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定価:2,420円(2,200円+税)
判型:A5変形
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内容紹介
抒情からも、抒事からも自由に言葉がはばたいていくとき、詩は、遥かに再来する物語のひとつひとつを、ふかく抱きしめている。詩人の新たな出発を示す42篇を収めた第7詩集。
栞=杉本徹、柴田千晶/装幀=稲川方人/装画=高橋千尋
ちっちゃな青空/という言葉がやけに好きだった 松尾和子の歌う「再会」/あたしの見ていた空はいつだって大きかった/よそよそしくていじわるで きどりや/だから あっかんべ/ちっちゃな青空って/かわいい かわいいかわいいといっていると/ひとりにしないでとちっちゃな青空がいうので/抱きかかえてあたしだけのおうちに帰った(「夏のおわりに父」より)
自分にとって原型となり得る詩、という言葉が常に頭の隅にあった。今ようやく自分の書いてきたおぼつかない詩がジグソーパズルのように一つの風景を見せ始めてくれている。(「あとがき」より)
栞=杉本徹、柴田千晶/装幀=稲川方人/装画=高橋千尋
ちっちゃな青空/という言葉がやけに好きだった 松尾和子の歌う「再会」/あたしの見ていた空はいつだって大きかった/よそよそしくていじわるで きどりや/だから あっかんべ/ちっちゃな青空って/かわいい かわいいかわいいといっていると/ひとりにしないでとちっちゃな青空がいうので/抱きかかえてあたしだけのおうちに帰った(「夏のおわりに父」より)
自分にとって原型となり得る詩、という言葉が常に頭の隅にあった。今ようやく自分の書いてきたおぼつかない詩がジグソーパズルのように一つの風景を見せ始めてくれている。(「あとがき」より)
目次
I
咲いては枯れる風の通り道にさらす
時計
郷愁みたいに感じるあたしはすて犬みたいにバイトする
チャリチャリ音が散らばるとゆうぐれも濃く
配ってみても曖昧はあいまい
ときどき明日
追う
ドリンキングバード
もう彫像のように動かない
比喩のない背中に
からっぽの空
ひとりごとのようにポピーが
うかつよびこむベンチはうららか
友が
偏食
この単純さで
音だけを耳元においていき それはいつまでも降り止まず
とめどなく日常
ヘビが出るよ そこ
II
枇杷
春(昭和三〇年)
遺伝
一〇歳までに読む名作
地図帳はひどく明るい空を笑う
夜ごと 書きなさいと言われても
物語はおしゃべりより早く、汽車に乗って
ただいま
台所
課題
夏のおわりに父
III
駅舎で
ひきこさん
学校
膝小僧をまあるく くり抜いて
あらん荘
虎河豚
純喫茶
月よりも白く波がたって
君の声は反響して薄い呼吸を繰り返している
貸してあげる
灯りの遠く妹が笑う
しあわせ
咲いては枯れる風の通り道にさらす
時計
郷愁みたいに感じるあたしはすて犬みたいにバイトする
チャリチャリ音が散らばるとゆうぐれも濃く
配ってみても曖昧はあいまい
ときどき明日
追う
ドリンキングバード
もう彫像のように動かない
比喩のない背中に
からっぽの空
ひとりごとのようにポピーが
うかつよびこむベンチはうららか
友が
偏食
この単純さで
音だけを耳元においていき それはいつまでも降り止まず
とめどなく日常
ヘビが出るよ そこ
II
枇杷
春(昭和三〇年)
遺伝
一〇歳までに読む名作
地図帳はひどく明るい空を笑う
夜ごと 書きなさいと言われても
物語はおしゃべりより早く、汽車に乗って
ただいま
台所
課題
夏のおわりに父
III
駅舎で
ひきこさん
学校
膝小僧をまあるく くり抜いて
あらん荘
虎河豚
純喫茶
月よりも白く波がたって
君の声は反響して薄い呼吸を繰り返している
貸してあげる
灯りの遠く妹が笑う
しあわせ
著者略歴
坂多瑩子(サカタエイコ sakataeiko)
広島県生まれ。第一詩集『どんなねむりを』(2003年)で第36回横浜詩人会賞受賞。他の詩集に『塩壺とスプーン』(2006年)、『お母さんご飯が』(2009年)、『ミルクパーパの裏庭』(2011年、電子ブック)、『ジャム 煮えよ』(2013年)、『こんなもん』(2016年)、『さんぽさんぽ』(2019年)。
タイトルヨミ
カナ:モノガタリハオシャベリヨリハヤクキシャニノッテ
ローマ字:monogatarihaoshaberiyorihayakukishaninotte
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