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2021年3月10日発売

北海道大学出版会

出版社名ヨミ:ホッカイドウダイガクシュッパンカイ

東アジアのなかの日本文化

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内容紹介
日本文化はいかにして形成されたのか。最初からあったのではない、東アジアの交流を母胎として生み出されてきたのである――文化を政治や外交との絡み合いのなかで捉え、対中国・朝鮮、蝦夷地、琉球、境界の島々(竹島や尖閣諸島)を視野に入れ、日本文化の形成と諸相を縦横に論じる。

*2005年に刊行された同名の放送大学テキストの増補改訂版(5章増補して計20章構成)
 増補=第3章、第14章、第15章、第16章、第20章
目次
まえがき

第1章 遣唐使と中国文化の輸入
 1 「日出づる処の天子」
 2 留学生・留学僧と文化の輸入
 3 「明月帰らず碧海に沈む」
 4 「吉備大臣」へのあゆみ
 5 鬼に変じた仲麻呂、真備を助ける

第2章 破綻する「小中華帝国」
 1 新羅人放還の官符
 2 東夷の小帝国
 3 新羅の外交攻勢と「新羅征討」計画
 4 外交から貿易へ
 5 新羅商人と大宰府貿易
 6 排外意識の発生

第3章 エミシからエゾ、そして平泉王国へ
 1 列島北辺の民族動態
 2 ヤマト・エミシ戦争と境界
 3 エミシからエゾへ
 4 境界都市と王国中央──衣川・平泉
 5 もし平泉が鎌倉に勝っていたら?

第4章 渤海使節と詩を競う
 1 渤海、失われた王国
 2 日本海を越えて
 3 漢詩と外交
 4 詩を競う両国文人
 5 裴・菅両家二代の交友
 6 渤海の滅亡と交流の多様化

第5章 生身の釈迦、海を渡る
 1 留学から巡礼へ
 2 勅版大蔵経と釈迦瑞像
 3 中国人の日本観の刷新
 4 奝然入宋の歴史的意義
 5 現し身の仏
 6 天竺憧憬と清凉寺式釈迦像

第6章 刀伊の入寇、被害者の証言
 1 寝耳に水の惨劇
 2 京都にて
 3 高麗にて
 4 『小右記』の醍醐味
 5 女ふたり、恐怖を語る
 6 軍事情報と高麗観

第7章 海に開かれた窓、博多と寧波
 1 住蕃貿易と市舶司
 2 「天一閣博物館」の博多宋人刻石
 3 文字史料に見える中国人街
 4 墨書陶磁器は語る
 5 博多都市遺跡の発掘
 6 「博多綱首」の生活と営業

第8章 朝鮮渡来の海洋性陶器、カムィヤキの世界
 1 カムィヤキ窯跡群の発見
 2 カムィヤキはどこから来たか
 3 カムィヤキの生産と流通
 4 『海東諸国紀』の絵地図を読む
 5 マージナル・マン金元珍

第9章 宋へ渡ろうとした鎌倉将軍
 1 東大寺の再建
 2 「入唐三度聖人」
 3 鎌倉右大臣源実朝
 4 砂に朽ちる唐船
 5 暗殺とその後

第10章 蒙古襲来と異文化接触
 1 アジアの蒙古襲来と「三別抄」
 2 武器と戦法のちがい
 3 海戦の描写
 4 よみがえる異国合戦──鷹島海底遺跡
 5 神国思想の浸透

第11章 看板としての寺社造営料唐船
 1 海上の道、海底の船
 2 新安沈船の「国籍」をめぐって
 3 看板としての「寺社造営」
 4 倭舶と唐船
 5 大智は新安沈船の乗客か

第12章 輸入文化としての禅宗
 1 “ZEN”は「日本文化の粋」か?
 2 さわがしい茶の文化
 3 初期禅文化と北条氏
 4 にぎわう東シナ海
 5 国際性の喪失

第13章 文化史上の「日本国王源道義」
 1 「日本国王良懐」
 2 王権の競合
 3 北朝接収、南朝解消
 4 革命前夜
 5 冊封体制への参入
 6 革命の挫折

第14章 15世紀日朝交隣外交と漢詩
 1 日朝交隣外交の成立と倭寇
 2 『老松堂日本行録』にみる詩交
 3 地域外交の媒介者たち
 4 四年に三度の日本国王使
 5 個人外交(1)──癸亥約条と李藝
 6 個人外交(2)──真使便乗型偽使と文渓正祐

第15章 外交僧雪舟と「実用絵画」論
 1 遣明使節としての雪舟
 2 「国々人物図巻」の人・獣・船づくし
 3 「勝景」描出のメンタリティ
 4 金山寺、西湖、「実用風景画」
 5 大内使、雪舟画を携え朝鮮ヘ

第16章 古琉球と「女の領域」
 1 女と外交
 2 聞得大君と世主
 3 石碑と神歌(ミセゼル)
 4 ウヤガンと冊封使
 5 ヤマト化とジェンダー

第17章 対馬のサバイバルゲーム
 1 対馬島、慶尚道に隷す
 2 あの手この手の情報操作
 3 三浦の乱後の「日本国使臣」
 4 朝鮮侵略と講和交渉
 5 国書改竄

第18章 東アジア知識人の共有文化
 1 東アジア三国の儒と仏
 2 室町時代の儒教と外交
 3 朱子学の登場
 4 朝鮮王朝の性理学
 5 藤原惺窩と林羅山

第19章 明清交代を見すえる朝鮮と日本
 1 「北虜南倭」
 2 「中華」への挑戦──秀吉の世界構想
 3 明から清へ
 4 朝鮮の党争と「崇明排清」運動
 5 江戸幕府の対明復交交渉
 6 「華夷変態」と日中関係の定置

第20章 境界域としての竹島・尖閣諸島
 1 領土論争と境界史料
 2 鬱陵島と于山島
 3 鬱陵島と境界人たち
 4 元禄時代の「竹島問題」
 5 冊封使のみた尖閣諸島と久米島


索 引(人名、地名、事項)
著者略歴
村井 章介(ムライ ショウスケ murai shousuke)
1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。 同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。 専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。 おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。
タイトルヨミ
カナ:ヒガシアジアノナカノニホンブンカ
ローマ字:higashiajianonakanonihonbunka

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