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2021年3月29日発売

水曜社

出版社名ヨミ:スイヨウシャ

イタリアの小さな町 暮らしと風景

地方が元気になるまちづくり
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内容紹介
イタリアに魅入られた、日本人夫婦。

人口1,400人の小さな町・メルカテッロに、築530年を経た廃屋同然の古家(ふるや)を買って移り住み、16年かけてリフォーム。年に半分はイタリア暮らし ー 町に溶けこんでいまや名誉市民。

 イタリアは「都市の国」と言われながら、山奥の人口1,400人の小さな町に住んでみると、ライフスタイルも生活の価値観もミラノなど大都市と変わらない。どこにでもある小さな町、だが日本人の私たち夫婦にしてみれば、驚くほど豊かで、なんともしたたかな生活なのだろう。日本もずいぶん豊かになっているけれど、この町で暮らしてみるとあらためて、本当の“ゆたかさ”を考えてしまう。

 グローバリズム、大都市集中、地方の疲弊、日本と同じような先進工業国の課題をイタリアも背負っている。彼らはどのようにして、この豊かさを守っているのだろうか?

 コムーネ(イタリアの自治体の最小単位の組織=基礎自治体=日本の市町村)暮らしで考える“ゆたかな”まちづくり。
目次
まえがき
  
第1章 メルカテッロの生活

1 メルカテッロとの出会い
イタリア都市の転換点でメルカテッロに出会う
我々はどのようなライフスタイルが欲しいのか
メルカテッロに何を学ぶのか   
〈インタビュー①〉マリオ・サッキ(元郵便局員、Uターンの常連)
「トラウマだね、メルカテッロから離れられないんだ」

2 美しい風景
田園の風景  
都市の風景  
広場の風景  
新しい市街地の風景
〈インタビュー②〉エウロージア・ラッツアーリ(町に一軒のペンショーネのオーナー)
「ローザンヌのことは、本当に素晴らしかった」

3 食べる楽しみ
おふくろの味  
みんなで食べる   
地産地消だけでは納まらない肉、野菜、チーズ   
地元では賄えないヴィーノ(ワイン)とオリーブ
〈インタビュー③〉ジャンニ・バッティスタ・マルケッティ(愛飲家、呼び名はピンソ)
「塵ひとつない貯蔵庫だった。だからそこのヴィーノを飲むことにした」

4 みんながつながる場所
バール(BAR) 
広場
教会
〈インタビュー④〉シスト・パッリアルディーニ(元ブラスバンドの楽団長)  
「あって当たり前、ということかな、町のバンドは」

5 みんなで支えるコミュニティ
商店街
市場
クラブ活動
夏のイヴェント
 〈インタビュー⑤〉ニコレッタ・アミチーツィア(若くて元気な国際派の町会議員)  
「今のところ、人生順調ってとこかな」

6 町の必需品、文化と福祉
文化会館・郷土史美術館・パラッツォ(お屋敷)
学校・病院・介護老人保健施設・墓地・ヘリポート
〈インタビュー⑥〉アンナ・マリア・ベネデッティ(ベネデッティ家当主、美術史家)  
「父は私の生きる目標でした。今でもそうです」

7 グローバル社会の地域経済
イタリアの地域経済と日本の地域経済は似て非なるもの
農業、畜産業、林業
観光業―アグリトゥリズモとカントリーハウス、そしてB&B
製造業、商業、サービス業
町役場、銀行、保険会社、経理事務所
不動産業
建設業
水力発電所
〈インタビュー⑦〉ファウスト・ボネッリ(MCE社長、チームグループマネージャー)
「食べる事にも美味しいワインにも興味がない。僕には仕事だけだ」

8 メルカテッロ・スル・メタウロの歴史
〈インタビュー⑧〉ピエールパオロ・ゴストリ(ドクター)
「パラッツォを買ったのは失敗だったよ」

9 風景と郷土愛
人間の尊厳
メルカテッロの豊かで幸せな生活を支えているもの  
豊かで幸せな生活は安泰ではない
自分たちの生活を誇りに思う生活
〈インタビュー⑨〉リッカルド・ジョルジョーネ(ファレニャーメ・家具、建具職人)  
「川沿いの小屋の中で家具修繕を手伝った。それが忘れられなかった」

第2章 眠りを覚ましたメルカテッロ

1 戦後の復興、奇跡の経済成長を果たしたイタリアと日本
基礎自治体の人口規模  
イタリアは小都市分散の国  
イタリアは過疎村、限界集落の先進国
チェントロ(中心市街地)の拡大と人口の推移  
戦後の経済成長と都市化の歩み
旧市街(チェントロ・ストーリコ)の衰退と新市街の拡大
モダニズムの路線を変えなかった日本の都市政策
〈インタビュー⑩〉ロレンツォ・パチーフィコ・ヴィニーチォ・グエッラ(呼び名はパッチョ、バリスタ、バールの主人)  
「パオロが居なかったら、今のメルカテッロはなかったね」

2 戦後システムの再構築に舵を切ったイタリア
イタリアにおける新しい都市政策の始まり
景観計画と地方分権  
眠りを覚ましたメルカテッロ
メルカテッロの都市基本計画  
メルカテッロの財政
メルカテッロに学ぶものがあるか、改めて考える  
〈インタビュー⑪〉ヴィレルマ・パッリアルディーニ・イン・チンチッラ(二人の男の子を育てたお母さん)
「母親がしっかりしていたら、子供はほっといても育つのよ」

3 メルカテッロの町家再生
旧市街は地区詳細計画で守られている
メルカテッロで手に入れた家はいつ頃のものか?
類型学のデザインー歴史と対話することの悦び
石積みであってもメンテナンスは欠かせない
工事は三回に分けて、十六年。何とか一応の完成にこぎつけた
修復デザインと建築家のアイデンティティ、豊かな建築
〈インタビュー⑫〉アドレアーノ・グエッラ(ムラトーレ、あだ名はヴォルペ=狐)  
「いい家だろう。自分で建てたんだ」

註、参考文献
あとがき
著者略歴
井口 勝文(イノクチ ヨシフミ inokuchi yoshifumi)
1941年福岡県朝倉市生まれ。建築家。博士(工学)。イタリア・メルカッテロ名誉市民。九州大学卒業。フィレンツェ大学に研究留学(イタリア政府給付留学)。 (株)竹中工務店、ジャンカルロ・デ・カルロ都市建築設計事務所、(株)環境開発研究所を経て、2000年京都造形大学(現京都芸術大学)教授、INOPLΛS都市建築デザイン研究所設立。専門は都市デザイン、建築設計。著書に「都市のデザイン〈きわだつからおさまるへ〉」「都市環境デザイン」「フィレンツェの秋」「メルカテッロの暮らし」「Mercatello:il Miracolo」など(いずれも共著)
タイトルヨミ
カナ:イタリアノチイサナマチ クラシトフウケイ
ローマ字:itarianochiisanamachi kurashitofuukei

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