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2022年12月22日発売

青弓社

出版社名ヨミ:セイキュウシャ

〈怪異〉とミステリ

近代日本文学は何を「謎」としてきたか
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内容紹介
江戸川乱歩、横溝正史、綾辻行人、京極夏彦などの作品に潜む怪異を精緻に読み解く。ミステリというジャンルで展開される怪異の拡散と凝集、合理と非合理の衝突から、日本のミステリ小説の潮流を捉え返し、近現代日本の文化表象の変容をも明らかにする。
目次
はじめに 乾 英治郎

特別寄稿 怪異とミステリ――その面白さの類似と相違について 光原百合

第1部 「怪異」と「ミステリ」の遭遇

第1章 歌舞伎と探偵小説――『東海道四谷怪談』とその変容 横山泰子
 1 『東海道四谷怪談』について
 2 殺人事件と倒叙
 3 ミステリの主体・直助と因果
 4 ミステリの主体・民谷伊右衛門と怪談の主体・お岩
 5 『大東京四谷怪談』――推理を究めた怪談

第2章 怪異と謎解き、そして郷愁――岡本綺堂の探偵小説作法 松田祥平
 1 怪談と探偵小説の類縁性
 2 怪異が信じられる世界と怪異を解く探偵
 3 郷愁と謎解き

第3章 イギリス怪奇幻想ミステリと近代日本文学――A・ブラックウッドと芥川龍之介を中心に 鈴木暁世
 1 芥川龍之介におけるブラックウッド受容――「怪異」をどのように「語る」か
 2 主観的な怪談と「語り」の問題
 3 語りと記憶――補完・解釈・編集

第4章 江戸川乱歩と交霊術――神秘か、はたまたトリックか 大道晴香
 1 「悪霊」と交霊術
 2 乱歩VS長田幹彦・徳川夢声
 3 探偵小説のなかの交霊術

第2部 「怪異」と「ミステリ」の交差

第5章 「怪談」以上「探偵小説」未満の世界――江戸川乱歩の「幻想怪奇の小説」について 谷口 基
 1 「合理主義」と「非合理主義」の境界領域
 2 「人でなしの恋」――京子の「マクロコズモス」
 3 「鏡地獄」――第三の道に生成された「怪談」

第6章 脳内に現象する怪異――海野十三・夢野久作・蘭郁二郎 鈴木優作
 1 人間機械論の普及
 2 脳神経科学による探偵小説の構築――海野十三
 3 脳神経科学で〈ミステリ〉を解く――夢野久作
 4 脳神経科学が怪異への道を開く――蘭郁二郎

第7章 〈侵食〉する〈死者〉たち――久生十蘭「死亡通知」における空襲と〈怪異〉 脇坂健介
 1 宙に浮く行方不明者の生死
 2 一九五二年というターニングポイント
 3 混濁する生と死

第8章 「浪漫」としての怪異――横溝正史作品の人面瘡をめぐって 原 辰吉
 1 見せかけの人面瘡
 2 「人面瘡」と奇形嚢腫
 3 「人面瘡」と「人面疽」

第3部 「怪異」と「ミステリ」の融合

第9章 家霊を脱構築する女――小野不由美『残穢』の〈転居〉と戸川昌子「大いなる幻影」の〈賃貸〉 小松史生子
 1 小野不由美『残穢』――ワーキングウーマンの住宅ミステリとして
 2 戸川昌子「大いなる幻影」――不可視化される単身者の怪談として

第10章 館という幻想――綾辻行人『暗黒館の殺人』における自己の揺らぎ 中川千帆
 1 「館」が意味するもの
 2 「館」に隠された幻想と語り手

第11章 妖怪の「理(ルビ:ことわり)」/ミステリの「檻」――京極夏彦「百鬼夜行」シリーズは何を「祓った」のか 乾 英治郎
 1 妖怪の「夢」/ミステリの「瑕」――「妖怪小説」とは何か
 2 妖怪の「宴」/ミステリの「匣」――世紀末の「憑き物落とし」

第12章 オンライン空間と怪異の変容――最東対地『夜葬』、城平京『虚構推理』、綾辻行人『Another』を対象に 伊藤慈晃
 1 怪異とアンダーグラウンドなイメージ
 2 オンライン空間とアンダーグラウンドなイメージ
 3 オンライン空間と怪異

第13章 調整される怪異――『逆転裁判6』論 諸岡卓真
 1 本格ミステリと「超自然的な魔力」
 2 「逆転裁判」シリーズでの「霊」の両義的機能
 3 「御霊の託宣」
 4 「御霊の託宣」と物語
 5 「御霊の託宣」と難易度

おわりに 乾 英治郎
著者略歴
怪異怪談研究会(カイイカイダンケンキュウカイ kaiikaidankenkyuukai)
2012年に発足。近代に生じた文化規範の劇的な変化を意識しながら、江戸時代から近現代における怪異へのまなざし、怪談に集約された物語の内実を明らかにすることを目的とする。16年、研究会の中間的な成果報告としてシリーズ『怪異の時空』全3巻(青弓社)を刊行。18年、清水潤『鏡花と妖怪』(青弓社)を編纂。21年に『〈怪異〉とナショナリズム』(青弓社)、22年に『怪異と遊ぶ』(青弓社)を監修。
乾 英治郎(イヌイ エイジロウ inui eijirou)
流通経済大学流通情報学部准教授。専攻は日本近現代文学・文化。著書に『評伝 永井龍男』(青山ライフ出版)、共著に『〈怪異〉とナショナリズム』(青弓社)、論文に「芥川龍之介『椒図志異』典拠考」(「日本近代文学」第101集)など。
小松 史生子(コマツ ショウコ komatsu shouko)
金城学院大学文学部教授。専攻は日本近現代文学・文化、比較文学・文化。著書に『探偵小説のペルソナ 奇想と異常心理の言語態』(双文社出版)、編著に『東海の異才・奇人列伝』(風媒社)、監修・解説に『復刻版 猟奇』『復刻版 鬼』(ともに三人社)など。
鈴木 優作(スズキ ユウサク suzuki yuusaku)
鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センター特任助教。専攻は日本近現代文学。著書に『探偵小説と〈狂気〉』(国書刊行会)、論文に「狂気の価値」(「日本文学」2022年12月号)、「征服の挫折」(「昭和文学研究」第82集)など。
谷口 基(タニグチ モトイ taniguchi motoi)
茨城大学人文社会科学部教授。専攻は日本近代文学。著書に『戦前戦後異端文学論』(新典社)、『変格探偵小説入門』(岩波書店)、『戦後変格派・山田風太郎』(青弓社)、共編著に『定本 夢野久作全集』全8巻(国書刊行会)など。
タイトルヨミ
カナ:カイイトミステリ
ローマ字:kaiitomisuteri

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