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定価:4,950円(4,500円+税)
判型:A5
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内容紹介
東アジア未完成の課題である戦争と植民地支配という歴史の「負の遺産」を克服し、和解を実現するためにどのような歴史研究の可能性があるか。異なる国家体制、国民の歴史意識を相互の理解と和解に導くための新しい史学と歴史家ネットワークの形成を模索する。
目次
『和解学叢書』刊行に寄せて[浅野豊美・梅森直之・劉傑・波多野澄雄・外村大・土屋礼子]
はしがき 「知的和解」を追求する新しい歴史学[劉傑]
第Ⅰ部 歴史のなかの和解と対立
イントロダクション[澁谷由里]
第1章 中国前近代史にみる「和解」と「融和」[澁谷由里]
はじめに
1 内外における抗争と融和
2 朝貢冊封・羈縻・盟約――融和と和解の中国的なルール
おわりに――「融和」は「和解」になりうるか?
第2章 日中の「対支文化事業」言説からみる「和解」の可能性と限界――日中「共同」事業摸索をめぐって[桑原太朗]
1 日本政府の思惑と中国政府の反応
2 日中両国からの批判
3 「共同」事業の摸索と理念の共有
おわりに
第3章 日中「経済提携」と和解――一九三〇年代における関係改善の模索[矢野真太郎]
はじめに
1 経済提携の提起
2 日本国内における「経済提携」論
3 中国国内における「経済提携」論
4 二度の経済使節団
おわりに
第4章 天皇訪中と「和解」の限界――封じ込められた反日感情[城山英巳]
はじめに――「政治」「国民」二つの和解
1 外務省の危機意識
2 「市民との触れ合い」への道のり
おわりに――続く「戦争の歴史」との向き合い
第5章 和解における「人間」の回復――タイ中・タイ日関係にみる「妥協」の役割[タンシンマンコン・パッタジット]
1 国際情勢の変化と相互イメージの「再人間化」
2 歴史的特徴――負の遺産の不在
3 タイの外交文化――「蓮が傷まなければ水も濁らない」という価値観
終わりに
第Ⅱ部 知識人(歴史家)は「対立」の歴史に如何に直面してきたのか
イントロダクション[鄭成]
第6章 李大釗と日中間の知識人ネットワーク――清末民初日中間の知の交流と和解に対する一考察[黄斌]
1 李大釗と近代日中間の知の交流
2 日本留学とマルクス主義の受容
3 五・四運動と一九二〇年の北京大学学生訪日団
4 結びに代えて――和解と日中知識人ネットワーク
第7章 日中歴史家ネットワークの端緒――一九五〇年代から国交回復までの歴史家交流を中心に[駱豊]
はじめに
1 マルクス主義歴史学の歴史家交流――一九五五年学術訪日団
2 大衆運動からなる学術交流――一九六三年学術訪日団
3 中国側の思惑
おわりに
第8章 歴史教育政策に関する日本と台湾との比較――日本の学習指導要領と台湾の国民基本教育課程綱要を中心に[野口真広]
はじめに
1 学習指導要領の変遷から見る日本のアジア認識
2 台湾の歴史教育政策という参照軸から日本を見る
おわりに
第9章 心の和解における中国の歴史家の役割――中露両国を事例として[鄭成]
はじめに
1 「政治的和解あり、心の和解なし」という中露の現状
2 中国台頭と新しいロシア像
3 中露歴史問題と中国人のロシア認識
4 中国人研究者のロシア研究
おわりに
第Ⅲ部 多様な歴史家ネットワークの検証
イントロダクション[段瑞聡]
第10章 「蔣介石日記」と民国史研究者ネットワークの検証[段瑞聡]
はじめに
1 「蔣介石日記」の史料的価値と新しい史料・資料の公開
2 民国史研究者のネットワークとその研究成果
3 民国史研究者ネットワークと和解
おわりに
第11章 グローバル化時代における和解構築の課題と挑戦――日中両国の博物館の戦争展示を通じて考える[馬暁華]
はじめに
1 戦後中国人の戦争観の形成
2 平和博物館が語る日本人の戦争観
おわりに――対立を超えて和解と共生への摸索
第12章 日韓歴史和解をめぐる政治学――歴史葛藤の抑制メカニズムとその機能不全[木宮正史]
はじめに
1 本稿の課題と射程
2 日韓歴史摩擦とその抑制メカニズム
3 冷戦期・日韓非対称期の抑制メカニズム
4 抑制メカニズムの条件――非対称性
5 歴史摩擦の抑制事例
6 ポスト冷戦期・日韓対称期の摩擦増大のメカニズム
7 対称関係の下での日韓協力の可能性――日韓パートナーシップ宣言
8 日韓競争としての歴史認識問題の浮上
9 歴史問題の相対化――歴史問題の絶対化をいかに自制するのか
結論に代えて
第13章 奴隷制というアメリカの「原罪」をめぐる和解の難しさ――「一六一九プロジェクト」の動きを中心に[前嶋和弘]
1 奴隷制から歴史を見直そうとする「一六一九プロジェクト」
2 「和解」という政治的争点――政治的分極化の中の難しさ
3 結びに代えて
はしがき 「知的和解」を追求する新しい歴史学[劉傑]
第Ⅰ部 歴史のなかの和解と対立
イントロダクション[澁谷由里]
第1章 中国前近代史にみる「和解」と「融和」[澁谷由里]
はじめに
1 内外における抗争と融和
2 朝貢冊封・羈縻・盟約――融和と和解の中国的なルール
おわりに――「融和」は「和解」になりうるか?
第2章 日中の「対支文化事業」言説からみる「和解」の可能性と限界――日中「共同」事業摸索をめぐって[桑原太朗]
1 日本政府の思惑と中国政府の反応
2 日中両国からの批判
3 「共同」事業の摸索と理念の共有
おわりに
第3章 日中「経済提携」と和解――一九三〇年代における関係改善の模索[矢野真太郎]
はじめに
1 経済提携の提起
2 日本国内における「経済提携」論
3 中国国内における「経済提携」論
4 二度の経済使節団
おわりに
第4章 天皇訪中と「和解」の限界――封じ込められた反日感情[城山英巳]
はじめに――「政治」「国民」二つの和解
1 外務省の危機意識
2 「市民との触れ合い」への道のり
おわりに――続く「戦争の歴史」との向き合い
第5章 和解における「人間」の回復――タイ中・タイ日関係にみる「妥協」の役割[タンシンマンコン・パッタジット]
1 国際情勢の変化と相互イメージの「再人間化」
2 歴史的特徴――負の遺産の不在
3 タイの外交文化――「蓮が傷まなければ水も濁らない」という価値観
終わりに
第Ⅱ部 知識人(歴史家)は「対立」の歴史に如何に直面してきたのか
イントロダクション[鄭成]
第6章 李大釗と日中間の知識人ネットワーク――清末民初日中間の知の交流と和解に対する一考察[黄斌]
1 李大釗と近代日中間の知の交流
2 日本留学とマルクス主義の受容
3 五・四運動と一九二〇年の北京大学学生訪日団
4 結びに代えて――和解と日中知識人ネットワーク
第7章 日中歴史家ネットワークの端緒――一九五〇年代から国交回復までの歴史家交流を中心に[駱豊]
はじめに
1 マルクス主義歴史学の歴史家交流――一九五五年学術訪日団
2 大衆運動からなる学術交流――一九六三年学術訪日団
3 中国側の思惑
おわりに
第8章 歴史教育政策に関する日本と台湾との比較――日本の学習指導要領と台湾の国民基本教育課程綱要を中心に[野口真広]
はじめに
1 学習指導要領の変遷から見る日本のアジア認識
2 台湾の歴史教育政策という参照軸から日本を見る
おわりに
第9章 心の和解における中国の歴史家の役割――中露両国を事例として[鄭成]
はじめに
1 「政治的和解あり、心の和解なし」という中露の現状
2 中国台頭と新しいロシア像
3 中露歴史問題と中国人のロシア認識
4 中国人研究者のロシア研究
おわりに
第Ⅲ部 多様な歴史家ネットワークの検証
イントロダクション[段瑞聡]
第10章 「蔣介石日記」と民国史研究者ネットワークの検証[段瑞聡]
はじめに
1 「蔣介石日記」の史料的価値と新しい史料・資料の公開
2 民国史研究者のネットワークとその研究成果
3 民国史研究者ネットワークと和解
おわりに
第11章 グローバル化時代における和解構築の課題と挑戦――日中両国の博物館の戦争展示を通じて考える[馬暁華]
はじめに
1 戦後中国人の戦争観の形成
2 平和博物館が語る日本人の戦争観
おわりに――対立を超えて和解と共生への摸索
第12章 日韓歴史和解をめぐる政治学――歴史葛藤の抑制メカニズムとその機能不全[木宮正史]
はじめに
1 本稿の課題と射程
2 日韓歴史摩擦とその抑制メカニズム
3 冷戦期・日韓非対称期の抑制メカニズム
4 抑制メカニズムの条件――非対称性
5 歴史摩擦の抑制事例
6 ポスト冷戦期・日韓対称期の摩擦増大のメカニズム
7 対称関係の下での日韓協力の可能性――日韓パートナーシップ宣言
8 日韓競争としての歴史認識問題の浮上
9 歴史問題の相対化――歴史問題の絶対化をいかに自制するのか
結論に代えて
第13章 奴隷制というアメリカの「原罪」をめぐる和解の難しさ――「一六一九プロジェクト」の動きを中心に[前嶋和弘]
1 奴隷制から歴史を見直そうとする「一六一九プロジェクト」
2 「和解」という政治的争点――政治的分極化の中の難しさ
3 結びに代えて
著者略歴
劉 傑(リュウ ケツ ryuu ketsu)
現職:早稲田大学社会科学総合学術院教授
専門分野:近代日本政治外交史
代表著書:『中国の強国構想――日清戦争後から現代まで』筑摩書房、2013年
『漢奸裁判――対日協力者を襲った運命』中央公論新社、2000年
『中国人の歴史観』文藝春秋、1999年
『日中戦争下の外交』吉川弘文館、1995年
タイトルヨミ
カナ:ワカイノタメノアラタナレキシガク
ローマ字:wakainotamenoaratanarekishigaku
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