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2021年6月30日発売

信山社出版

出版社名ヨミ:シンザンシャシュッパン

スポーツを法的に考えるⅡ

ヨーロッパ・サッカーとEU法
信山社新書
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内容紹介
◆サッカーからEUを、EUからサッカーを考えよう!―複雑なEUの仕組みを、ヨーロッパ・サッカーを媒介にやさしくかつ仔細に解説◆
複雑なEUの仕組みを、サッカーというスポーツを通してやさしく解説。サッカーからEUの法と社会を、そして、EUの法と社会からサッカーを考える。姉妹編の『スポーツを法的に考えるⅠ―日本のスポーツと法・ガバナンス』と合わせて、広くスポーツと法の関係が分かる待望の書!
目次
『スポーツを法的に考えるⅡ―ヨーロッパ・サッカーとEU法(信山社新書)』

  井上典之(神戸大学大学院法学研究科教授) 著
 

【目 次】

◆序 なぜEUか?
1 日本の問題を考えるために
  スポーツ団体のモデルとなるヨーロッパ/日本も事情は同じ/スポーツ法の検討は同時にEUをも対象にする
2 複雑で理解しづらいEU
  二一世紀の「新たな試み」としてのEU/統合への発展は同時に揺らぎをも引き起こす/サッカーから考える
3 日本とは異なるスポーツ選手の地位
  スポーツ選手は尊敬される/選手の法的地位は権利問題
4 特徴的なヨーロッパ・サッカーとEU法
  結局は「多様性における統合」を目指して

◆第1章 欧州統合への船出─EUとは何か・その一
1 二〇世紀ヨーロッパの苦悩
  近代の主権・国民国家の枠組み/悲劇を生み出す近代の主権・国民国家/主役を追われた欧州
2 苦悩からの自律的脱却の提案
  まずは経済の立て直し/もう一つは平和の実現/昨日の敵は今日の友
3 シューマン宣言
  「フランスからドイツ」への提案/世界平和へ向けた欧州の貢献/共通の最高機関の設置
4 欧州統合の基盤としての条約
  条約に基づく欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)/英国の不参加/共同体発展の可能性を残して

◆第2章 規範複合体として─EUとは何か・その二
1 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)からECへ
  まず経済から始めよう/三つを一つに/英国加盟から始まるECの拡大/ECの量的拡大と質的停滞
2 質的拡大からEUへ
  域内市場の構築/国境検査なしの移動の自由は警察協力も伴う/ベルリンの壁崩壊と欧州連合への展開
3 マーストリヒト条約からリスボン条約へ
  条約改正による統合の深化/東への拡大の準備のための条約改正/EU独自の基本権保障 等
4 条約によって創られた超国家的連合体
  すべての活動は条約の範囲内/独立の法人格は持つが……/分かりにくい存在を理解するために

◆第3章 欧州統合への道のりとスポーツ
1 EUへの参加拡大
  EUへの加盟国の増加/EUの出発点
2 参加することに意義がある
  「平和の祭典」:オリンピック/「友愛」精神に基づく汎ヨーロッパ主義/国家の枠組みとオリンピック
3 UEFAをモデルにしたEU?
  EUは市民の連合体か?/国家間条約によるEU/共通文化としてのサッカー/独自のビジョンを持つUEFA/ノーベル平和賞を受賞したEU

◆第4章 リスボン条約におけるスポーツのテーマ化
1 ECとEU
  欧州統合の出発/ECとEUの併存/EUへの一元化
2 EUにおける民主主義の赤字(Defizit der Demokratie)
  EUの性格決定プロセスの民主的正当性/民主制実現のための「EU市民」
3 「EU市民」形成の触媒としてのスポーツ
  スポーツの持つ社会統合的機能/EUスポーツ・フォーラムの開催/経済的側面からのみとらえられたスポーツ/不明確さの残ったスポーツ政策
4 リスボン条約でのスポーツ条項の導入
  リスボン条約による不確実さの解消/スポーツ条項の導入と権限の明確化/経済性と公共性を併せ持つスポーツ/スポーツ領域での補完性原理

◆第5章 ヨーロッパ・サッカーとEU法
1 平和構築・維持の機構としてのEU
  戦争の歴史としての欧州史/欧州の平和構築を目的にしたEU/物理的軍事力を持たないEU
2 国家単位で構成されたUEFA
  平和維持をも目的とするサッカー/ヨーロッパ地域を統括するUEFA/ヨーロッパ全体でのサッカーの強化 等
3 ナショナル・チームとナショナリズム
  国家の利害衝突をも惹起する超国家的組織/ナショナル・チームによる国際大会/ナショナリズムの喚起と国際大会
4 UEFAの持つもう一つの顔
  市民の自然な感情からの社会統合のために/経済的側面からの規制の存在

◆第6章 ヨーロッパ・サッカー・リーグの特徴
1 秋の気配とともに
  スポーツの秋/サッカーの季節の始まり
2 プロ・クラブとしてのリーグ戦とナショナル・チームの試合
  クラブ・チームと区別されるナショナル・チームの国際大会/サッカーという同一のパフォーマンスの法的関係 等
3 各国リーグ組織の内容とその相違
  イングランド・プレミア・リーグの仕組み/ドイツ・ブンデス・リーガの仕組み/その他の加盟国リーグの仕組み
4 モデルとしての「多様性における統一(unity in diversity)」
  サッカー・リーグにみる「多様性における統一」

◆第7章 EUに対してUEFAの持つ二面性
1 超国家的連合体としてのEUとUEFA
  人権尊重というEUの理念/超国家的連合体の母体は加盟国、それとも市民?/国家を超えて何ができるのか?
2 EUの規律対象としてのUEFA
  EUから見た経済活動の主体となる団体の位置づけ/UEFAによる経済活動/UEFA主催の大会の非営利性?/UEFAの持つ規制権限の行使
3 複雑なプロ・スポーツの組織構造
  EUとEU市民の間にある私的団体/スポーツのプロ化の仕組み/統一的ルールの存在/団体に吸収される個人
4 EU法の出番はどこに?
  プロ・サッカーはEU法の規律対象?/UEFAと加盟各国協会という自律的組織/私的団体に直接介入するEU

◆第8章 選手は労働者、それとも文化の担い手?
1 グローバル化の進むヨーロッパ・サッカー
  ヨーロッパ・サッカーの人気/より高額の収入を得られるヨーロッパ・サッカー/基本権としての職業・労働の自由
2 スポーツ・クラブの個人に対する非情さ
  出発点での選手の弱い立場/選手契約の下での選手の地位の弱さ/クラブによる選手に対する強いガバナンス
3 EU法によるプロ・サッカーのコントロール
  経済活動としてのサッカー/統一的ルールによる選手契約の規律/三つの基本的自由/EU法の下での直接的な法的問題
4 プロ・サッカー選手の法的問題としてのボスマン判決の事案
  ボスマン判決とは/元々は国内法の問題/やはりUEFAの統一的ルールが問題
5 欧州司法裁判所におけるボスマン判決
  スポーツに関する先例の存在/雇用契約ではないプロ選手契約の問題/労働者の移動の自由はEU法上の基本原則 等

◆第9章 助成のための資金調達?
1 オール・スターのようなサッカー・クラブの問題
  ボスマン判決のプラスの効果/結果としての「銀河系軍団」の出現/選手の頻繁な異動とアイデンティティの揺らぎ/第三の当事者としてのサポーターの存在
2 ボスマン判決の最大の問題点
  移籍金制度の存続?/選手契約の譲渡という新たな仕組み/傭兵として商品化の進む選手としての個人
3 競争のための資金調達?
  リーグ間の競争も激化/競争のための国家による資金補助/国家もEUの規制対象
4 国の経済活動はEUの規制対象
  民営化による規制事象の減少/補助金のための財源は?/スポーツ保護の財源確保の手段としての国家独占 等

◆第10章 EUの持続可能な発展のための活動
1 サッカーというスポーツの隆盛
  サッカーの中心としてのヨーロッパ/商業化したプロ・サッカーの法的側面/経済性と公共性の融合する事象としてのプロ・サッカー
2 経済活動としてのプロ・サッカー
  興行を商品とするプロ・スポーツ/様々な法的組織形態をとるサッカー・クラブ/赤字経営は許さないFFP 等
3 企業の社会的責任
  スポンサーを必要とするクラブ運営/企業の社会的責任の一環としてのサッカーを通じた社会貢献/社会の持続的発展のための企業による投資活動
4 サッカーからEUの発展へ
  ステークホルダーに対する企業の説明責任/消費者としてのサポーターを視野に入れた企業の投資

◆第11章 EU市民法とプロ・サッカー
1 地域密着型のプロ・サッカー
  「おらがチーム」とフランチャイズ制/サッカーの「ホーム・アンド・アウェー方式」/「ホームタウン制」による地域の持続的発展
2 EU市民法から見た地域密着型の問題
  「ホームタウン」での開催の義務づけ/サッカーの経済的側面からの問題/EU競争法に服するプロ・サッカー
3 「ホームタウン制」は反競争的政策か?
  「ホームタウン制」の競争法違反の可能性/一つの「ホームタウン」に複数のクラブ?/複数のプロ・スポーツの存在/サッカーの持つ独自性
4 サッカーに固有のルールとしての「ホームタウン制」
  基本権主体としてのUEFA/結社の自由による団体の自律権の保障/固有のルールとしての競技・組織ルール/サッカー文化の隆盛と「ホームタウン制」

◆第12章 EUの価値観の実現に向けて
1 欧州共通の文化的公共財
  サッカーによる欧州統合/ヨーロッパにおけるサッカーの特殊性からの注意点/サッカーとヨーロッパ統合の根底にある理念・価値観
2 EUの価値観としての人権尊重
  基本権に基礎づけられたEUのシステム/人権・基本権の一つとしての結社の自由/法秩序の下での個人・団体・国家という三極構造のとらえ方
3 サッカーでの差別的行為の根絶
  団体にも求められる人権・基本権の尊重/サッカー団体による差別的行為の根絶活動/ヨーロッパ・サッカーにおける多人種化・多民族化/侮辱的・差別的行為の例/「人間の尊厳」という価値の実現のために必要な確固たる措置
4 多民族・多人種・多言語のEU
  文化・宗教・言語の多様性の尊重/私的団体であるからこそ……
5 近代の主権・国民国家を超えて
  新たな統治形態としてのEU/EUの揺らぎ/Brexitも結局は近代の枠組みから抜け出せない先祖返り/EUの存在そのものも近代の主権・国民国家のためのもの/平和共存・繁栄のために

◆エピローグ BrexitとEUの今後
1 コロナ禍のヨーロッパ・サッカーの中で
  サッカーのない日々は日常の喪失/事情はUEFAでも同じ/サッカーが中止になる前に
2 Brexitとはどのような事象?
  法的には条約加盟国からの離脱/国民投票は国家の決定か?/議会主権か、政府の外交大権か?/英国最高裁判所の判断とその後の経過 等
3 Brexitに触発された欧州懐疑主義
  自国ファーストの欧州懐疑主義/加盟国の民主プロセスを利用したポピュリズム/ポーランドの追随/LGBTフリーゾーンと性的少数者に対する抑圧/EUからの対抗措置
4 リベラル(EU)か反リベラル(ポピュリズム)か
  「反リベラル・デモクラシー」の宣言/ルール破りの現行犯/再びサッカーを考えてみよう
著者略歴
井上 典之(イノウエ ノリユキ inoue noriyuki)
神戸大学大学院法学研究科教授
タイトルヨミ
カナ:スポーツヲホウテキニカンガエルニ
ローマ字:supootsuohoutekinikangaeruni

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