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定価:4,950円(4,500円+税)
判型:A5
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内容紹介
生物学の現場に、最前線の科学哲学を! よりよい科学の実践にとって、哲学は贅沢品でなく必需品なのだ。
科学哲学は生物学者にとって役に立つのか?答えはイエスだ。生物学からも刺激を受け、クーンやポパー以降飛躍的に発展してきた科学哲学はいま、生物学者にもっと役立てられるのを待っている。さらに本書は「生物学者のための」と銘打ちつつも、物理学者や心理学者も目を向けるべき科学哲学の主なトピックを展開。最新の実践的入門書!
【原著】Kostas Kampourakis and Tobias Uller, Philosophy of Science for Biologists(Cambridge University Press, 2020)
科学哲学は生物学者にとって役に立つのか?答えはイエスだ。生物学からも刺激を受け、クーンやポパー以降飛躍的に発展してきた科学哲学はいま、生物学者にもっと役立てられるのを待っている。さらに本書は「生物学者のための」と銘打ちつつも、物理学者や心理学者も目を向けるべき科学哲学の主なトピックを展開。最新の実践的入門書!
【原著】Kostas Kampourakis and Tobias Uller, Philosophy of Science for Biologists(Cambridge University Press, 2020)
目次
はじめに[コスタス・カンプラーキス、トビアス・ウレル(鈴木大地 訳)]
第1章 なぜ生物学者は科学哲学に目を向けるべきなのか?[トビアス・ウレル、コスタス・カンプラーキス(鈴木大地 訳)]
1.1 導入
1.2 科学と科学哲学
1.3 戯画化されたクーンとポパー
1.4 科学の目的
1.5 科学の方法
1.6 科学的概念
1.7 結語
第2章 生物学における説明は何から構成されているのか?[アンジェラ・ポトチュニック(大久保祐作 訳)]
2.1 導入
2.2 原因、パターン、因果パターン
2.3 メカニズムから広範囲におよぶ原因へ
2.4 対立しないさまざまな説明
2.5 結論
第3章 生物学的知識とは何か?[ケヴィン・マケイン(大久保祐作 訳)]
3.1 生物学的知識を含む属
3.2 種々の命題的な生物学的知識
3.3 理論的知識と、最善の説明への推論
3.4 生物学的知識に関する誤解
3.5 結論
第4章 生物学における理論とモデルとは何か?[エミリー・C・パーク、アーニャ・プルティンスキー(大久保祐作 訳)]
4.1 導入
4.2 科学理論と科学的モデル
4.3 レンスキーによる長期の進化実験
4.4 実験とモデルの違いは何か
4.5 結論
第5章 生物学の概念はどのように使用され、どのように変容するのか?[インゴ・ブリガント(森元良太 訳)]
5.1 導入
5.2 研究アジェンダを設定する──概念の前向きな機能
5.3 概念の変化と変容
5.4 多元主義と概念の多様性
5.5 結語
第6章 なぜ多くの生物学の概念がメタファーであることが問題になるのか?[コスタス・カンプラーキス(森元良太 訳)]
6.1 生物学の概念にまつわるメタファーとは何か
6.2 メタファーの相互作用説
6.3 「生物は機械である」というメタファー
6.4 「自然選択」というメタファー
6.5 結論
第7章 概念はいかにして科学を前進させるのか?──進化生物学を例として[ディヴィッド・J・デピュー(三中信宏 訳)]
7.1 導入
7.2 科学理論におけるメタファーの役割──ダーウィンの漸進主義的な自然選択概念を例として
7.3 科学的問題解決としての概念の明瞭化──ネオダーウィニズムを例として
7.4 対立する概念的枠組みと科学論争──遺伝学的ダーウィニズム、分子革命、そして概念が担うもうひとつの大事な役割
7.5 結論──新たな科学教育学に向けて
第8章 概念分析は科学の実践にとっていかなる貢献があるのか?──文化進化学を例として[ティム・レーウェンス(三中信宏 訳)]
8.1 概念分析
8.2 文化進化──その基盤
8.3 背景──文化進化論の目標
8.4 遺伝子と文化
8.5 個体学習と社会的学習
8.6 生態的遺伝と文化蓄積
8.7 結論
第9章 生命科学者はどのような方法を用いるのか?──略史と哲学的含意[エリク・L・ピーターソン(吉田善哉 訳)]
9.1 導入
9.2 アミロイドβの事例
9.3 ただひとつの科学の方法か、人それぞれのさまざまな方法か
9.4 生命科学の方法を求めて
9.5 生命科学ははじめベーコン主義的だった
9.6 ベーコン主義的方法の改定(1)──「介入」と機械のアナロジー
9.7 ベーコン主義的方法の改定(2)──ガラス器のなかの死せる生物
9.8 理論的対象の研究には異なる方法が求められる
9.9 ダーウィンは何をしたのか
9.10 生物学の新しい理論的対象と新たな仮説演繹法
9.11 方法の分類
9.12 結論──アミロイドβの事例、再訪
第10章 地球上の生命の歴史を科学的に復元することは可能なのか?──生物科学と太古の歴史[キャロル・E・クレランド(三中信宏 訳)]
10.1 導入
10.2 実験科学と科学的方法
10.3 歴史科学、実験科学、そして過大決定の非対称性
10.4 白亜紀末期の大量絶滅
10.5 最終普遍共通祖先と生命の系統樹
10.6 リボザイムの発見
10.7 結論
第11章 生物分類の基盤は何か?──自然の体系の探索[トーマス・A・C・レイドン(三中信宏 訳)]
11.1 多様性の議論には多様性の分類が前提となる
11.2 自然分類体系と人為分類体系
11.3 事物の自然の秩序に関するアリストテレスとリンネの思想
11.4 ダーウィンの対立理論と種の疑問
11.5 遺伝子の分類と分類の理論依存性
11.6 生物分類はなぜ難しいのか
第12章 生物科学における科学論争とはいったいどのようなものなのか?[マイケル・R・ディートリック(吉田善哉 訳)]
12.1 導入
12.2 論争とその始まり
12.3 なぜ論争は続くのか
12.4 論争はどのようにして終わるか
12.5 相対的重要性に関する論争
12.6 結論
第13章 生物科学において事実と価値はどのような関係にあるのか?──社会のなかの生物学[キャリー・フリース、バーバラ・プレインサック(吉田善哉 訳)]
13.1 事実と価値
13.2 社会のなかの生物科学──歴史的事例
13.3 社会のなかの生物科学──現代の事例
13.4 よい科学とは何か?──価値、倫理、知識
13.5 結論
第14章 創造論の時代の哲学者──生物学の哲学に携わった50年で学んだこと、生物学者に伝えたいこと[マイケル・ルース(鈴木大地・森元良太 訳)]
14.1 創造論
14.2 生物学の哲学の創始
14.3 生物学史
14.4 アーカンソー州反進化論裁判
14.5 妥協
14.6 目的論
14.7 進歩
14.8 〈進歩〉と〈摂理〉の対立
14.9 まとめ
14.10 結句(アンヴォワ)
第15章 生物学者に科学哲学を教えるにはどうすればよいか?[コスタス・カンプラーキス、トビアス・ウレル(鈴木大地 訳)]
15.1 導入
15.2 生物学者に科学哲学を教えるときにしてはならないこと
15.3 科学哲学を教えるときにしたほうがよいこと
15.4 結論
読書案内
訳者あとがき
索引
著者・訳者紹介
第1章 なぜ生物学者は科学哲学に目を向けるべきなのか?[トビアス・ウレル、コスタス・カンプラーキス(鈴木大地 訳)]
1.1 導入
1.2 科学と科学哲学
1.3 戯画化されたクーンとポパー
1.4 科学の目的
1.5 科学の方法
1.6 科学的概念
1.7 結語
第2章 生物学における説明は何から構成されているのか?[アンジェラ・ポトチュニック(大久保祐作 訳)]
2.1 導入
2.2 原因、パターン、因果パターン
2.3 メカニズムから広範囲におよぶ原因へ
2.4 対立しないさまざまな説明
2.5 結論
第3章 生物学的知識とは何か?[ケヴィン・マケイン(大久保祐作 訳)]
3.1 生物学的知識を含む属
3.2 種々の命題的な生物学的知識
3.3 理論的知識と、最善の説明への推論
3.4 生物学的知識に関する誤解
3.5 結論
第4章 生物学における理論とモデルとは何か?[エミリー・C・パーク、アーニャ・プルティンスキー(大久保祐作 訳)]
4.1 導入
4.2 科学理論と科学的モデル
4.3 レンスキーによる長期の進化実験
4.4 実験とモデルの違いは何か
4.5 結論
第5章 生物学の概念はどのように使用され、どのように変容するのか?[インゴ・ブリガント(森元良太 訳)]
5.1 導入
5.2 研究アジェンダを設定する──概念の前向きな機能
5.3 概念の変化と変容
5.4 多元主義と概念の多様性
5.5 結語
第6章 なぜ多くの生物学の概念がメタファーであることが問題になるのか?[コスタス・カンプラーキス(森元良太 訳)]
6.1 生物学の概念にまつわるメタファーとは何か
6.2 メタファーの相互作用説
6.3 「生物は機械である」というメタファー
6.4 「自然選択」というメタファー
6.5 結論
第7章 概念はいかにして科学を前進させるのか?──進化生物学を例として[ディヴィッド・J・デピュー(三中信宏 訳)]
7.1 導入
7.2 科学理論におけるメタファーの役割──ダーウィンの漸進主義的な自然選択概念を例として
7.3 科学的問題解決としての概念の明瞭化──ネオダーウィニズムを例として
7.4 対立する概念的枠組みと科学論争──遺伝学的ダーウィニズム、分子革命、そして概念が担うもうひとつの大事な役割
7.5 結論──新たな科学教育学に向けて
第8章 概念分析は科学の実践にとっていかなる貢献があるのか?──文化進化学を例として[ティム・レーウェンス(三中信宏 訳)]
8.1 概念分析
8.2 文化進化──その基盤
8.3 背景──文化進化論の目標
8.4 遺伝子と文化
8.5 個体学習と社会的学習
8.6 生態的遺伝と文化蓄積
8.7 結論
第9章 生命科学者はどのような方法を用いるのか?──略史と哲学的含意[エリク・L・ピーターソン(吉田善哉 訳)]
9.1 導入
9.2 アミロイドβの事例
9.3 ただひとつの科学の方法か、人それぞれのさまざまな方法か
9.4 生命科学の方法を求めて
9.5 生命科学ははじめベーコン主義的だった
9.6 ベーコン主義的方法の改定(1)──「介入」と機械のアナロジー
9.7 ベーコン主義的方法の改定(2)──ガラス器のなかの死せる生物
9.8 理論的対象の研究には異なる方法が求められる
9.9 ダーウィンは何をしたのか
9.10 生物学の新しい理論的対象と新たな仮説演繹法
9.11 方法の分類
9.12 結論──アミロイドβの事例、再訪
第10章 地球上の生命の歴史を科学的に復元することは可能なのか?──生物科学と太古の歴史[キャロル・E・クレランド(三中信宏 訳)]
10.1 導入
10.2 実験科学と科学的方法
10.3 歴史科学、実験科学、そして過大決定の非対称性
10.4 白亜紀末期の大量絶滅
10.5 最終普遍共通祖先と生命の系統樹
10.6 リボザイムの発見
10.7 結論
第11章 生物分類の基盤は何か?──自然の体系の探索[トーマス・A・C・レイドン(三中信宏 訳)]
11.1 多様性の議論には多様性の分類が前提となる
11.2 自然分類体系と人為分類体系
11.3 事物の自然の秩序に関するアリストテレスとリンネの思想
11.4 ダーウィンの対立理論と種の疑問
11.5 遺伝子の分類と分類の理論依存性
11.6 生物分類はなぜ難しいのか
第12章 生物科学における科学論争とはいったいどのようなものなのか?[マイケル・R・ディートリック(吉田善哉 訳)]
12.1 導入
12.2 論争とその始まり
12.3 なぜ論争は続くのか
12.4 論争はどのようにして終わるか
12.5 相対的重要性に関する論争
12.6 結論
第13章 生物科学において事実と価値はどのような関係にあるのか?──社会のなかの生物学[キャリー・フリース、バーバラ・プレインサック(吉田善哉 訳)]
13.1 事実と価値
13.2 社会のなかの生物科学──歴史的事例
13.3 社会のなかの生物科学──現代の事例
13.4 よい科学とは何か?──価値、倫理、知識
13.5 結論
第14章 創造論の時代の哲学者──生物学の哲学に携わった50年で学んだこと、生物学者に伝えたいこと[マイケル・ルース(鈴木大地・森元良太 訳)]
14.1 創造論
14.2 生物学の哲学の創始
14.3 生物学史
14.4 アーカンソー州反進化論裁判
14.5 妥協
14.6 目的論
14.7 進歩
14.8 〈進歩〉と〈摂理〉の対立
14.9 まとめ
14.10 結句(アンヴォワ)
第15章 生物学者に科学哲学を教えるにはどうすればよいか?[コスタス・カンプラーキス、トビアス・ウレル(鈴木大地 訳)]
15.1 導入
15.2 生物学者に科学哲学を教えるときにしてはならないこと
15.3 科学哲学を教えるときにしたほうがよいこと
15.4 結論
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訳者あとがき
索引
著者・訳者紹介
著者略歴
コスタス・カンプラーキス(コスタス カンプラーキス kosutasu kanpuraakisu)
コスタス・カンプラーキス(Kostas Kampourakis)
進化、遺伝学、哲学、科学史に関する著作家、編集者であり、ケンブリッジ大学出版局の“Understanding Life” シリーズの編集者。Science & Education 誌、およびScience: Philosophy, History, and Education シリーズの編集長を経て、現在、ジェノヴァ大学の研究員、また生物学科および教員養成センターの教員。
トビアス・ウレル(トビアス ウレル tobiasu ureru)
トビアス・ウレル(Tobias Uller)
ルンド大学(スウェーデン)の進化生物学の教授。発生、遺伝、進化の関係について、数理モデリングや概念分析の手法にもとづく統合的なアプローチを用いて研究。これまでにイギリス、アメリカ、スウェーデンのフェローシップを受け、2018年にスウェーデン王立科学アカデミーからターゲ・エルランデル科学技術研究賞を受賞。
鈴木 大地(スズキ ダイチ suzuki daichi)
鈴木 大地(すずき だいち)
筑波大学生命環境系助教、北海道大学人間知・脳・AI 研究教育センター(CHAIN)客員研究員。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、現職。訳書に、シモーナ・ギンズバーグ&エヴァ・ヤブロンカ『動物意識の誕生(上・下)─生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化』(勁草書房、2021)、トッド・E・ファインバーグ&ジョン・M・マラット『意識の進化的起源─カンブリア爆発で心は生まれた』(同、2017)、同『意識の神秘を暴く─脳と心の生命史』(同、2020)。
森元 良太(モリモト リョウタ morimoto ryouta)
森元 良太(もりもと りょうた)
北海道医療大学准教授。1975年、広島生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(哲学)。著書に『生物学の哲学入門』(共著、勁草書房、2016)、『ダーウィンと進化論の哲学』(共著、勁草書房、2011)ほか、訳書にエリオット・ソーバー『オッカムのかみそり─最節約性と統計学の哲学』(勁草書房、2021)、同『進化論の射程──生物学の哲学入門』(共訳、春秋社、2009)、イアン・ハッキング『確率の出現』(共訳、慶應義塾大学出版会、2013)ほか。
三中 信宏(ミナカ ノブヒロ minaka nobuhiro)
三中 信宏(みなか のぶひろ)
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農業環境研究部門専門員、東京農業大学客員教授。1958年、京都生まれ。専門分野は進化生物学・生物統計学。主著に『系統体系学の世界─生物学の哲学とたどった道のり』(勁草書房、2018)、『系統樹思考の世界─すべてはツリーとともに』(講談社現代新書、2006)、訳書にエリオット・ソーバー『過去を復元する─最節約原理、進化論、推論』(勁草書房、2010)など。
大久保 祐作(オオクボ ユウサク ookubo yuusaku)
大久保 祐作(おおくぼ ゆうさく)
情報システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設データ同化研究支援センター特任研究員、同統計数理研究所モデリング研究系および統計思考院特任研究員。北海道大学環境科学院にて博士(環境科学)。株式会社調和技研リサーチャー、北海道大学人間知・脳・AI研究教育センター特任研究員を経て現職。専門分野は主に生態・進化学における統計的手法の開発応用と、その科学哲学的側面。主な論文に“A novel phylogenetic comparative methodfor evaluating the strength of branch-specific directional selection” Evolution(2023)、「p値とは何だったのか─Fisher の有意性検定とNeyman-Pearson の仮説検定を超えるために」生物科学(2019)など。
吉田 善哉(ヨシダ ヨシナリ yoshida yoshinari)
吉田 善哉(よしだ よしなり)
ミネソタ大学哲学科博士課程。1990年、英国生まれ。修士(哲学)。専門分野は科学哲学・生物学の哲学。論文に“Multiple-Models Juxtaposition and Trade-Offs among Modeling Desiderata,”Philosophy of Science 88(1): 103-123(2021)など。
タイトルヨミ
カナ:セイブツガクシャノタメノカガクテツガク
ローマ字:seibutsugakushanotamenokagakutetsugaku
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