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2019年10月25日発売

人文書院

出版社名ヨミ:ジンブンショイン

現代思想からの動物論

戦争・主権・生政治
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内容紹介
人文学の動物論的転回。あらゆる権力支配の基盤に、人間による動物支配をみる力作

人文学では近年、動物というテーマが盛んに議論され、脱人間中心主義へと向かう現代の思想潮流とも響き合い、ますます熱を帯びたものとなっている。本書はその流れに決定的なインパクトをもたらすだけでなく、あらゆる思想概念に根底的な再考を迫る理論的成果である。フーコー、アガンベン、デリダ、ハラウェイ、スピヴァク、キムリッカなど広範な思想家の理論を通し、「動物」という視角から主権や統治といった概念を批判的再審に付す作業は、現代思想の限界を示すと同時に、新たな可能性をももたらすものとなるだろう。人間と動物との暴力的関係を停止し、存在の新たな関係を構想する、力みなぎる一書。

「本書は人間動物関係を平和の装いに覆われた戦争と捉え、人文学が生んだ種々の概念装置によってその構造を解き明かすとともに、動物たちの主権回復へ向けた方途を模索する作品である。著者は権利、暴力、人種などのテーマを探究する社会政治学者であり、本書では人間と人外の動物の解放を目標に据える実践理論、批判的動物研究を軸に、浩瀚な理論知を駆使して対動物戦争の全体像を描き出す。アリストテレスからアガンベン、スピヴァクからデリダまで、古今の思想家たちが発展させてきた政治哲学、暴力論、解放理論を手がかりに、肯定的な言葉で語られてきた人間動物関係の暗部に光を当てる本書は、私たちの思考に根強く残る人間中心主義の存在を再確認し、その真の克服を目指す道しるべとなるだろう。のみならず、本書は動物という参照軸を通すことで、人間のための学に留まっていた諸理論の欠落を埋め、その刷新、さらには統合を促す可能性をも秘めている。諸分野を横断する動物の問題系は、主権理論、脱植民地化論、フェミニズム等の考察に、互いを結び付ける新たな層を付け加えるに違いない。」(訳者解題より)
目次
日本語版まえがき

謝辞

緒言(マシュー・カラーコ)

序章 生け吊り
 動物たちとの戦争/生政治/間主体的、制度的、認識的暴力
 主権は倫理に先行する/戦争と真実

第一部 生政治

第一章 剝き出しの生

 アリストテレスの生政治/アガンベンの剝き出しの生
 集中生政治/死滅政治/生権力を超えて?

第二章 統治性

 統治戦争/牧羊権力/ユダの山羊

第二部 征服

第三章 免疫
 免疫と財産/動物免疫

第四章 財産と商品
 財産/商品

第三部 私的支配

第五章 私有化と格納
 暴力と私有化された統治/格納戦争

第六章 伴侶関係

第四部 主権

第七章 潜在能力
 類人猿の主権/市民、野生動物の主権、永住市民権

第八章 愚かさの暴力
 デリダの獣/白鯨

終章 停戦

訳者解題

人名索引
著者略歴
ディネシュ J ワディウェル(ディネシュワディウェル dineshuwadiweru)
ディネシュ・J・ワディウェル Dinesh Joseph Wadiwel/オーストラリアの人権・社会法学者。市民団体の一員として15年以上にわたり貧困撲滅運動や障害者支援に携わる。2005年、西シドニー大学で博士号を収め、現在、シドニー大学の上級講師。主な研究領域は暴力理論、人種理論、障害者の権利論、批判的動物研究。シドニー大学の人間動物研究ネットワーク(HARN)議長、障害者の権利研究ネットワーク共同議長を務める。共編著にAnimals in the Anthropocene: Critical Perspectives on Non-human Futures (Sydney University Press, 2015)およびFoucault and Animals (Brill, 2016)があるほか、論文多数。
井上 太一( )
井上 太一(いのうえ・たいち) 翻訳家。日本の動植物倫理・環境倫理を前進させるべく、関連する海外文献の翻訳に従事。デビッド・A・ナイバート『動物・人間・暴虐史』(新評論、2016年)、ゲイリー・L・フランシオン『動物の権利入門』(緑風出版、2018年)、ジェームズ・スタネスク+ケビン・カミングス編『侵略者は誰か?』(以文社、2019年)ほか、訳書多数。ホームページ:「ペンと非暴力」(https://vegan-translator.themedia.jp/)
タイトルヨミ
カナ:ゲンダイシソウカラノドウブツロン
ローマ字:gendaishisoukaranodoubutsuron

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