近刊検索 デルタ

2024年1月30日発売

青弓社

出版社名ヨミ:セイキュウシャ

コンクール文化論

競技としての芸術・表現活動を問う
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内容紹介
私たちは音楽を演奏し、ダンスを踊り、それら表現を見ることで日々の彩りを豊かにし、ときに癒やされ、励まされもしている。本来、優劣をつける必要がないにもかかわらず、人はなぜコンクールの場を設けて、芸術やパフォーマンスで競い合うのか。

ショパンコンクールからK-POPのオーディション番組、ダンススポーツ、民謡、伝統音楽、古典芸能、そして学校のコンクール、バレエ教室の発表まで、多種多様なコンクールの事例を紹介して、パフォーミングアーツを競い合うことの多様性と共通点、魅力やダイナミズム、問題点を浮き彫りにする。

演者や表現者が認められるべく努力し、審査員が真剣な眼差しを向け、観客が歓声を上げ、称賛を送る――コンクールという場で創造される表現の可能性、そこに生じる演者のキャリアや挫折、そして社会的な意義に多面的に迫るユニークな論考集。
目次
序 章 なぜパフォーミングアーツを競い合うのか 宮入恭平/増野亜子/神保夏子/小塩さとみ
 1 本書の問い
 2 競い合う場としてのコンクール
 3 コンクール文化を論じる
 4 本書の構成

第1章 エンターテインメントとしての国際音楽コンクール――第十八回ショパン国際ピアノ・コンクールのウェブ配信をめぐって 神保夏子
 1 ショパン・コンクールとは何か
 2 配信とエンタメ化
 3 「才能は始まりにすぎない!」
 4 ヒューマンドラマに魅せられて
 5 登竜門というエンターテインメント

第2章 オーディション番組の生存と越境 吉光正絵
 1 オーディション番組への注目
 2 韓国発オーディション番組の特徴
 3 審査基準と選抜方法の変遷
 4 審査過程の透明性と公平性の問題

コラム 近代的な「コンクール」の幕開け――十九世紀のパリ国立音楽院ピアノ科の場合 上田泰史

第3章 対戦競技化するダンススポーツ――スポーツ化と芸術化のあわい 垣沼絢子
 1 対戦競技化するダンススポーツ
 2 Dリーグというコンペティション――プロスポーツという枠組み
 3 絶対評価の価値基準を攪乱する
 4 相対評価が即興性と競技性を回復させる

第4章 ポールスポーツ大会による規格化とポールダンスの実践――ポールダンスの行方を決めるのは大会なのか、ダンサーなのか ケイトリン・コーカー
 1 ポールダンスの歴史
 2 ポールスポーツの確立
 3 スポーツと夜のエンターテインメントとの攪乱――男性がポールスポーツ大会に出場しながらも、ショーパブで踊ることについて

コラム 闘えない人々の闘い――競技空間の外にいるインドネシア武術愛好者について 今村宏之

第5章 秋田県の地元一曲民謡大会にあつまる人たち――趣味になった民謡が生み出し支える場 梶丸 岳
 1 秋田県での地元一曲民謡大会の成り立ち
 2 衰退しつつある地元一曲民謡大会
 3 なぜ地元一曲民謡大会はいまも続いているのか

第6章 発熱するコンクール――バリの伝統音楽グンデル・ワヤンの事例から 増野亜子
 1 競技会と伝統音楽
 2 コンクールが「種をまく」
 3 コンクールの「熱」が教室を生み出す
 4 コンクール独自の演奏スタイルが生まれる
 5 勝負の場としてのコンクール
 6 コンクールの「額縁効果」
 7 車輪が回る

コラム 伝統音楽に人々を巻き込む仕組みとしてのコンペティション 水上えり子

第7章 海を渡って琉球古典芸能コンクールに参加すること――ハワイの沖縄系人を事例に 澤田聖也
 1 ハワイの沖縄系人
 2 ハワイでのコンクールの認識
 3 ハワイの沖縄系人にとってのコンクール
 4 コロナ禍でのコンクール

第8章 学校とコンクール――競い合いのなかで何を学ぶのか 小塩さとみ
 1 コンクールの仕組み
 2 コンクールはなぜ定着したのか
 3 コンクールをめぐる「物語」
 4 もう一つの「物語」

第9章 「バレエ大国」ニッポン――発表会文化の連続性として 宮入恭平
 1 国際バレエコンクールが意味するもの
 2 「バレエ大国」ニッポン
 3 発表会文化とは何か
 4 発表会文化の連続性として

あとがき 宮入恭平
著者略歴
宮入 恭平(ミヤイリ キョウヘイ miyairi kyouhei)
立教大学ほか非常勤講師。専攻は社会学、ポピュラー文化研究、カルチュラル・スタディーズ。著書に『音楽と政治』(人文書院)、『ライブカルチャーの教科書』『ライブハウス文化論』(ともに青弓社)、『J-POP文化論』(彩流社)、編著に『発表会文化論』(青弓社)、共編著に『「趣味に生きる」の文化論』(ナカニシヤ出版)、翻訳書にスージー・J・タネンバウム『地下鉄のミュージシャン』(朝日新聞出版)など。
増野 亜子(マシノ アコ mashino ako)
東京藝術大学・明治大学・国立音楽大学ほか非常勤講師。専攻は民族音楽学、音楽人類学。著書に『声の世界を旅する』、編著に『民族音楽学12の視点』(ともに音楽之友社)、共著に『音楽の未明からの思考』(アルテスパブリッシング)、論文に「バリの歌舞劇アルジャにおける有形と無形」(「国立民族学博物館研究報告」第46巻第2号)など。
神保 夏子(ジンボウ ナツコ jinbou natsuko)
日本学術振興会特別研究員RPD(東京大学)、東京藝術大学ほか非常勤講師。専攻は演奏文化史、近代フランス音楽史。著書に『マルグリット・ロン』(アルテスパブリッシング)、共訳書にカンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』(青土社)、論文に「国際音楽コンクール世界連盟の成立とその初期の活動(1956~69)」(「桐朋学園大学研究紀要」第45集)など。
小塩 さとみ(オシオ サトミ oshio satomi)
宮城教育大学教授。専攻は音楽学(民族音楽学)。著書に『日本の音 日本の音楽』(アリス館)、共編著に『現代日本社会における音楽』(放送大学教育振興会)、共著に『ビジュアル日本の音楽の歴史 ②近世』(ゆまに書房)、『唱歌で学ぶ日本音楽』(音楽之友社)、『音をかたちへ』(醍醐書房)など。
タイトルヨミ
カナ:コンクールブンカロン
ローマ字:konkuurubunkaron

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