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2021年4月1日発売

同時代社

出版社名ヨミ:ドウジダイシャ

行動する「自利利他円満」の仏教

宮沢賢治・親鸞・道徳論をめぐる断章
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内容紹介
仏教は現実社会にどう関わるべきか。自己犠牲の精神とは何か。
助け合う思想、他者と共に生きる哲学とは――。
仏教における「自利」と「利他」の教義に焦点をあて、
現代社会を生きる「私たち」一人ひとりの「倫理」を問う。
目次
第1章 本書の問題意識
1.他者とつながって生きる「私」 
2.政治課題を忌避しがちな仏教界
3.仏教の社会倫理を問う

第2章 大乗仏教の興起
1.釈迦入滅から部派仏教の成立まで 
2.大乗仏教の起源
3.大乗仏教の柱

第3章 日本人にとっての利他行
1,捨身(しやしん)飼虎(しこ)とジャータカ(本生譚)
2.市場原理主義と利他主義 
(1)「善因善果・悪因悪果」論の危うさ
(2)「等価交換モデル」の人間関係
 
第4章 宮沢賢治と自己犠牲の精神
 1.なぜ宮沢賢治なのか
(1)『法華経』に帰依した賢治
(2)賢治と国柱会
 ①「我日本の柱とならん」
 ②八紘一宇
(3)賢治作品とジャータカ(本生譚)
2.賢治作品の自己犠牲精神
(1)「よだかの星」
(2)自力救済への絶望
(3)自己犠牲精神の多様な諸相 
(4)賢治作品の菩薩たち
3.自律心を欠いた自己犠牲精神と利他主義の危うさ
(1)「よだか」の最後は利他主義か 
(2)全体のための個は危ない
(3)大乗仏教は、あくまでも「自利利他円満」
4.手塚治虫マンガの非戦平和への希望
(1)「荒野の七ひき」 
(2)「アトム今昔物語 ベトナムの天使」

第5章 歴史の中の宮沢賢治
 1.賢治にとっての利他主義
(1)井上ひさしの評伝劇
(2)「イーハトーヴ」
(3)井上ひさし「イーハトーボの劇列車」-「花巻署伊藤儀一郎刑事」の「爆発」
(4)お坊ちゃんの「善意」?
(5)ユートピアを宗教と芸術に昇華する賢治の非イデオロギー性 
(6)ノブレス・オブリージュ? 
(7)仏法以前の根源的ヒューマニズム
2.賢治の政治姿勢-国柱会との関わり
(1)賢治は田中智学を信じ続けていたのか?
(2)宗教や芸術活動に支えられた賢治の「国際主義」
(3)絶望から自己犠牲主義へ  
 ①見つからない時代の出口
 ②賢治の置かれた立場
③死と向かい合う
(4)文芸による仏教教化活動への特化
(5)国柱会との訣別?
 ①国柱会と田中智学から離れた賢治の心 
 ②ジョバンニの緑色の切符

第6章 大乗仏教の利他主義と「贈与」のパスワーク 
 1.他者への「贈与」のパスワーク
(1)自己犠牲主義ではない利他主義
(2)宮沢賢治の遺言
(3)「思い残し切符」
(4)利他と文学・思想哲学との違い
 2.利他とは「贈与」のパスワーク
(1)見返りの報酬を前提としない
 ①誰かに借りたら、誰かに返す
 ②パスワークされる対象
 ③パスワークを支える「本当の人間らしい関係」
 3.利他主義を支える「行(ぎよう)」と「信(しん)」
(1)利他=善、自利=利己主義=悪ではない 
(2)「行信一(いち)如(によ)」
(3)親鸞における行と信の一元論
 ①称名念仏という「行」
 ②親鸞の「信心」 
 ③「仏に成るべき身に成る」

第7章 宮沢賢治と『法華経』そして浄土真宗
 1.賢治を取りまく宗教環境
 2.賢治にとっての『法華経』
 3.浄土真宗は死後の宗教ではない
(1)賢治の浄土真宗への通念 
(2)「古き自己との決別」-今、ここでの利益(りやく)
 4.阿弥陀仏と浄土は、釈迦のさとりの象徴表現

第8章 大乗仏教の社会性-宗教と政治
 1.利他と「還相(げんそう)回(え)向(こう)」
 2.「他者の自覚」
 3.「他力」の仏道
(1)親鸞の時代認識
(2)「私」の歩んでいく仏道
 4.仏法と世俗
(1)世俗の価値の相対化 
(2)「真俗二諦(しんぞくにたい)」論
(3)人間は業縁的存在
 ①人権の根拠
 ②業縁と個人の固有性

第9章 「自利利他円満」と道徳的価値
1.「自利利他円満」の本質
2.学校教育の中の道徳的価値
(1)「特別の教科 道徳」
 ①教科設置までの経緯
②道徳科教科書の構成
3.権利か義務か、の是非論
(1)教材「選手に選ばれて」
(2)権利か義務かの二項対立
(3)第三の選択肢
(4)同調圧力
 ①主君源義経を裏切った海尊-秋元松代『常陸坊海尊』
 ②共同体(集団組織)の同調圧力
4.手段化されている道徳
(1)「時代制約的」な道徳
(2)宗教と道徳を峻別した親鸞
5.宗教と道徳の区別
(1)「一種の道徳律」としての宗教
(2)生き方としての、「自利利他円満」と親鸞の「非僧非俗」
 ①宗教や道徳は個人の「心の問題」か?
②「自利利他円満」・「非僧非俗」
(3)宮沢賢治・宗教・道徳-補論として

あとがき-政治状況への批判の作法について
著者略歴
服部 進治(ハットリ シンジ hattori shinji)
1947年生まれ。東京教育大学文学部哲学科卒業。都立高校で、「倫理」「政治・経済」「現代社会」を担当。その間、東京大学非常勤講師などを兼任し、退職後、聖心女子大学非常勤講師を経て、現在東京経済大学非常勤講師、浄土真宗本願寺派衆徒、全国民主主義教育研究会(全民研)副会長。編著共著に『現代教育の思想水脈』『18歳からの選挙Q&A』『主権者教育のすすめ―未来をひらく社会科の授業』『迷走する〈ディベート授業〉』(ともに同時代社刊)ほか。
タイトルヨミ
カナ:コウドウスルジリリタエンマンノブッキョウ
ローマ字:koudousurujiriritaenmannobukkyou

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