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2022年7月1日発売

公益財団法人たばこ総合研究センター

談 no.124

声のポリフォニー…グルーヴ・ラップ・ダイアローグ
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内容紹介
音楽起源論には、言語が音楽から生じたとする説、音楽と言語の中間ともいえる前言語=前音楽的な音声言語から双方が分岐したとする説、音楽が言語から生じたとする説があるが、いずれにせよ、音楽と言語の発生において、身振り的な音声表現が深く関わっていることは間違いなさそうだ。今号は、「声のポリフォニー」すなわち声の多性性に注目し、主に身体との関係からグルーヴやラップ、ダイアローグについて検討する。
目次
〈響きあう身体〉
「〈声のきめ〉を聴く…グルーヴのなかへ」
山田陽一(京都市立芸術大学名誉教授)
声は、いうまでもなく、身体的に生み出される音であるが、それが同じく身体的に生み出された楽器の音と根本的に異なるのは、声が身体そのものにおいて生じる音であり、声を生み出すためには身体以外の何ものも必要としないという点である。声は身体と一体化しているのだ。それゆえ声は、身体と、身体が経験してきたあらゆる種類の感情をじかに表現し、伝達することができる。声は、私たちを身体と心の深部や、歌うことと聴くことの快楽へといざなう、すぐれて肉感的な響きなのだ。

〈音声と意味〉
「声に出すことば…言語と意味を超えて」
川原繁人(慶應義塾大学経済学部教授)
声に出される言葉は、いわゆる言語という枠組みや書かれた言葉以上に、生き生きと私たちの生活世界のさまざまな局面をつないでいる。アニメやゲーム、ラップなど、今、若い人たちを中心に大きな人気を博しているカルチャーを始め、玩具や人気商品、ブランド形成などには、そうした「声に出されることば」の魅力が数多く見出される。身近な言葉の音声学的、音韻学的、さらには一般言語学的観点から、声と言葉と意味の関係を探る。

〈対話理論の先へ〉
「わかったつもり」から異質な他者との声が響き合う「対話」の地平へ
田島充士(東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授)
他者との絶望的なまでのわかりあえなさとは、人々が既存の世界に一方的に飲み込まれることなく、ダイアローグを通して新たな意味を創出する原理であり、世界の革新性へのかけがえのない希望を示すものだ。「対話の不可能性に可能性を見る」というバフチンのダイアローグ論の逆説は、永遠に融合し得ないからこそ、常に/すでに、ダイアローグを通した更新可能性を担保しているのである。
著者略歴
山田 陽一(ヤマダ ヨウイチ yamada youichi)
1955年生まれ。京都市立芸術大学名誉教授。専門は、民族音楽学、音響人類学。 著書に『響きあう身体:音楽・グルーヴ・憑依』(春秋社 2017)、編著書に『グルーヴ! 「心地よい」演奏の秘密』(春秋社 2000)他。
川原 繁人(カワハラ シゲト kawahara shigeto)
1980年生まれ慶応義塾大学言語文化研究所教授/専門は、音声学、音韻論、一般言語学。著書に『言語学者、外の世界へ羽ばたく:ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュら・ポケモン名の分析まで』(教養検定会議 2022、4月28日発売)、『「あ」は「い」より大きい!?:音象徴で学ぶ音声学入門』(ひつじ書房 2017)他。
田島 充士(タジマ アツシ tajima atsushi)
1976年生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授/専門は教育心理学、異文化コミュニケーション。 著書に『「分かったつもり」のしくみを探る:バフチンおよびヴィゴツキー理論の観点から』(ナカニシヤ出版 2010)、編著書に『ダイヤローグのことばとモノローグのことば:ヤクビンスキー論から読み解くバフチンの対話理論』(福村出版 2019)他。
タイトルヨミ
カナ:ダンヒャクニジュウヨン
ローマ字:danhyakunijuuyon

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