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2022年4月20日発売

青弓社

出版社名ヨミ:セイキュウシャ

船旅の文化誌

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内容紹介
夢と期待を乗せた客船が行き交った洋行の時代を小説やエッセー、絵はがきや旅行パンフレットほかの史料から紹介して、異国文化への憧憬と交流、華やかな出港とその後の苦難の道中、長期間の船上生活を再現する。発掘した140点の図版が旅情をかき立てる。
目次
はじめに
「洋行」という言葉が生きていた時代/福沢諭吉が書いた「船中の模様」/華やかな出港のなかの孤独と別離/にぎやかな出港を演出したお別れのテープ/大揺れの船で発見した耐震壁理論/人生の幕開けを飾ってくれた船旅/外国人との交流で気づかされたこと/近代文学に新しい流れをつくった日本郵船型/階級社会の縮図をみて決意する/片道の航海で終わる人々

序 タイタニック号、いまだ色褪せず
忘れられない悲劇/深海探査装置から送られてきた衝撃映像/海底に散乱するタイタニック号のはらわた/超大型客船で他社を圧倒するWSL/紳士的な振る舞いを見せた大富豪/実は安全性を最も重視した船だった?/ただ一人の日本人乗客が残した手記/石炭庫の火災という「新たな真実」/沈没を早めた?隔壁の歪み/氷山よりも燃料不足の立ち往生を恐れた?

第1話 船の旅、苦しみから楽しみへ
船酔いに苦しんだ歴史上の知名士/船に弱い者同士、同病相憐れむ/船に強い人を見て腹を立てた昆虫学者/酔い止めの薬で救われた野上弥生子/船上の食事に閉口した幕末の留学生/口に合わない食べ物でも威厳を崩さず/無聊に苦しめられた永井荷風/船旅をすると寿命が延びるという人も/船上から見える家々の小さな明かり/船旅の魅力が詰まった瀬戸内海航路/「人は船の旅のたのしさを忘れてゐる。」/船で日本を離れる者の感傷「さらば祖国よ」

第2話 礼儀作法と社交の振る舞い
乗船時の注意あれこれ/多額のチップを手渡してしまう日本人/見栄っ張りの人が周囲に迷惑をかける/チップを先に渡す人、ごまかす人/日本船なのに、なぜ西洋の風習に倣うのか/服装を整えるのは自尊心のため/欧米人の振る舞いに感心した日本人/人生を方向づけてくれた言葉を得て/チャプリンとコクトーの出会い/句会を開いたり、議論を戦わせたり/競売で寄付金を集める慈善活動も/船の上も「旅は道づれ、世は情け」

第3話 「風俗画報」の日本郵船特集号を読む
汽船からの眺めは絵画のようだ/パリの花を詠み、ロンドンの月に嘯く/今日の旅客船は海に浮かぶ一大旅館/当時は外国人船長も少なくなかった/無事到着できれば、一等も三等も同じ/家族や知人に「一片の雁信」を書き送るべし/一等食堂は華麗なる人々の祭典/豚の点眼に、タンサンとシガレット競走/舟遊の快や、実に甲板運動場裡にあり

第4話 豪華客船の第一号、天洋丸出航
歓声に沸き立つ横浜港/客船史を飾る出来事が相次ぐ明治末期/内航は過去のもの、舞台は海外だ/巨船の注文にたじろいだ造船所/欧米の水準に最も近づいた客船/一等船客の外国人を自邸に招いて茶会を開く/「豪華の夢破れて 海の女王空し」/船旅は軽やかなジャズのリズムとともに/豪華客船は音楽も最先端を走っていた

第5話 「優秀客船」とは何か
科学と文化と芸術の結晶/全長が東京駅に匹敵したマジェスティック号/一等大食堂の天井高は九メートル超/ブルーリボンの獲得競争/世界を圧倒するドイツの最優秀船/ドイツ船を手放しで褒める日本人/法学者・高柳賢三のブレーメン号印象記/乗船して感じた階級社会と重大事件/日本でも相次いで優秀客船を建造/客船の規模は市場の規模に比例

第6話 覇を競う二人の女王の物語――ノルマンディ号とクィーン・メリー号
海に浮かぶ美術館の誕生/高度な贅と美が結合した装飾/二等船客として乗り込んだ正宗白鳥/浮気心を起こさせないおもてなし/スピードで対決する二人の女王/巨船の外見・中身をイラスト解説/運命の波に翻弄される二人の女王/幽霊保険に加入したクィーン・メリー号

第7話 乗客の最大の楽しみは食事だった
生演奏の音楽が雰囲気を優雅に演出/ホテル王リッツの名声が客船にも及ぶ/鏡のような海で最後の晩餐/瀬戸内海航路でもお目当てはご馳走/一航海で同じメニューは厳禁/いちばん頭を痛めたのは食事時の席次/浅草海苔を勧められたアメリカ人/ホテルの料理人が客船で修業/乗客には懇切丁寧な配慮が/『給仕の執務心得』、その中身とは/喜劇王チャプリンを獲得した秘策/食通の外国人にも愛された「スキヤキ・パーティ」/メニューのデザインも楽しみの一つ/調理師学校の校長を感動させた料理長

第8話 客船だからこそのおもてなし
太平洋横断百三十二回の事務長、大いに語る/乗客を片時も飽きさせないために/余興の域を超越した船員たちの隠し芸/船好きだった大谷光瑞の愉快な逸話/新しい設備導入もサービスの一つ/「世界的創造」の冷房装置/タウトが感銘を受けた花毛布/サービスに対するチップ、その裏事情/日本人が船内装飾を手がける時代に/客船設計者・和辻春樹のサービス論/船客自身が配慮する「他人へのサービス」

第9話 ゲーテも夢想した二大運河を通航
岩倉使節団も通航したスエズ運河/スエズ運河で命拾いした本多静六/フランスへ引き返したかった天皇の料理番/スエズ運河通航中にカイロ観光/パナマ運河の工事に携わった日本人/生まれて初めて見る光景に騒然

第10話 旅情の波間を進む連絡船
稚泊連絡船は霧のなか、汽笛を鳴らして/国鉄連絡船の時代/デッキで食べた讃岐うどん/連絡船から海底鉄道へ/日本と韓国の歴史を運んだ連絡船/中国とつながっていた門司/上海へは下駄を履いて

第11話 世界一周という壮大な旅のなかで
世界初の世界一周クルーズ船が日本に寄港/一種の流行になる世界一周クルーズ/百歳の乗客が気炎を吐いて話題を提供/国際親善に役立った小学校訪問/日本最初の団体世界一周、その様子は/三日間にわたって大運動会を開催/巨船を見て西洋への興味が勃然と湧く岡本一平/最も苦心したのはあるぜんちな丸/美しい流線型で好かれた客船/「外国の人はどんなに驚くだろうと、僕は愉快に思います」/世界一周の航程は八十九日間

第12話 悲喜こもごもの移民船
自由の女神像を見て歓声を上げた人々/三等船客であっても、心は錦/移民には無意味な船中生活/活躍する移民船の山城丸/笠戸丸の数奇な生涯/移民たちの負担を減らした政府援助/移民を輩出したその裏事情とは/移民たちに欠かせなかった移民宿/終生忘れられない仮装大会

第13話 「南洋の島々」という新しい世界へ
ペリー提督が訪れた無人島/歴史の海に漂う小笠原諸島/小笠原旅行に勝るものなし/東京・芝浦から四日目に父島へ/著名士が関心を寄せた南洋群島/日本の統治下に入って移住者も急増/石川達三は未知の土地への好奇心を抱いて/南洋で見た美しさと哀しみ

第14話 活字が伝える船旅の魅力――新しい書物と怪事件と白昼夢
海に出て新しい書物を開こう/巨大な密室で起きる事件の数々/豪華カジノ船という新しい試みのなかで/現実と虚構が錯綜する奇妙な出来事/日本文学者は海に無関心だという意外な批判/旅行雑誌として充実していた英文PR誌/船旅の時代を象徴する言葉の数々

おわりに
建造中の火災事故、そして新型コロナウイルスの感染/新技術を導入した最先端のクルーズ船/徹底的に追求された食品衛生の安全性/常連客の賢い“航海術”
著者略歴
富田 昭次(トミタ ショウジ tomita shouji)
1954年、東京都生まれ。ホテル・旅行・歴史作家。著書に『「おもてなし」の日本文化誌――ホテル・旅館の歴史に学ぶ』『絵はがきで楽しむ歴史散歩――日本の100年をたどる』『ホテル百物語』『ホテル博物誌』『旅の風俗史』『ホテルの社会史』『絵はがきで見る日本近代』『ホテルと日本近代』(いずれも青弓社)、『サービスはホテルに学べ』『おひとりホテルの愉しみ』『東京のホテル』(いずれも光文社)、『ノスタルジック・ホテル物語――明治・大正・昭和』(平凡社)など。
タイトルヨミ
カナ:フナタビノブンカシ
ローマ字:funatabinobunkashi

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青弓社の既刊から
佐幸信介/著
星野映/編著 中嶋哲也/編著 磯直樹/編著
もうすぐ発売(1週間以内)
講談社:山岸伸 歩りえこ 
一般社団法人高等教育開発研究所:出光直樹 宮本俊一 河村振一郎 
筑摩書房:アンドレイ・タルコフスキー 鴻英良 

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