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2020年4月8日発売

人文書院

出版社名ヨミ:ジンブンショイン

イスラエル政治研究序説

建国期の閣議議事録 1948年
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内容紹介
イスラエルが建国されパレスチナ難民が発生した1948年
閣内の多様な意見はいかにして収斂されていったのか?
共存の選択肢はいかにして消えていったのか?

一次史料であるイスラエル建国期の閣議議事録を紹介すると共に詳細に分析。激動の国際情勢を背景にイスラエル内閣、そして切り捨てられた少数意見に光を当てる実証的研究。

イスラエル・パレスチナ紛争の原型が濃縮された七十年前の政策論争の実態は――

特に第一次停戦やベルナドット和平提案をめぐる論議では・・・対外政策の根幹に関わる激論が交わされ、七〇年前の議事録に漲る緊張は、結局は消えていったものの当時確かに存在した様々な選択肢に分析者を注目させずにはおかない。それらの選択肢には、紛争が固定化した今日ではもはや提案する事すら考えられない、アラブに対する様々な譲歩の可能性も含まれていた。(「序論」より)
目次
凡例
イスラエル暫定政府の閣僚リスト・閣僚のプロフィール

序論――「政治性」を排した紛争地政治研究の試み――
1.本書の目的と射程
(1)問題の所在と本書の目的  (2)本書の射程
2.各章の構成と執筆(編集)方針
3.本書の歴史的背景・分析視角・概要
(1)歴史的背景――暫定政府の成立まで――  (2)分析視角  (3)各章の概要
4.俯瞰と展望――幾つかの論点――
序論註

第一章 建国前夜における統治権力確立過程とアラブ問題
――1948年4月18日~ 5月13日――
はじめに――イスラエル建国史研究における閣議議事録の意義――
1. 史料の構成・性格と背景
(1)建国期の閣議議事録の構成・性格と『人民執行部 議事録』の位置づけ
(2)本議事録の時代的・政治的背景
2. 史料紹介――『人民執行部 議事録』の概要――
(1)1948 年4 月18 日
(2)1948 年4 月21 日
(3)1948 年4 月25 日
(4)1948 年4 月26 日
(5)1948 年5 月3 日
①防衛問題の扱い ②資金問題 ③人民評議会のセッション
④エルサレム問題 ⑤地方統治 ⑥官僚 ⑦その他  〈付録〉
(6)1948 年5 月4 日
(7)1948 年5 月5 日朝
(8)1948 年5 月5 日夕
(9)1948 年5 月12 日朝
①アグダト・イスラエルを人民執行部に参加させる件
②アブドゥッラー(トランスヨルダン王)との会見についてのメイルソンの報告
③シェルトクの報告
④ヤディン作戦部長・ハレル諜報司令官の報告と,停戦についての話し合い
(10)1948 年5 月12 日夕
①エルサレムにおける停戦 ②建国宣言 ③国防相ポスト ④国名の決定
(11)1948 年5 月13 日
①状況の概観 ②[建国]宣言草案についての話し合い
③シュコルニク[エシュコル]とガリリの手紙 ④政治的情報
⑤国家基本法―声明 ⑥[建国]宣言の日の手順
3. 考察――本議事録に見る優先的審議事項とアラブ問題――
(1)統治権力と諸制度の確立
(2)安保理の停戦決議をめぐる方針
(3)建国宣言
(4)アラブ問題――上記(1)~(3)を背景として――
①ハイファ視察に関するシトリトの報告(1948 年5 月3 日) ②残留アラブ人の処遇
③トランスヨルダンとの関係  ④アラブ帰還問題  ⑤建国宣言のシェルトク草案
終わりに――本議事録に見るアラブ問題の諸相と,思想史及び政治学を統合する方法論の可能性――
第一章註

第二章 イスラエル国家の性格及び諸制度をめぐる論争とアラブ問題
――1948年5月16日~5月30日――
はじめに――危機の二週間における「権力」と,国の理念をめぐる論争――
1.史料の性格と背景
(1)『暫定政府会合議事録』の位置づけ
(2)本議事録の軍事的・政治的背景
①軍事的背景  ②政治的背景
2.史料紹介――『暫定政府会合議事録』第1 巻の概要――
(1)1948 年5 月16 日
  ①議題についての提案 ②諸会合の規則の提案 ③諸政府との交渉についての報告 ④代表の問題 ⑤前線の状況についての報告 ⑥閣僚ポストの割り当て ⑦国家の土台をおく法令 
⑧国家評議会議長としてワイツマン博士を選出すること
(2)1948 年5 月19 日
  ①軍事状況についての情報 ②「統治と法の諸措置」令についての話し合い ③船舶旗法と切手法 ④今後の政府会合 ⑤アリヤーの諸問題 ⑥赤十字の庇護下にあるテルアヴィヴの病院
(3)1948 年5 月20 日
  ①軍事状況についての情報、対外事項 ②代表(大使)の任命 ③時計を2 時間前に戻すこと 
④婦女子を移動させる必要性のための予算配分 ⑤購入命令を出す権限 ⑥旗 
⑦閣僚ポストの割り当て,政治行政機関の構成 ⑧「統治と法の諸措置」令 1948 年
(4)1948 年5 月23 日
  ①軍事状況についての情報 ②対外事項についての情報,ジュネーヴからの国際赤十字の電報 
③ユダヤ人とアラブ人に36 時間以内に停戦する事を命じる国連安保理決議 
④閣僚ポストの割り当て、国防事項の為の五人委員会 ⑤船舶登録証の為の政府登録官の任命 
⑥国家評議会の開催  ⑦イスラエル国防軍令  ⑧イスラエル国家における電車のシンボル 
⑨国民勤労奉仕のための国のマンパワーの動員についての緊急時規則に関する話し合い 
⑩暫定政府会合の運営規程   ⑪警戒時における仕事の手順 
⑫官庁をサロナに集中させる事について
(5)1948 年5 月26 日
  ①安保理側からの停戦要求 ②イスラエル国防軍令 ③軍事的戦線の状況――情報 ③ 1.[ママ]政治的情報 ④閣僚ポストと法における権限 ⑤マンパワーの動員 [⑥削除] ⑦裁判官の承認
(6)1948 年5 月30 日
  ①国防軍への誓いの文面 ②軍事的状況についての概観  ③対外政策の諸問題についての概観 ④閣僚ポストの割り当て [⑤はもともと欠落] ⑥停戦についての安保理決議 ⑦征服地法 
⑧ 1941 年ハガナー規程(資金) ⑨所得税法(暫定的な指示) ⑩政府官庁における労働時間 ⑪省庁間委員会
3.考察――本議事録に見る優先的審議事項とアラブ問題――
(1)イスラエル国家に対する諸外国の承認
(2)閣僚ポストの割り当て
①宗教政党出身者のポストをめぐる紛糾  ②ベングリオンの国防相ポスト受諾をめぐる紛糾
(3)「統治と法の諸措置」令
①暫定国家評議会と暫定政府の構成メンバー
②議会と内閣の関係――予算決定権と立法権をめぐる闘争――
③委任統治政府からの法と権力の継承
④司法
(4)イスラエル国防軍令
(5)安保理停戦決議の受諾をめぐって
(6)アラブ問題
①イスラエルに対するアラブ諸国の承認問題
②議会と内閣へのアラブ人の参加――「統治と法の諸措置」令1 ~ 2 条――
③アラブ地域の掌握とユダヤ化
④国境線問題
⑤政府・官庁におけるアラブ市民の扱い
  (ⅰ)ヴァアド・レウミから政府への業務移管 
  (ⅱ)宗教省の設置及び役割をめぐる議論
  (ⅲ)内務省と国籍問題
  (ⅳ)法務省とヘブライ法及び裁判官任命問題
  (ⅴ)少数派省
終わりに――暫定政府に残存していた「アラブ人帰還」と「市民国家」の選択肢――
第二章註

第三章 第一次停戦受諾とイスラエル国境・アラブ難民帰還問題をめぐる論議――1948年6月1日~6月16日――
はじめに――第一次停戦とアラブ難民帰還阻止の方向性の明確化――
1.史料の性格と背景
(1)本議事録の位置づけ
(2)本議事録の軍事的・政治的背景
 ①軍事的背景  ②政治的背景
2.史料紹介――『暫定政府会合議事録』第2 巻・第3 巻(一部)の概要――
(1)1948 年6 月1 日
①首相の概括  ②敵対行為の停止についての安保理決議
③武器購入のためのローン ④反対派組織の終わり ⑤エルサレム,ナハリヤ地域における支出
(2)1948 年6 月2 日
①状況についての報告  i)軍事的状況  ii)政治的状況  iii)アリヤーの状況
②国家評議会の議題  ③国の休日法  ④エレツ・イスラエル政府の労働者の法令 
⑤裁判所法(移行期の指示) ⑥官庁における労働時間  ⑦警戒時における労働措置 
⑧サロナへの官庁の集中  ⑨サロナの名称  ⑩予算の諸事項 
⑪ 5 年間にわたるハイファ市のローンに対する10 万リラの政府保証 
⑫緊急時のための諸規則  ⑬国境線に関する国の政策  ⑭文民当局と軍当局の間の権限の線引き 
⑮軍法――軍の法律  ⑯[もともと欠落] ⑰様々な部署の長たちの統治への参加 
⑱副大臣の件  ⑲農業省の名称変更  ⑳専門家の為の委員会  ㉑農業評議会 
(3)1948 年6 月4 日
①軍事的状況についての概観  ②敵対行為の停止についての交渉 
③安保理の前にイスラエル国家が現れること
(4)1948 年6 月6 日
①軍事的状況についての報告  ②ラビ・Y・L・フィシュマンの質疑  ③M.ベントヴ大臣の質疑 
④民族ローンに対する政府の保証 
⑤国とシオニスト機構;11 月29日国境線外のエレツ・イスラエルにおける諸共同体 
⑥アリヤーの諸問題 ⑦停戦についての交渉 ⑧市場評議会とシトラス・フルーツ監督評議会の問題
 ⑨動員の問題  ⑩緊急時の為の様々な大臣の権限
(5)1948 年6 月7 日(臨時会合)
①安保理における我々の出席形態  ②国のシンボルと国旗
(6)1948 年6 月8 日(臨時会合)
①エルサレムへの道を開くこと  ②敵対行為の中止についての交渉
(7)1948 年6 月9 日(臨時会合)
①エルサレムへの食糧輸送  ②敵対行為の中止についての交渉[審議なし]
(8)1948 年6 月9 日(定例会合)
①ツィスリング大臣の質疑  ②政府会合  ③ラビ法廷についての質疑 
④外国籍保有者についての質疑  ⑤在外の大使や公使の承認 
⑥停戦に関する政府決定についての発表  ⑦国家評議会の開催  ⑧ 11 頁削除  
⑨農業評議会の構成  ⑩パンの価格設定  ⑪政府会合規程の修正  ⑫税関吏法(修正)
(9)1948 年6 月14 日
①状況についての情報  ②停戦時のための行動計画  ③国家評議会の開催 
④征服された地域における秩序と,放棄された財産に対する監督 
⑤安保理における国の出席形態
(10)1948 年6 月16 日
①質疑  ②イスラエルと国際郵便連合の関係  ③イスラエルの政策の諸問題
④植物保護法令とシトラス・フルーツ法令(監督と市場販売) ⑤政治的情報
3.考察(一)――6 月14 日閣議までの優先的審議事項とアラブ問題――
(1)第一次停戦(安保理停戦決議)の受諾をめぐって――6 月4 日まで――
①エルサレム問題――食糧補給と道の移動の自由―― ②軍の移動の凍結 ③アリヤーの継続可能性 
④ユダヤ人移民の軍事訓練  ⑤武器禁輸と武器の移動
(2)第一次停戦の受諾と発効後の展開をめぐって――6 月6 日(ベルナドット文書)以降――
①ベルナドット文書への回答をめぐる論議(6 日)
②ベルナドット書簡への回答をめぐる論議(8 日臨時閣議・9 日臨時閣議)
③停戦発効後の論議
(3)戦争に関連する他の問題
①報道規制と情報公開  ②軍と文民当局の関係
③動員の問題  ④停戦受諾を国民にいかに伝えるか
(4)国の宗教性をめぐる論争――休日法をめぐって――
(5)国境線問題
(6)アラブ難民帰還問題
(7)その他
①国防軍の統合と再編   ②イスラエル大使・公使の任命と承認 
③ユダヤ機関から暫定政府への国連代表権の移行
4.考察(二)――6 月16 日閣議とアラブ問題――
(1)シェルトクの報告
①国境線変更(領土修正)の可能性と南ネゲヴ・西ガリラヤ交換論
② <アラブ難民自発退去>論,<「内部的領土」による補償>論,及び帰還阻止路線
③アラブ人パレスチナの帰趨――トランスヨルダンとの関係――
(2)ベングリオンの見解
①国連分割決議の無効性と軍事力による解決
②ネゲヴ放棄への反対  ③エルサレムと西ガリラヤ(軍事的側面)
④アラブ難民帰還阻止  ⑤近隣アラブ諸国との連合
(3)ツィスリングの見解
①対英関係
②政治路線の明確化
(i)ネゲヴ (ii)アブドゥッラー (iii)国際的エルサレムの擁護 
(iv)戦争に由来する領土的追加 
③アラブ難民帰還問題
終わりに――「市民国家」の後退と6 月16 日閣議の意味――
第三章註

第四章 ベルナドット和平提案とイスラエル国家の「主権」をめぐる論議
――1948年6月30日~7月4日――
はじめに――建国期イスラエル政治における「主権」概念の変容――
1. 史料の性格と背景
(1) 本議事録の位置づけ
(2) 本議事録の軍事的・政治的背景
① 軍事的背景
② 政治的背景
  (ⅰ)6 月16 日閣議の後から6 月27 日閣議までの政治的背景
  (ⅱ)6 月28 日以降の政治的背景――ベルナドット和平提案の提示――
  (ⅲ) 6 月28 日以降の政治的背景――ベルナドット和平提案への双方の反応――
  (ⅳ)本議事録における暫定政府の閣僚構成
2.史料紹介――『暫定政府会合議事録』第4 巻前半の概要――
(1)1948 年6 月30 日
① M. エリアシュ博士の報告  ② 質疑  ③ アリヤーの諸事項についての諸決定
④ 国連を代表する仲介者の諸提案  ⑤ [タイトル・内容共に削除]
⑥ アリヤーの諸事項についての提案をめぐる票決  ⑦ 予算の諸問題  ⑧ 外国通貨への監視
⑨ 外国臣民の登録  ⑩ 安息日における電車の運行  ⑪ 近隣諸国の人々の財産
(2)1948 年7 月2 日 暫定政府の臨時会合
① 質疑   ② 仲介者の提案   ③ 軍における状況
(3)1948 年7 月4 日
① 仲介者の提案  ② 質疑
3.考察(一)――本議事録に見る優先的審議事項とアラブ問題――
(1)イスラエルの国連加盟と国家承認に関する諸問題
(2)ベルナドット提案をめぐる論議――時系列的概観――
① 6 月30 日閣議
 (ⅰ)ベルナドット提案に関するシェルトクの概要説明  
 (ⅱ) ベルナドット提案に関するベングリオンの意見文書(6 月30 日文書)
  (ⅲ)技術的な点についての話し合い
② 7 月2 日閣議
  (ⅰ)シェルトクの報告と現状分析
  (ⅱ)ベルンシュタインの問題提起――戦争継続による損失――
  (ⅲ)ベングリオンとグリュンバウムの強硬論――「力による制圧」――
  (ⅳ)ローゼンブルートの反論とツィスリングの強硬論
  (ⅴ) 穏健派の議論(シトリト、レヴィン、ベントヴ、シャピラ、カプラン)
  (ⅵ)7 月2 日シェルトク案 ―11 月29 日決議への言及―
③ 7 月4 日閣議
  (ⅰ) 7 月4 日シェルトク案  (ⅱ)ベングリオン案 (ⅲ)グリュンバウム・ツィスリング案
  (ⅳ)ローゼンブルート案  (ⅴ)ベルンシュタイン案  (ⅵ)シャピラ・レヴィン案
  (ⅶ)ベントヴ案  (ⅷ)シトリト案  (ⅸ)カプラン案
  (ⅹ) ベルナドット提案への回答(文書)の仕方に関する閣議決定と意見陳述
  (ⅺ) ベルナドットとの交渉(口頭)で予想される質問への回答に関する閣議決定と意見陳述
(3)アラブ帰還に関わる諸問題
①  アリヤー推進と農業入植  ② 残留アラブ人の登録  ③ ハイファをめぐるアラブの動き
(4)その他(主要な議題のみ)
① 予算  ② ユダヤ教関連  ③ アルタレナ号事件関連
4.考察(二)――ベルナドット提案への暫定政府回答とベルナドットの反応――
(1)閣議における議論と7 月5 日付暫定政府回答との整合性
① 暫定政府回答の基調  ② 暫定政府回答の逐条的考察――閣議内容との整合性――
(2)7 月5 日付暫定政府回答に対する7 月6 日付ベルナドット回答
終わりに――アツマウートからリボヌートへ 暫定政府の「主権」概念の世界史的文脈――
第四章註

主要な人名・地名・組織名等の一覧と解説
あとがき      
著者略歴
森 まり子(モリマリコ morimariko)
森 まり子(もり・まりこ) 跡見学園女子大学文学部教授。中東近現代史、政治思想史。東京大学教養学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。ハーバード大学中東研究所博士研究員、東京大学特任准教授を経て現職。『社会主義シオニズムとアラブ問題』(岩波書店、2002)、『シオニズムとアラブ』(講談社、2008)、論文に「『アメリカの民主主義』の蹉跌」(2015)、「アメリカ外交における『自由』と『介入』」(2017)等。
タイトルヨミ
カナ:イスラエルセイジケンキュウジョセツ
ローマ字:isuraeruseijikenkyuujosetsu

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