近刊検索 デルタ

2020年9月5日発売

九州大学出版会

出版社名ヨミ:キュウシュウダイガクシュッパンカイ

帝国陸海軍の戦後史

その解体・再編と旧軍エリート
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内容紹介
 近代日本のなかで主要な政治勢力の一翼を担った帝国陸海軍は、太平洋戦争の敗戦とともに「解体」を余儀なくされ、政治・社会の表舞台から姿を消した。しかし、このことは旧軍の政治的・社会的な一掃を意味せず、対日占領を挟む戦後史のなかで、一部の組織や制度は「再編」されて存続した。こうした過程を〈帝国陸海軍の戦後史〉としてとらえた場合、旧軍エリート(概ね終戦時に佐官級以上であった職業軍人)の政治的な言動は、どのように位置付けることができるのであろうか。
 本書では、かかる問いに対して、三つの視点――①GHQの対日占領を下支えした復員組織職員の動向と役割の解明(第一章・第二章)、②「経済的非武装化」としての軍人恩給廃止の衝撃とその反動(第三章・第四章)、③対日再軍備過程における旧軍エリートの認識・活動とその影響(第五章)――から考察を進めていく。復員・恩給・再軍備をめぐる旧軍エリートの動向を通じて、アクターとしての特質や、彼らの行動を支えた構造的な背景や要因、さらには政策への影響等も含めて、その実態を広く解明する。こうした試みは、占領史・戦後史研究で等閑視されてきた、旧軍エリートの「政治性」を浮き彫りにする契機となろう。
目次
 凡 例

序 章 課題と視角
  一 問題の所在  5
  二 占領史・戦後史研究のなかの帝国陸海軍
  三 本書の課題と視角
    (1) 再軍備 (2) 復員 (3) 恩給
  四 本書の構成
第一章 敗戦と武装解除
  はじめに  
  一 終戦と帝国陸海軍  
  二 旧陸軍と内地復員  
  三 旧海軍の艦艇処分  
  四 復員業務をめぐる復員組織職員の本分  
  おわりに  
第二章 復員組織職員の職務と役割
――第二復員省における公職留任の実態――
  はじめに  
  一 二復職員の基本的性格  
  二 二復職員の公職留任をめぐるGHQ等の認識  
  三 占領期における公職留任の深層  
  四 一九五〇年代以降における二復幹部の役割変化  
  おわりに  
第三章 軍人恩給の復活過程
――「経済的非武装化」をめぐる衝撃と諸相――
  はじめに  
  一 敗戦後の軍人恩給停止  
  二 対日占領下における軍事援護の周辺  
  三 「画期」としての軍人恩給復活  
  おわりに  
第四章 「反動」と旧軍人特権回復
――軍人恩給在職年数加算制度復活を事例として――
  はじめに  
  一 加算制の廃止と先送りの論理  
  二 軍恩全連の組織的性格と運動方法  
  三 加算制復活をめぐる軍恩全連の活動方針  
  四 自民党との連携と加算制の一部復活 
  おわりに  
第五章 旧日本海軍グループの「空海軍」再建とその遺産
  はじめに  
  一 旧日本海軍グループの活動前史  
  二 本格的再軍備計画の始動 
  三 二復案にみる海上自衛力組織の特徴 
  四 「空海軍」構想の激化とその帰結  
  おわりに 
終 章 帝国陸海軍の解体・再編と旧軍エリート
  一 アクターとしての特徴と役割  
    (1) 復員組織職員 (2) 軍恩全連 (3) 旧日本海軍グループ
  二 動向分析にみる特質とその位置付け 
    (1) 復員業務 (2) 軍人恩給と在職年数加算制度の復活 (3) 海上自衛力の再建

 あとがき  
 註 
 参考文献一覧  
 索引
著者略歴
山縣 大樹(ヤマガタ タイジュ yamagata taiju)
1988年、福岡市生まれ。2019年3月、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程修了。福岡共同公文書館総務企画班相談員、九州大学大学院比較社会文化研究院特別研究者などを経て、現在、独立行政法人国立公文書館非常勤職員(統括公文書専門官付公文書専門員)。博士(比較社会文化、九州大学)。 専門分野:戦後日本政治史 主要業績 「所蔵資料のシリーズ化による公文書館利用業務の改善―福岡共同公文書館所蔵『援護関係資料』を事例として―」(独立行政法人国立公文書館編集・発行『令和元年度アーカイブズ研修Ⅲ修了研究論文集』2020年) 「戦後海上自衛力再建と旧日本海軍グループ―『空海軍』構想をめぐる政治的動向とその特質―」(『軍事史学』第54巻第2号、2018年9月)
タイトルヨミ
カナ:テイコクリクカイグンノセンゴシ
ローマ字:teikokurikukaigunnosengoshi

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