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2018年11月1日発売

新曜社

出版社名ヨミ:シンヨウシャ

ハイブリッド・エスノグラフィー

NC(ネットワークコミュニケーション)研究の質的方法と実践
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内容紹介
広大なネット社会を見極める方法
 協力者の生活の「現場」に参加・観察し記述する。これが人類学の代表的な参与観察研究法です。しかし、デジタル機器やインターネットに媒介される現代のコミュニケーションは現場に参与・観察できず、研究法は変革を求められています。そこで著者が提唱するのが、定性・定量の両面から迫り、多時的・多所的なデータ、干渉型・非干渉型の組合せという複数の意味をもつハイブリッド・エスノグラフィーです。本書ではその可能性が、机上の理論ではなく、日米デジタルネイティブの比較調査、モバイル機器利用から見るデジタルデバイド調査、日本最大のニュースサイトのコメントというビッグデータを用いたオンラインエスノグラフィーなどの着実な知見をもたらす実践で明らかになります。今後のネットワークコミュニケーション研究の道標となる分析としても、ビジネス界でニーズの高まる研究法、エスノグラフィーの大胆な革新としても読むことができる著者の集大成です。
目次
ハイブリッド・エスノグラフィー 目次

はじめに

Ⅰ ネットワークコミュニケーション/エスノグラフィー/ハイブリッド・エスノグラフィー

第1章 ネットワークコミュニケーション研究
  1―1 「ネットワークコミュニケーション」
  1―2 本書が対象とする「ネットワークコミュニケーション研究」
  1―3 技術の社会的形成―――本書における技術と社会との関係の捉え方

第2章 ネットワークコミュニケーションの特性
  2―1 5つの軸
  2―2 関与者数
  2―3 クローン増殖性と記憶・再生・複製・伝播様式
  2―4 時間軸・空間軸における離散性・隣接性
  2―5 「物理的存在」(オフラインの存在)/「論理的存在」(オンラインの存在)と社会的手掛かり
  2―6 秩序形成への欲求とメディアイデオロギーの形成

第3章 NC研究におけるエスノグラフィーアプローチの展開
  3―1 エスノグラフィー・質的研究への高まる関心
  3―2 人類学におけるNC研究
  3―3 サイバーエスノグラフィー研究

第4章 「ヴァーチュアル・エスノグラフィー」と「デジタル人類学」のあいだ
  4―1 「エスノグラフィー」の危機
  4―2 「ヴァーチュアル・エスノグラフィー」
  4―3 「ヴァーチュアル・エスノグラフィー」と「デジタル人類学」のあいだ 52
  4―4 エスノグラフィー革新の必要性

第5章 デジタル世界における対称性の拡張知識産出様式としてのエスノグラフィー革新の方向性
  5―1 デジタルメソッド
  5―2 知識産出様式における〈対称性(シンメトリー)〉の拡張
  5―3 デジタル空間における「定量/定性」の対称性と「フィールド」概念の変容
    5―3―1 デジタル空間における「定量/定性」の対称性
    5―3―2 SNA・ネットワーク科学とエスノグラフィーとの接合「定性/定量」対称性方法論として
    5―3―3 「干渉型参与観察」特権化の瓦解
  5―4 「ビジネス/学術」の対称性
    5―4―1 CUDOSからPLACE
    5―4―2 ネットワークに埋め込まれる人々の活動とIT企業
    5―4―3 「ビジネスエスノグラフィー」と「デジタル人類学」

第6章 ハイブリッド・エスノグラフィーの方法論的基礎
  6―1 リサーチプロセスから規定する「エスノグラフィー」
  6―2 「アブダクション(仮説生成的推論)」―――エスノグラフィーの中核的力
  6―3 「ヒューリスティクス(発見法)」―――HEの中核的力

第7章 ハイブリッド・エスノグラフィーの具体的遂行と課題
  7―1 エスノグラフィー調査の具体的遂行過程
  7―2 つながりとしての「フィールド」とサイバーエスノグラフィー・アプローチ3類型
    7―2―1 つながりとしての「フィールド」
    7―2―2 焦点となる〈つながり〉からみたサイバーエスノグラフィー・アプローチ3類型
    7―2―3 論理的存在/物理的存在の分離がもたらす方法論的課題
  7―3 調査倫理
    7―3―1 ケアの原則(principle of care)
    7―3―2 調査研究許諾の確認と説明研究機関およびvenue毎の必要性 
    7―3―3 関係形成のダイナミズム
  7―4 フィールドワークにおけるデータ収集法
    7―4―1 観察、インタビュー、保存記録
    7―4―2 インタビューの多元性
  7―5 質的/量的をいかに組み合わせるかHEにおけるMMの具体的展開法
  7―6 HEが展開される空間
    7―6―1 NC研究の多層性・多元性
    7―6―2 NC研究の重層的空間

Ⅱ ハイブリッド・エスノグラフィーの実践

第8章 VAP(Virtual Anthropology Project)ソーシャルメディア利用の日米デジタルネイティブ比較
  8―1 VAP(Virtual Anthropology Project)とデジタルネイティブ研究
    8―1―1 VAP(Virtual Anthropology Project)
    8―1―2 「デジタルネイティブ」論と「デジタルネイティブ」概念の脆弱性
    8―1―3 日本社会において「デジタルネイティブ」研究の持つ意味
  8―2 HEとしてのVAPリサーチデザイン―――3つの観点
  8―3 デジタル現在(digital present)―――観察・アーカイブ・インタビューの融合
    8―3―1 デジタル現在(digital present)――HEにおける「民族誌的現在」の革新
    8―3―2 VAPにおけるデジタル現在(digital present)
  8―4 TML(Translational Multi―Level)デザイン
      ―――インフォーマント集団をより大きな社会文化集団に定位する方法
    8―4―1 アンケート調査との並行・継起デザイン
    8―4―2 VAP―Iでの実践
    8―4―3 TML(Translational Multi―level)デザイン
          ――定性調査の弱点克服とウェブ調査のバイアス
  8―5 VAP―V(北米調査)―――社会文化間比較に拡張したTMLデザイン
    8―5―1 VAP―Vのリサーチデザイン
    8―5―2 国際比較、異文化間比較研究
    8―5―3 VAP―Vにおける日米ウェブ調査モニター・インフォーマントの偏り
  8―6 TMLデザインによる日米比較
    8―6―1 インターネット利用全般
    8―6―2 ケータイメール・SMS利用の規範意識、気遣い
    8―6―3 ブログ・BBS・SNS情報発信・交流・自己開示
  8―7 SNS利用と社会的ネットワーク空間の構造
     8―7―1 日本社会におけるSNSの普及せめぎ合う3つの「つながり原理」
    8―7―2 「世間」の支配力
    8―7―3 対人関係空間の構造
    8―7―4 SNSの考古学

第9章 ワイヤレス・デバイドユビキタス社会の到来と新たな情報格差
  9―0 本章の位置づけ
  9―1 データ通信カードと「モバイルデバイド」本章の主題
  9―2 デジタルデバイド研究
  9―3 データ通信カードの普及
  9―4 グループインタビューによる定性的調査
  9―5 ウェブアンケートによる定量的調査
  9―6 「魚の目」の重要性

第10章 ネット世論の構造
  10―0 本研究の問題意識と主題
  10―1 日本社会における「ネット世論」の形成回路とYahoo!ニュースの位相
    10―1―1 ニュース産出流通回路の変革
    10―1―2 「ネット世論」=「拡散」「炎上」の図式を越える必要
  10―2 本研究データの概要
  10―3 投稿者識別IDクラスタリング
  10―4 投稿者ID―IPアドレス、親コメント―子コメントとの関係
  10―5 非マイノリティポリティクス「ヤフコメ」に通底する社会心理
    10―5―1 PRSに現れるネット世論の関心
    10―5―2 投稿者マジョリティに現れるネット世論の関心
    10―5―3 非マイノリティポリティクスと道徳基盤理論
  10―6 ポスト・リベラルの社会デザイン

おわりに
参考文献
索引
  
装幀 荒川伸生
著者略歴
タイトルヨミ
カナ:ハイブリッドエスノグラフィー
ローマ字:haiburiddoesunogurafii

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