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2020年3月30日発売

明石書店

出版社名ヨミ:アカシショテン

永遠なる臨時政府の少年

解放後の混乱と民主化の闘い
大韓民国臨時政府の記憶
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内容紹介
母・鄭靖和の『長江日記』に続き二代にわたって臨時政府の志を守り抜いた市井の韓国人の歴史的自伝。著者は1928年に大韓民国臨時政府で生まれ17歳で解放を迎え、南北分断・朝鮮戦争・独裁政権と続く激動の韓国現代史を言論人、実業家として誠実に生き抜く。
目次
 はじめに

第Ⅰ部 重慶時代

1.帰国前夜
 漢口の焼き塩サバ
 孫昌植と鄭桓範
 韓国人検札係

2.解放
 突如訪れた解放の両面
 OSSと光復軍国内前進工作
 学徒兵出身者との因縁
 菜園作りと配給「平価米」
 霧の都、重慶の冬の天候
 肺結核に奪われた朴次貞と金仁

3.学生時代
 小学校、五度の転校
 江津第九中学時代の三兄弟
 学窓時代の思い出と友人たち
 聞くに堪えなかった「亡国奴」という言葉
 臨時学校教師の金孝淑夫妻と金哲
 光復陳線青年工作隊の少年隊員活動
 新聞と雑誌で時事に目覚める
 学生義勇軍に志願する
 韓国独立党の業務

4.臨時政府の先生方
 煩わしいことも厭わなかった「秘書長」車利錫
 私の「アジョシ」(おじさん)、白凡
 石吾・李東寧と省齋・李始榮
 臨時政府の先生方との思い出

5.臨時政府における諸事件
 第五支隊長、羅月煥暗殺事件の真相
 金九の右腕、安恭根を殺したのは誰か?
 忘れられない人たち 金英麟、金焔、李建佑
 日本軍「慰安婦」の女性たち

第Ⅱ部 帰国、そして激動の歳月

1.祖国への道
 米軍輸送船に乗って上海出発
 「個人資格」で帰国した臨時政府
 釜山到着、DDTの洗礼を受ける
 隠れた愛国者、友江・崔錫淳先生

2.故国で始まった生活
 尤史宅でもらった最後のお年玉
 父の親友、青田・李象範画伯
 ついに取り戻せなかった白雲荘

3.普成中学時代
 二度の苦杯の末、普成中学に進学
 普成中学時代の思い出
 「国大案波動」とストライキ反対
 解放空間での思い出
 不発に終わった独立運動資料収集

4.解放政局
 古下・宋鎭禹暗殺事件
 夢陽・呂運亨暗殺事件
 雪山・張德秀、雪山に葬られる

5.白凡・金九
 白凡「私の職業は独立運動家だ!」
 連鎖する要人暗殺の背後

6.信託統治
 モスクワ三相会議と『東亜日報』の誤報
 「五・一〇総選挙」と単独政府樹立
 「単独政府」に加わった省齋と海公
 族青と鐵驥・李範奭の変身

7.白凡を喪う
 白凡、凶弾に斃れる
 「無期懲役」安斗熙、「やるべきことをやり終えた」

8.大学入学と朝鮮戦争
 周囲の勧めでソウル大学法学部に進学
 朝鮮戦争勃発、三日でソウル占領
 義勇軍強制入隊、仮病で放免
 父の拉北と朴鍾吉の好意
 米軍通訳時代
 母の「附逆罪」による獄中生活と養女

第Ⅲ部 言論界時代

1.朝鮮日報
 『朝鮮日報』見習い一期
 外信部から始め板門店出入りも
 柳建浩社会部長との因縁
 『ニューヨークタイムズ』のヤルタ会談秘密文書
 宋建鎬と李泳禧
 銀馬車茶房と「李承晩暗殺謀議」
 『朝鮮日報』時代のこぼれ話
 百想・張基榮社長の功罪
 張基榮の二つの秘話
 金門島取材中に殉職した崔秉宇

2.再び言論界に
 進歩党事件と友人・曺奎澤
 「二・四波動」と『京郷新聞』廃刊事態
 四・一九革命と言論界復帰
 あっけなく幕を閉じた『セナラ新聞』

3.民族日報
 七・二九総選挙と『民族日報』創刊
 張勉政府の弾圧と印刷中断事態
 破格的な編集で紙面の差別化
 馬山三・一五義挙一周年現地取材
 大邱「二大悪法」反対闘争取材
 春窮期「絶糧農家」ルポ
 李鍾律編集局長と呉蘇白副局長
 『民族日報』記者たち
 民族主義者、趙鏞壽社長
 五・一六クーデターと『民族日報』
 軍事政権の生贄となった「民族日報事件」

4.最後の言論人時代
 共和党宣伝部長になりかけたいきさつ
 昇り龍の尹冑榮、追われた方樂榮
 言論界生活十年を締めくくる

第Ⅳ部 事業・社会活動時代(一九六五年~現在)

1.事業家の道
 韓国工業貿易部長
 ベトナムで韓金商社設立
 同窓生、李基洙慶南道知事の厄運

2.独裁時代
 小説「全斗煥」を翻訳して留置所に
 『朝鮮戦争の起源』翻訳
 革新系の人々との因縁
 「ミスター野党」と「路上礼拝」の思い出

3.家族の話
 母の一代記『長江日記』
 父の墓所を訪ねて
 鄭世永会長との特別な縁
 光復会
 独立功労者褒賞制度
 大韓民国臨時政府記念事業会創立
 回顧録『臨時政府の懐で』
 妻、金淑貞
 四人の子供たち

 おわりに 大韓民国臨時政府が夢見た国、永却の未来

 訳者あとがき 少年の思い出の食卓から始まる朝鮮近現代史[宋連玉]
著者略歴
金 滋東(キム ジャドン kimu jadon)
1928年、上海臨時政府庁舎に近い上海市愛仁里で独立運動家の父・金毅漢と母・鄭靖和との間の一人息子として生まれた。祖父は東農・金嘉鎭である。金九、李東寧、李始榮ら独立運動家にかわいがられ臨時政府とともに成長した。1946年、祖国に戻り普成中学とソウル大学校法学科を経て、『朝鮮日報』『民族日報』などで記者として活躍するが、5・16クーデターで執権した朴正熙が『民族日報』の趙鏞壽社長を死刑にしたことで言論界を去った。クーデター直後民主共和党の要職に就くことを請われたが、これを拒否し、軍事独裁政権と距離を置いたことは広く知られている。民主化運動に寄与しようと1980年代に『朝鮮戦争の起源』(ブルース・カミングス著)、『毛沢東伝記』(ハン・スーイン著)などを翻訳した。1987年6月抗争で改正された憲法前文に大韓民国臨時政府の法統が記されたことを契機に、臨時政府の資料を発掘・整理し、その意義を伝える事業を始め、この事業を民間運動に継承しようと2004年に社団法人・臨時政府記念事業会を立ち上げ、今日に至るまで会長として活動している。「民族日報事件真相究明委員会委員長」として活動してきた筆者と遺族の努力の結果、『民族日報』趙鏞壽社長は名誉回復した。2011年『ハンギョレ』「道を探して」欄に「臨時政府の懐に抱かれて」というタイトルの文章を83回連載した。中国語、英語に堪能な筆者は今もなお国際関係に優れた識見をもつ。
宋 連玉(ソン ヨノク son yonoku)
1947年、大阪府生まれ。青山学院大学名誉教授。著書に『脱帝国のフェミニズムを求めて――朝鮮女性と植民地主義』(有志舎)、共編著に『分断と対立を超えて――孤高の民族教育者・李慶泰の歩み』(海風社)、『軍隊と性暴力─20世紀の朝鮮半島』(現代史料出版)など、共著に『近代朝鮮の社会と思想』(未來社)、『「韓国併合」100年と日本の歴史学』(青木書店)、『講座 東アジアの知識人』(有志舎)、『歴史のなかの在日』(藤原書店)、『「慰安婦」問題を/から考える――軍事性暴力と日常世界』(岩波書店)、『ジェンダーから見た世界史』(大月書店)、『戦後日本の〈帝国〉経験』青弓社、『人々がつなぐ世界史』(ミネルヴァ書房)など、翻訳に『私の文化遺産踏査記2』(兪弘濬著、法政大学出版局)などがある。
一橋大学大学院言語社会研究科韓国学研究センター(ヒトツバシダイガクダイガクインゲンゴシャカイケンキュウカカンコクガクケンキュウセンター hitotsubashidaigakudaigakuingengoshakaikenkyuukakankokugakukenkyuusentaa)
タイトルヨミ
カナ:トワナルリンジセイフノショウネン
ローマ字:towanarurinjiseifunoshounen

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