近刊検索 デルタ

2019年9月27日発売

青弓社

出版社名ヨミ:セイキュウシャ

疎開体験の戦後文化史

帰ラレマセン、勝ツマデハ
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内容紹介
避難ではなく疎開と呼ばれた銃後の人口移動政策を、敗戦後の文学はどのように語り、位置づけてきたのか。柳田国男、太宰治、石川達三、「内向の世代」のテクストや映画などを糸口にして、銃後の記憶を抱えて戦後を生きた人々の思いを照らし出す。
目次
まえがき

序 章 いま、疎開を考えることは
 1 疎開って何?
 2 二〇一〇年代、戦闘なき戦争映画
 3 疎開体験をさかのぼる

第1部 戦争を体験する疎開――柳田国男、記録と証言、疎開派

第1章 「昭和の楠公父子」になるために――学童集団疎開・七生報国・『先祖の話』
 1 急遽断行される疎開
 2 「学童疎開問答」と「桜井駅の別れ」
 3 受け継がれる「志」――七生報国
 4 七生報国の「本義」――柳田国男『先祖の話』
 5 学童集団疎開の「本義」

第2章 もう一度、空襲と疎開を――『東京大空襲・戦災誌』、「名古屋空襲誌」、「学童疎開ちくさ」
 1 空襲の「証言」、疎開の「証言」
 2 戦争体験としての空襲体験――『東京大空襲・戦災誌』
 3 空襲から疎開へ――『東京大空襲・戦災誌』、「名古屋空襲誌」
 4 戦争体験としての疎開体験は?――「学童疎開ちくさ」
 5 体験の捉え方の相違
 6 あってはならない相違
 7 一元化の欲望

第3章 戦中派と戦後派のはざまで――疎開派という世代
 1 かつて疎開派があった
 2 疎開派が立ち上がる――戦中派に異議あり
 3 疎開派が走りだす――世代論を武器に
 4 疎開派がつまずく――戦後派の大江健三郎に異議あり
 5 疎開派を引き上げる

第2部 戦争を体験しない疎開――「内向の世代」・黒井千次・高井有一

第4章 悔恨ではなく、内向する世代の疎開――黒井千次「聖産業週間」、「時の鎖」 
 1 「悔恨共同体」と「内向の世代」
 2 失敗から定位される「内向」――「聖産業週間」1
 3 「自己の空位」に触れ合う労働実験――「聖産業週間」2
 4 「内向」と「世代」の交差――疎開派ではなく
 5 「自己の空位」と対決して――「時の鎖」
 6 「自己批判」を相対化する「自己」

第5章 「不確かな私」のために召喚される疎開体験――高井有一「北の河」
 1 「北の河」と他者の死
 2 疎開派か、「内向の世代」か
 3 「内向の世代」文学の「北の河」
 4 戦争体験と「わだつみの声のない世代」
 5 「私」の疎開体験を凝視する

第6章 疎開体験者の特別な「一証言」――高井有一「少年たちの戦場」からいまを
 1 想像力を動かす余地がない小説
 2 加害者を抱き締めて――視点の移動
 3 被害者の「一証言」――大義名分を捨てる
 4 現代につなげる――時点の移動
 5 一個人の体験の重み――いまに向けて「翻訳」する
 6 いまに、未来に想像力を

第3部 〈田舎と都会〉をさまよう疎開――石川達三・太宰治・坂上弘

第7章 暴き出される疎開と田舎――石川達三「暗い嘆きの谷」
 1 社会派作家の文法
 2 報道される戦争と疎開
 3 記録される疎開/記録されない疎開
 4 石川達三の「歴史」と「記録性」
 5 疎開から田舎の「真実」を暴き出す
 6 〈田舎と都会〉を考える

第8章 東京がら疎開すて来だ「津軽人」が言ってまった…――太宰治「十五年間」「やんぬる哉」など
 1 太宰治の「疎開文学」
 2 発見される出自、「津軽人」
 3 旅人ではなく疎開者として
 4 疎開体験の語りにくさ
 5 田舎ありきの都会/都会ありきの田舎

第9章 疎開を読み替える――戦争体験、〈田舎と都会〉、そして坂上弘
 1 二〇一〇年代の疎開の記憶、その所在は?
 2 われらの戦争体験、子どもの戦争体験
 3 われらの出会い、〈田舎と都会〉の出合い
 4 私と戦争、私と田舎――方法としての坂上弘

初出一覧

あとがき
著者略歴
李 承俊(イ スンジュン i sunjun)
1982年、韓国釜山市生まれ。名古屋大学大学院文学研究科人文学専攻博士課程修了。博士(文学)。愛知学院大学教養部非常勤講師。専攻は日本近現代文学、文化史。共著に『敗戦と占領』(臨川書店)、論文に「「自己の空位」に触れ合う労働実験――黒井千次「聖産業週間」論」(「JunCture――超域的日本文化研究」第9号)、「「戦中派」と「戦後派」の狭間で――〈疎開派〉の場合」(「名古屋大学人文学フォーラム」第1号)など。
タイトルヨミ
カナ:ソカイタイケンノセンゴブンカシ
ローマ字:sokaitaikennosengobunkashi

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