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2020年1月22日発売

青弓社

文化表象としての村上春樹

世界のハルキの読み方
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内容紹介
世界的な人気作家であり、作品はもちろん発言や行動も注目される村上春樹。独特の時代感覚や視点から、死・暴力・恋愛、震災、アイデンティティーのありようなどを描き続けている。村上作品は、世界でどのように受容され、どう読まれているのか。

映像・映画との親和性、翻訳をめぐる問題系、作品が描く物語と現実との関係性――フランスやイギリス、アメリカ、台湾、日本の研究者が、それぞれの社会的・文化的な背景をもとに主要な村上作品の新たな可能性を照らし出す。

初期作品から最新作までを、時に内在的に、時に意外な視点から読み込み、村上春樹という文化をめぐる表象の多様性に迫る国際シンポジウムの成果。
目次
はじめに 石田仁志

第1部 翻訳・比較文学から見る村上春樹

第1章 「影」の不変的な重要性――永井荷風『すみだ川』から村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』まで スティーブン・ドッド[大村梓訳]

第2章 翻訳に内包される異国性――村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』 大村 梓
 1 初期村上春樹作品の異国表象
 2 表層的な異国性――一人目と三人目の中国人
 3 異国性を超えて/異国性の付与――二人目の中国人

第3章 村上春樹における図書館――異界、自己形成、手仕事としての創作 朝比奈美知子
 1 図書館が喚起する想像世界の多様性
 2 『図書館奇譚』――異界と自己探求
 3 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』――境界線上の場
 4 『海辺のカフカ』――休息、夢想、母性
 5 文学創作の手仕事の象徴としての図書館

第4章 村上春樹、旅に出る(そのⅡ) アンヌ・バヤール=坂井
 1 村上春樹の紀行文集
 2 十五年ぶりの紀行文集、その構成
 3 アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジア
 4 越境文学ではない紀行文集
 5 紀行文の過去と現在

第5章 夢はどこへ向かうのか?――村上春樹とイスマイル・カダレ 石田仁志
 1 村上春樹の夢の行方
 2 イスマイル・カダレの夢の行方

第2部 村上春樹における表象――現実・社会・物語

第6章 グローバル時代のトラベルライティング――村上春樹の紀行文 ジェラルド・プルー
 1 日常性を求める旅行観
 2 旅行ガイドの文学化、そして文学性

第7章 教材としての『鏡』――語ることによる再生 早川香世
 1 「僕」の恐怖体験
 2 語りにくいことを語ること
 3 教材としての『鏡』

第8章 村上春樹文学に漂う「死」のにおい――夏目漱石文学の継承 范淑文
 1 「女のいない男たち」のエムの「死」
 2 「女のいない男たち」と『こころ』の類似点
 3 『こころ』の「先生」の「遺書」

第9章 震災の内側と外部をつなぐもの――「白樺」派から村上春樹へ 杉淵洋一
 1 関東大震災は「白樺」派の同人たちによってどのように描かれたのか
 2 阪神・淡路大震災は村上春樹によってどのように描かれたか
 3 現代の日本の流行作家たちは震災をどのように描いているのか

第10章 村上春樹の森 ブリジット・ルフェーブル
 1 「ノルウェーの森」と『ノルウェイの森』
 2 森の物語、あるいは森という舞台
 3 物語の森、あるいは物語という森
 4 象徴の森と読者、あるいは逆転した世界

第11章 古川日出男による村上春樹リミックス 杉江扶美子
 1 二つの『スロウ・ボート』の間テクスト性
 2 リミックス操作による変形
 3 倍音のある文体

第12章 『神の子どもたちはみな踊る』再読――「あなたは誰?」意識の転換 石川隆男
 1 構造へのマクロ的眼差し
 2 構造へのミクロ的眼差し
 3 見え隠れする二つの装置

第13章 サバイバーズ・ギルトとパラレルワールド――国語教科書と村上春樹 野中 潤
 1 サバイバーズ・ギルトとは何か
 2 国語教科書とサバイバーズ・ギルト
 3 サバイバーズ・ギルトとパラレルワールド

第3部 映像との親和性と乖離

第14章 村上春樹は、なぜ映画脚本家にならなかったか 助川幸逸郎
 1 父との葛藤と日本文学ぎらい
 2 少年期の春樹と映画
 3 若き村上の「文化的階級」
 4 「スリップストリーム」の作家として

第15章 〈見果てぬ〉『ノルウェイの森』 中村三春
 1 輻輳する過去
 2 愛されない人物たち
 3 〈正しい恋愛〉のコード
 4 移動、遮蔽、自己拘束

第16章 短篇という時間性――村上春樹と映画 アーロン・ジェロー
 1 村上と映画の謎
 2 「映画」の定義の前提
 3 稲垣とある種の映画
 4 儀式としての映画の時間
 5 オルタナティブとしての短篇

第17章 本のなかのスクリーン――村上春樹作品における映画に関する言及の考察 ジョルジョ・アミトラーノ
 1 村上作品におけるインターテクスチュアリティー
 2 佐々木マキとゴダール――スタイルの発見
 3 青豆vsフェイ・ダナウェイ
 4 高松でトリュフォーに出会う
 5 『ミス・ブロディの青春』とある歌の記憶

第18章 「やみくろ」はどのように表象されるのか――『神の子どもたちはみな踊る』におけるフィルム・アダプテーション 米村みゆき
 1 小説から映画へのアダプテーション
 2 地震の表象
 3 主人公の subjectivity――主人公はどのように救われうるのか

第4部 文化コミュニケーションのなかの村上春樹

第19章 村上春樹と「小説家のコミットメント」 アントナン・ベシュレール
 1 「日本人」の再発見
 2 「構造しかない」物語?

第20章 一九七九年の村上春樹 横路明夫
 1 初期の村上春樹のサブカルチャー性について
 2 AIによるゴースト獲得物語①――『攻殻機動隊』のタチコマについて
 3 AIによるゴースト獲得物語②――『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』

第21章 村上春樹は台湾でどのように受け入れられたのか 横路啓子
 1 文化現象としての村上春樹――建築物から流行語まで
 2 村上春樹の台湾への移動
 3 村上に影響を受けた文化人や作家

第22章 情報・宗教・歴史のif――村上春樹『1Q84 BOOK3』論 木村政樹
 1 牛河の情報戦
 2 「決定的な二十五分間」と歴史の「もし」
著者略歴
石田 仁志(イシダ ヒトシ ishida hitoshi)
東洋大学文学部教授。専攻は日本近現代文学。共編著に『戦間期東アジアの日本語文学』(勉誠出版)、論文に「村上春樹『1Q84』における〈家族〉表象」(「文学論藻」第91号)、「ノスタルジーの表象――横光利一『旅愁』」(「国際文化コミュニケーション研究」第1号)など。
アントナン・ベシュレール(アントナン ベシュレール antonan beshureeru)
ストラスブール大学日本学科准教授。専攻は日本現代文学、日本現代サブカルチャー。著書に『大江健三郎あるいは暴力の経済』(ストラスブール大学出版会)、編著書に『大江健三郎選集』(ガリマール社)、論文に「大江健三郎 アルカイック・ノスタルジーと暴力の系譜」(『大江健三郎全小説』第6巻、講談社)など。
タイトルヨミ
カナ:ブンカヒョウショウトシテノムラカミハルキ
ローマ字:bunkahyoushoutoshitenomurakamiharuki

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