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2022年8月1日発売

水曜社

出版社名ヨミ:スイヨウシャ

祝祭芸術

再生と創造のアートプロジェクト
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内容紹介
先の見えない時代、列島にアートプロジェクトが満ちる。民衆は祝祭芸術を求めるが、アートプロジェクトの多くは祝祭芸術であり、芸術活動は、祝祭芸術が豊かなところに開花する。

 本書の第一の試みは、祝祭と地域社会が持つエネルギー、ダイナミズムを解き明かすことである。

 第二に、地域社会と芸術アートとの関係性を解き明かそう。登場するのは、棚田、郷土芸能、奇祭、山野草、潟湖沼、過疎や離島、野草採集、川遊び、里山、沼沢、町工場、農業、川砂利採掘、回船など一見“アート” とは遠い日本人の原風景である。

 第三に、芸術は個人のものであるとともに、共同体の表現でもあると喝破する。芸術活動は人々の思いを協働で表現する。

 祝祭とアートプロジェクトに込められるのは、豊かな自然と情の満ちる地域社会を再生しようとする人々の願いの根源。日本人の原風景を遡りたどって行き着いた、アートプロジェクトがもたらす再生と創造の新たな地域社会像を提示する。
目次
はじめに

第一章 土筆摘み
魚虫を追って/木瓜の花/邑知潟/六ヶ所村の湖/八戸の「はっち」/カヤネズミの巣/野を懐かしみ/小山田徹の仕事/ダムタイプ「S/N」/大山崎山荘図鑑/「しあわせのしわよせ」展/町工場の職人とアート/再び土筆について/梁塵秘抄の野草、新潟の蓴菜/西湖の蓴菜、西施、そして象潟と芭蕉/虎杖物語/白老のクッタラウシ/越後妻有の千手神社/飛生芸術祭/アートプロジェクトの先行事例/「アパルトヘイト否(ノン)!」国際美術展/昔マグマに苔の花/猪踏みしだく一面の萩

第二章 半農半芸
民家のつくり/自然と接する暮らし/祖父の生い立ち/三昧道/牛を飼う/マムシ発見/清水寺成就院の庭/庭の井戸/循環型の生活/チャンバラ、釘刺しなど/米づくりとモノカルチャー/農業は米づくりという思想/貧しい食文化/半農半芸の生き方/失われた静寂/前山という里山/雁皮とこくばかき/ラジオと映画/屋台がぶつかる灘のけんか祭り/書写山―性空上人と和泉式部/弁慶、そして鬼追い

第三章 俳諧連歌とバッハ
俳諧連歌との出合い/対位法発見―バッハの音楽との出合い/子どものころの音楽世界/創造の民主主義/「歌がないのね」/「音楽」という名の音楽/シャコンヌとフォーサイス/すみだがわパレード/著作権フリー/中国古典劇「昆劇」とバッハ/「主よ、人の望みの喜びよ」/そして、自由の精神としての芸術/名優マーティン・ヴトゥケ/バッハと限界芸術/総合プロデューサーとしてのバッハ/独学するバッハ、就活するバッハ/聖トマス教会カントル/『マタイ受難曲』/マグダラのマリア/注文主の注文を越える創造性

第四章 アートプロジェクトの時代
玄関土間の燕の巣/田んぼの中の通学路/とんと焼き/中川幸夫と曼殊沙華/「空中散華—花狂—」/「for you」から「for family」まで/現代音楽の可能性と課題/須田悦弘とスタジオ食堂/農閑期の祖父の楽しみ/安岡路洋と観音仏/奈良に遊んだ津軽人/もう一人の祖父と戦争/潜伏キリシタン/野崎島の旧野首教会/芸術文化への社会的投資/山上神社/信仰について/チャンチキトルネード、その後/五島列島の神楽/音楽キャラバン/内子町と内子座/「ヘトマト」と「砂打ち」/宮崎先生の危機意識と実践/甑島のアートプロジェクト/アートプロジェクトの評価と課題/カフェレストラン「たゆたう。」/AAF最後のキックオフミーティング

第五章 自己表現の社会化
八重山の芸能「とぅばらーま」/「毛遊び」/エイサーを巡って/島くとぅばで語る/比嘉豊光の仕事/首里城の地下壕/木ノ下歌舞伎/悲劇の効用/ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』/ココルームの話/京大西部講堂/非営利公益組織の運営/「住み開き」というプロジェクト/應典院寺町倶楽部/社交について/喫茶文化/一万人のゴールド・シアター/老人ホームでお年寄りと一緒に作曲する野村誠/老人ホームでダンスをつくる砂連尾理

第六章 祝祭芸術の展開
絵日記「夢前川」/川砂利の採掘/ホリドールの登場/町工場の日々/村落共同体からの離脱/町工場と夜間中学/在野の音楽家たち/鳥取岩美浦富海岸の夏/隠岐の焼火神社/隠岐アートトライアル/本のある場所/回船の面影/梼原の津野山神楽/御喜美江と「たんぽぽ合奏団」/神楽交響楽団/建築物ウクレレ化と亜炭/岡山アートリンク・プロジェクト/「呼び屋はやるな」/創造性に寄与するか/大地の芸術祭のインパクト/アサヒ・アート・フェスティバル(AAF)誕生/AAFの広がり/AAFの特色/コミュニティからの離脱と再構築/創造都市への波及/アートプロジェクトの特色/限界芸術とは何か/限界芸術から祝祭芸術へ

おわりに 索引
※注記のない写真は筆者の撮影による。
著者略歴
加藤 種男(カトウ タネオ katou taneo)
クリエィティブ・ディレクター。アサヒビール株式会社企業文化部を経てアサヒビール芸術文化財団事務局長。アサヒ・アートフェスティバルなど多数の企画を立ち上げる。2004〜10年横浜市芸術文化振興財団専務理事兼大佛次郎記念館館長。12〜17年企業メセナ協議会専務理事。そのほか東京都歴史文化財団エグゼクティブ・アドバイザー、京都造形芸術大学客員教授、文化審議会政策部会委員など歴任。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
タイトルヨミ
カナ:シュクサイゲイジュツ
ローマ字:shukusaigeijutsu

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