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内容紹介
美術作品は思想たりうる。そしてその思想は事物としての作品にこそ結実している。

事物としての作品の徹底した調査、精緻な分析が導き出すのは、別の思想の可能性である。

かつて現代美術と呼ばれた作品たちを、現代(その時代の拘束)から解放するために、著者は作品のいかなる細部も見逃さない。

いまだ考えるに値し、制作するに値する、さまざまな問題=主題群がそこにある。

それを教え、元気を与える、これが批評の本来あるべき姿だ。

この真摯な純度を見よ!

──────岡﨑乾二郎



アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、バーネット・ニューマン、カール・アンドレ、ロバート・モリス、香月泰男、福沢一郎、辰野登恵子、高松次郎、ゴードン・マッタ゠クラーク、ロザリンド・クラウス、クレメント・グリーンバーグ、イサム・ノグチ──。

「美術手帖」芸術評論募集第一席を受賞した著者による堂々たる美術批評。単行本書き下ろしとして、イサム・ノグチ論「火星から見られる彫刻」を収録する。芸術の思考=批評はここから開始される。美術批評の新たな達成。


【序より】

芸術を経験することとは、振動する差異と諸力のただなかに巻き込まれることだ。芸術の思考=批評はそこから開始される。本書は、そのような、絡み合いせめぎ合う諸力の束としての芸術作品の分析を試みる。俎上に載せられるのは、絵画、彫刻、批評など、いずれも、近現代の芸術動向と深く関わる対象群だ。(……)
「一」であると同時に「多」であるところの芸術、意志と方向をもつ芸術、客体化された一個の思考・思想としての芸術。作品を知覚すること、批評することの出発点に、こうした芸術の力学を置くことから、本書は始められる。
目次


Ⅰ 絵画の思考

第1章 ジャクソン・ポロック──隣接性の原理

第2章 福沢一郎と場

第3章 限界経験と絵画の拘束──香月泰男のシベリア

第4章 差異と関係──ジョセフ・アルバースとブラック・マウンテン・カレッジの思想

第5章 ニューマンのパラドクス

第6章 ウォーホルと時間

第7章 辰野登恵子──グリッド/斜行/アクソノメトリー

Ⅱ 事物経験の位相

第8章 繋辞なき反復──高松次郎の非‐命題

第9章 レイバー・ワーク──カール・アンドレにおける制作の概念

第10章 都市の否定的なものたち──ニューヨーク、東京、一九七二年

第11章 事物の退隠──ロバート・モリスの盲目性

第12章 火星から見られる彫刻

Ⅲ テクストの力学

第13章 自然という戦略──宗教的力としての民藝

第14章 ポスト=メディウム・コンディションとは何か?

第15章 形象が歪む──アヴァンギャルドとキッチュ

参考文献

あとがき
著者略歴
沢山遼(サワヤマリョウ sawayamaryou)
1982年、岡山県生まれ。近現代美術/美術批評。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。2009年「レイバー・ワーク──カール・アンドレにおける制作の概念」で『美術手帖』第14回芸術評論募集第一席。主な共著に『現代アート10講』(田中正之編著、武蔵野美術大学出版局、2017年)などがある。
タイトルヨミ
カナ:カイガノリキガク
ローマ字:kaiganorikigaku

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