2005年に「新しい画布、若しくは駅で」で熊日文学賞受賞。2006年に西日本美術展大賞を受賞。本作は詩業の集大成となる。

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

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