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2018年8月8日発売

青弓社

〈焼跡〉の戦後空間論

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内容紹介
焼跡や闇市を表象する小説や映画、批評を検証することを通して、私たちがもつ戦後日本という歴史認識や国土イメージをあぶり出す。「戦後日本」という枠組みから「冷戦期日本」という歴史認識へのパラダイムシフトを提起する挑発的な日本論。
目次
はじめに

序 章 〈焼跡〉・〈闇市〉を問い直す
 1 戦略爆撃と記号としての〈焼跡〉
 2 焼跡に立つ闇市
 3 〈焼跡〉と〈闇市〉
 4 中心―周縁構造と都市論
 5 「日本ならざるもの」の生活空間
 6 敗戦後の日本社会を冷戦空間に置き直す
 7 本書の構成

第1部 焼跡・闇市のイメージ編成

第1章 語られない焼跡――戦後日本映画批評と焼跡表象
 1 戦略爆撃と焼跡
 2 戦後映画と「戦争の惨禍」としての焼跡
 3 戦後日本映画批評のなかの『東京五人男』
 4 箱庭的ユートピアと敗戦のリアリズム――小津安二郎『長屋紳士録』
 5 焼跡がはらむ加害責任
 6 小結

第2章 過去が憑依する場――『二十年後の東京』と『野良犬』に見る戦災復興
 1 『二十年後の東京』と戦災復興計画
 2 戦災復興計画の評価と用地接収
 3 連続性を示す空間としての闇市
 4 黒澤明『野良犬』での闇市の役割
 5 小結

第3章 闇市とレイシズム――闇市の構造と取り締まりにおける対象変遷
 1 「闇市」という語の起源
 2 闇市の構成
 3 GHQによる闇市の取り締まり
 4 小結――日本の外縁としての闇市

第4章 物語のなかの闇市
 1 「戦後日本」と闇市表象
 2 敗戦直後の文学と闇市
 3 大江健三郎「万延元年のフットボール」
 4 被災と責任の記憶――野坂昭如、井上ひさし
 5 記憶の起点として――浅田次郎、梁石日
 6 ミステリーとしての闇市

第2部 戦後日本から冷戦期日本へ――国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)と異郷

第5章 田村泰次郎「肉体の門」論――「新生」の物語と残余としての身体
 1 「肉体の門」の「書きえない領域」
 2 田村泰次郎の「肉体」観と少女たち
 3 「獣性」の身体
 4 獣性・思想・肉体
 5 小結

第6章 〈焼跡〉が闇市を周縁化する――石川淳「焼跡のイエス」論
 1 「日本」の「戦後」
 2 「新興民族」の「今日的規定」
 3 国土回復とヘテロ/ホモセクシュアルな欲望
 4 〈焼跡〉という記号
 5 小結――〈焼跡〉という国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)

第7章 「居たたまれなさ」を越えて――宮本百合子「播州平野」をめぐる「戦後」の陥穽
 1 宮本百合子と戦後の文脈
 2 「播州平野」評価の変遷と六全協
 3 「播州平野」の朝鮮人表象
 4 移動を内包するテクストとしての「播州平野」
 5 小結

第8章 「異郷」の空間性――金達寿「八・一五以後」
 1 「八・一五以後」発表時の「新日本文学」と金達寿評価
 2 フィクションの形式と人物類型
 3 改稿の問題と運動主体
 4 「異郷」の内実――帰郷と同化のはざまとしての闇市
 5 「異郷」にとどまることの可能性
 6 小結

第9章 「おかみさんたち(ルビ:アジモニドゥル)」のたたかい――民族教育と濁酒
 1 金達寿の占領期小説、「在日同胞生活史」という枠組み
 2 「四斗樽の婆さん」と「前夜の章」への検閲
 3 民族教育の展開と阪神教育闘争
 4 「お内儀(ルビ:かみ)さん」たちの闘争
 5 濁酒取り締まりと「第三国人」神話
 6 母と息子のすれ違い
 7 小結――〈異郷〉としての冷戦期日本

終 章 〈焼跡〉の抱擁から離れて
 1 闇市から見る占領期日本
 2 国民的地景(ルビ:ナショナル・ランドスケープ)から〈異郷〉へ
 3 「冷戦期日本」の射程

初出一覧

おわりに
著者略歴
逆井 聡人(サカサイ アキト)
1986年、千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程修了。博士(学術)。現在、東京外国語大学世界言語社会教育センター特任講師。専攻は日本近現代文学、比較文学、表象文化論。共著に『盛り場はヤミ市から生まれた』(青弓社)、論文に「原罪に代わるもの――戦後道徳と荒正人」(「言語態」第14号)、“Fight for the Right to Live: Kim Tal-su’s Novels and ‘Third Country National’ Discourse” (Literary Intervention and Political Culture in South Asia) など。

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

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