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2018年8月10日発売

共立出版

走査透過電子顕微鏡の物理

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内容紹介
ルネサンス以降,人類が作りだした主要な科学機器のひとつとして,顕微鏡が挙げられるだろう。17世紀のフックやレーウェンフックによる微生物の観察から始まり,光学顕微鏡,電子顕微鏡,走査プローブ顕微鏡,X線顕微鏡などの開発が進んできた。そして,その観察対象はついに100億分の1メートルの単原子にまで到達したのである。
 本書で扱う透過電子顕微鏡は1931年にドイツで開発された。我が国でも,1930年代後半から大学や国立研究所を中心に研究が進められ,現在では研究と技術開発で世界をリードする国のひとつとなっている。
 本書では,発展著しい透過電子顕微鏡法を大きく牽引している,走査透過電子顕微鏡(Scanning transmission electron microscopy; STEM)を詳解し,代表的な研究成果を簡潔にまとめている。人類が原子を直接観察できるようになるまでの歴史も概観し,X線回折法や光学顕微鏡および走査プローブ顕微鏡法と比較しながら,STEMの本質をやさしく解説した一冊である。
目次
第1章 はじめに
1.1 誰が原子を見たか?
1.2 原子の1/4の大きさまで見えるようになった
1.3 電子顕微鏡のナノ科学への貢献―百聞は一見に如かず―
1.4 顕微鏡と望遠鏡―波を使ってのイメージング―

第2章 原子を研究する人類
2.1 原子構造を研究するための以前の方法
2.2 原子を直接見る3つの方法
2.3 走査透過電子顕微鏡(STEM)による原子像および原子コラム像

第3章 顕微鏡像を得る2つの方法
3.1 像とは何か?
3.2 レンズの公式と凸レンズの役割
3.3 光学顕微鏡の発明
3.4 電子にとっての凸レンズと透過電子顕微鏡の発明
3.5 透過電子顕微鏡(TEM)による単原子の観察
3.6 電子線走査による原子の結像
  3.6.1 テレビ像の送信と受信
  3.6.2 走査法による電子顕微鏡
3.7 細い電子ビームの作製法と走査法
  3.7.1 凸レンズで絞る
  3.7.2 収差や焦点はずれによるボケ
  3.7.3 STEM用電子線プローブの輝度,電子銃
  3.7.4 電子ビームの走査法
  3.7.5 フーリエ変換を使った収束と走査の記述
3.8 STEMの結像の実際

第4章 粒子としての電子と波動としての電子
4.1 電子の本性とその発生法
  4.1.1 電子とは
  4.1.2 電子の発生法
4.2 粒子としての電子,電流および電磁場中の電子の運動
4.3 波動としての電子,およびバイプリズムによる干渉縞

第5章 STEMの結像原理
5.1 電子と試料との相互作用の基本的事項―細い電子線が結晶に入ると―
5.2 細く絞った電子線の数学的表現
5.3 試料の直下には投影図,そして遠方は回折図形
  5.3.1 平面波を入れたときの電子回折図形
  5.3.2 収束電子回折図形
  5.3.3 重なった収束電子回折図形とその中に見られる干渉模様
  5.3.4 回折図形の任意の部分の強度を検出する―ピクセル画像強度―
  5.3.5 STEMの結像理論

第6章 STEMの各種結像モード
6.1 結晶の原子コラム像
6.2 TEM像とSTEM像の間の相反定理―BF-STEM像理解の基礎―
6.3 結晶中での電子線チャネリング現象―ADF-STEM像理解の基礎―
6.4 円環状検出明視野(ABF)-STEM
6.5 STEM-EELSによる電子状態解析
6.6 STEM-EDXによる元素分析
6.7 2次電子による単原子像と原子コラム像
6.8 微分位相コントラスト像とタイコグラフィー(ptychography)
6.9 STEMによる3次元電子顕微鏡法

第7章 STEMの実際の装置と応用
7.1 装置
7.2 原子像観察への応用
7.3 ナノ加工,ナノ操作への応用

第8章 電子顕微鏡の分解能はどこまでいくか?
8.1 分解能を決める要素
8.2 レンズの球面収差と回折収差
8.3 他の収差の分解能への影響
8.4 レンズ法と走査法の像分解能の同等性
8.5 STEM像についての他の分解能影響因子
8.6 ピクセルサイズと分解能の関係
8.7 STEMの分解能の極限―収差補正技術の進展―

第9章 おわりに

付録
A.1 走査トンネル顕微鏡(STM)について
A.2 量子力学の散乱問題,および原子散乱因子
A.3 結晶による電子波の回折現象
A.4 電子波の伝播
A.5 原子分解能STEMの結像理論
A.6 フーリエ変換について

参考図書
参考文献

用語索引
人名索引

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