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定価:3,850円(3,500円+税)
判型:菊変形
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内容紹介
◆第十二句集
血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は
日頃から日常から非常への切り替へである「旅」をこよなく愛して来たが、今回の「旅」は、非常の中へ、更に経験したことのない〝テロ〟といふ非日常が加はり、凡そ現実味のない絵空事、仕組まれた〝劇中劇〟の中にゐるやうな興奮を味はつた。主謀者の潜んでゐた〝隠れ家〟から然程離れてゐない所に私の宿はあり、その距離から当然緊張は強ひられた。しかし同時に妙に弛緩した〝空気〟が漂つてゐたのは慥か。そんな事態の中でも界隈のり場ではイスラム系の犯人と同じ人種の人達が店を開け、客を入れ何事もなかつたやうに営業してゐる。本当に〝テロ〟はあつたのだらうかと思ふやうな日常の風景。彼等にとつて多数派のイスラム教徒としての誇りはあり、埒外の、しかし予測出来うる「一夜劇」だつたのではないか。
(あとがきより)
◆自選十二句より
片付かぬ歳尾の見ゆる歳首より
ひたすらにも飽き何處ゆく風二月
桃の汁肘にて思案して止まる
鬼胡桃鬼の棲むには手狹なる
蟻喰の舌を登れる蟻二三
蠅帳の中より匂ふ一夜劇
うろこ雲是非また寄れといふ別れ
かまどうま髭ある障りなく跳べる
ひづめやはらか春萌に私淑して
目を細め春が見えるといふ盲目
血を血で洗ふ絨毯の吸へる血は
日頃から日常から非常への切り替へである「旅」をこよなく愛して来たが、今回の「旅」は、非常の中へ、更に経験したことのない〝テロ〟といふ非日常が加はり、凡そ現実味のない絵空事、仕組まれた〝劇中劇〟の中にゐるやうな興奮を味はつた。主謀者の潜んでゐた〝隠れ家〟から然程離れてゐない所に私の宿はあり、その距離から当然緊張は強ひられた。しかし同時に妙に弛緩した〝空気〟が漂つてゐたのは慥か。そんな事態の中でも界隈のり場ではイスラム系の犯人と同じ人種の人達が店を開け、客を入れ何事もなかつたやうに営業してゐる。本当に〝テロ〟はあつたのだらうかと思ふやうな日常の風景。彼等にとつて多数派のイスラム教徒としての誇りはあり、埒外の、しかし予測出来うる「一夜劇」だつたのではないか。
(あとがきより)
◆自選十二句より
片付かぬ歳尾の見ゆる歳首より
ひたすらにも飽き何處ゆく風二月
桃の汁肘にて思案して止まる
鬼胡桃鬼の棲むには手狹なる
蟻喰の舌を登れる蟻二三
蠅帳の中より匂ふ一夜劇
うろこ雲是非また寄れといふ別れ
かまどうま髭ある障りなく跳べる
ひづめやはらか春萌に私淑して
目を細め春が見えるといふ盲目
目次
二〇一三年 (平?二十五年) 5
二〇一四年 (平?二十六年) 119
二〇一五年 (平?二十七年) 177
あとがき
二〇一四年 (平?二十六年) 119
二〇一五年 (平?二十七年) 177
あとがき
著者略歴
中原道夫(ナカハラ ミチオ nakahara michio)
一九五一年 新潟縣西原郡岩室村に生まる
七四年 多麾美術大學卒業
八二年 「沖」へ投句を始める
八四年 第十一囘「沖」新人賞受賞、同人となる
九〇年 第一句集『兒』(富士見書房)により第十三囘俳人協會新人賞受賞
九四年 第二句集『顱頂』(角川書店)により第三十三囘俳人協會賞受賞
九六年 第三句集『アルデンテ』(ふらんす堂)
九八年 第四句集『銀化』( 神社)/十⺼より「銀化」主宰
二〇〇〇年 第五句集『歷』(角川書店)
〇一年 第六句集『中原道夫俳句記』(ふらんす堂)
〇三年 第七句集『不覺』(角川書店)
〇七年 第八句集『巴芹』(ふらんす堂)
〇八年 セレクション俳人シリーズ『中原道夫集』(邑書林)
〇九年 第九句集『綠パーゴラ廊』(角川學藝出版)/和英對譯句集『蝶意』(邑書林)
一一年 第十句集『天鼠』(沖積舍)/百句他解シリーズ2『比奈夫百句を読む。』
後藤比奈夫×中原道夫(ふらんす堂)
一三年 第十一句集『百卉』(角川文化戝團)/『百句百話』(ふらんす堂)
現在 「新潟報」俳句欄選者/ 本文藝家協會會員/俳人協會名誉會員
タイトルヨミ
カナ:イチヤゲキ
ローマ字:ichiyageki
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