近刊検索 デルタ

2024年2月28日発売

小鳥遊書房

出版社名ヨミ:タカナシショボウ

「記憶」で読む『鬼滅の刃』

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内容紹介
戦いの合間でさえ、人間も鬼も自分の過去をしばしば思い出す。
そう、『鬼滅』は過去の「記憶」をめぐる物語なのだ。
「回想」「走馬灯」「時間(過去・現在・未来)」などを鍵に、
「細胞の記憶」や「先祖の記憶」など物語独自の概念にも着目。

記憶研究を専門とする文学研究者が
真剣に読み解く『鬼滅』論!
目次
序章 『鬼滅』と記憶
漫画技法と「時間」  /本書の読解の基本姿勢
第一部
「時間」と「記憶」の芸術作品としての漫画『鬼滅の刃』
第一章 漫画研究と「時間」と「記憶」
他のメディアとの比較—類似点と相違点/ 漫画のコマのなかの「動き」と「時間」/
漫画を読む行為の中で流れる「時間」
第二章 「回想の物語」としての『鬼滅の刃』 炭治郎立志編(那田蜘蛛山まで)
はじまりにすべてが/ 時間(歴史)の広がり—藤襲山での最終選別と「手鬼」/
鬼たちの特徴/「縛る」鬼と、「繋ぐ」人間たち— vs 下弦の伍・累/ 走馬灯
第三章  過去を語る技法としての夢と幻、そして記憶—「無限列車編」
人の原動力としての「心」—煉獄杏寿朗

第四章  繋がれる記憶 遊郭編 vs 上弦の陸・堕姫、妓夫太郎
第五章  遺伝する記憶 刀鍛冶の里編 vs 上弦の肆・半天狗、伍・玉壺
「わざ」を繋ぐ/走馬灯/時透無一郎の「記憶」の回復/
過去の記憶を取り戻す時透/他者への気づかいの目覚め/
悪口の「わざ」/「夢」と「記憶の遺伝」/結語
第六章 最後の戦い(一) 柱稽古〜無限城へ
     vs 新上弦の陸・獪岳、vs 上弦の参・猗窩座
◉柱稽古編
消えない痛みの記憶
◉無限城へ
珠世の血鬼術
◉善逸vs新上弦の陸・獪岳
「物語」の継承と変容—呼吸法の伝承とその派生
◉炭治郎、冨岡vs上弦の参・猗窩座
未来に向けて振り返る—「透き通る世界」への覚醒/
猗窩座の懐古と郷愁/人間に「生まれ変わる」/「語り直す」ことで生まれる力
第七章 最後の戦い(二) vs 上弦の弐・童磨 vs 上弦の壱・黒死牟
◉上弦の弐・童磨 vs 胡蝶しのぶ、栗花落カナヲ、嘴平伊之助
「自分以外の誰か」のために—胡蝶しのぶ/ 心(感情)を燃やせ—栗花落カナヲ/
思い出の再構築—伊之助と「ゆびきり」の唄
◉血筋という縛り—上弦の壱・黒死牟
    vs時透無一郎、不死川実弥、悲鳴嶼行冥、不死川玄弥 
細胞の末裔/血筋の繋がりと本当の絆/対照的な双子たち/兄弟の確執
第八章  最後の戦い(三) vs 鬼舞辻無惨、鬼の王、すべての終わりに
◉鬼舞辻無惨 vs すべての人々
不変 vs 変化/「古の記憶」ふたたび—継国縁壱/
思いを「繋ぐ」—ヒノカミ神楽の「十三番目の型」/「はじまり」の記憶
◉まとめ—「手」を「繋いで」、「家」に帰る
ただ生きのびることへの執念—炭治郎の鬼化/刮目して「見る」/
遠いものの近さ/繋ぐ「手」/

第二部
作品に描かれた記憶や構造、モチーフの断片
繋がりと縛り
◎「糸」と「手」
◎「血」の強さと縛り
〈記憶や想いの継承〉
◎鬼の細胞に刻まれる「記憶」
◎まねびによる継承—叙述(ナラティヴ)の変奏
◎夢と古(いにしえ)の記憶—集合的記憶の場として
◎死者との対話と魂の実在
◎記憶の媒体(メディア)—身体、物品
◎伸び縮みする「時間」—無意志的記憶と走馬灯
◎「兄」として
◎他者を「人」として尊重し、「人」として生きる
◎侍—自分ではなく、誰かのために
◎「心を燃やせ」—燃えている「心」とは一体何なのか
終 章  記憶とは何か
1 記憶と身体
2 想起のきっかけ(トリガー)と無意志的記憶
3 走馬灯
4 改変される記憶と夢
5 変化する記憶の叙述(ナラティヴ)
6 記憶の重ね合わせと虚偽記憶(フォールス・メモリー)
7 記憶の叙述の再解釈
8 他者の記憶を共有する—集合的記憶
9 記憶の遺伝と集合的無意識
あとがき 物語の記憶を閉じる
著者略歴
三村 尚央(ミムラ タカヒロ mimura takahiro)
千葉工業大学教授。関心分野はイギリス文学(カズオ・イシグロなど)および記憶の文化。 著書に『記憶と人文学 忘却から身体・場所・もの語り、そして再構築へ』(小鳥遊書房)、『カズオ・イシグロを読む』(水声社)、 訳書にアン・ホワイトヘッド『記憶をめぐる人文学』(彩流社)、ヴォイチェフ・ドゥロンク『カズオ・イシグロ 失われたものへの再訪』(水声社)、記憶やノスタルジアから見た文化研究の領域を模索しながら渉猟中。 ちなみに、好きなキャラクターは霞柱・時透無一郎。
タイトルヨミ
カナ:キオクデヨムキメツノヤイバ
ローマ字:kiokudeyomukimetsunoyaiba

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