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2020年8月5日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿

ここまでわかった本当の姿
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内容紹介
信長はいかに記録されてきたのか、彼の姿はフィクションでどのように描かれてきたのか。どこまでが実像で、どこまでが虚像なのか。その若き日々から本能寺の変にいたるまで、居城や天皇・女性との関わりなど、多岐にわたるトピックを立てて包括的に論じます。
本書は日本の歴史史上もっとも知られた戦国武将に、歴史学と文学の両分野からアプローチし、それぞれ最新の研究動向をふまえ論じ尽くします。
織田信長の虚像と実像を徹底的に暴き、研究の最前線を一冊にまとめた書。
すべての文章にリード文をつけ、難解な用語にはふりがなも施しています。

・桶狭間の戦いは、奇襲ではなく偶然の勝利だった!
・「人間五十年」と信長が舞ったのは、能の「敦盛」ではない!
・「麒麟」の花押に込められた信長のねらいとは何か?
・帰蝶(濃姫)を活躍させた犯人は司馬遼太郎である!
・明智光秀ほど演劇の題材となる武将はいなかった!

これから信長について知りたい人、これまで抱いていた信長像をアップデートしたい人にとって必携の一冊。
執筆は、井上泰至、堀 新、谷口克広、湯浅佳子、土山公仁、丸井貴史、吉田 豊、石塚 修、水野 嶺、菊池庸介、桐野作人、大澤研一、塩谷菊美、金子 拓、柳沢昌紀、天野忠幸、松下 浩、森 暁子、網野可苗、柴辻俊六、福島克彦、原田真澄、竹内洪介。
付録として、本書で取り上げた主な信長関連の諸作品を「信長関連作品目録」「信長関連演劇作品初演年表」として収録。

【社会に流布する信長のイメージがどのようにして形成され、それのどこまでが事実でどこからが虚構であるか、その読み解きを楽しんでいただきたい。・・・近世軍記から近代歴史学・戦後歴史学を経て積み重なった知識や誤解をいったん整理し、ここからまた新たな出発が始まる。もう歴史学・文学それぞれの枠の中だけで議論してはいけない】本書あとがきより
目次
本書の読み方・概要紹介・織田信長略年譜

序 歴史と文学の共謀―五十五年の夢、五十年の夢(井上泰至・堀 新)

1章 若き日の信長と織田一族
[実像編]谷口克広
尾張の雄・織田信秀の死/信勝への権限の分与/「大うつけ」に対する老臣の拒否反応/孤立状態の中にあって/斎藤道三との交流/尾張の敵対勢力の克服
[虚像編]湯浅佳子
「百将伝」の信長/織田信秀と信長/うつけ者として・英雄としての信長/『信長記』後の信長伝

コラム 太田牛一と信長公記(堀 新)

2章 今川義元と桶狭間の戦い
[実像編]堀 新
はじめに/合戦の背景と経緯/義元本陣と信長勝利の要因/武者舟・塗輿と義元の軍事目的/おわりに
[虚像編]湯浅佳子
信長の攻撃法/『信長公記』から『信長記』へ/伝承の展開

3章 美濃攻め
[実像編]土山公仁
はじめに〜道三の予言と遺言〜/永禄三年の三国同盟/永禄四年の美濃攻め/小牧築城と永禄八年の中濃攻略/岐阜入城/むすびに替えて〜天下布武へ〜
[虚像編]丸井貴史
信長と道三/墨俣一夜城という「伝説」/竹中重治と美濃三人衆の籠絡/再び信長と道三

4章 堺と茶の湯
[実像編]吉田 豊
貿易都市堺と唐物/東山御物と名物茶器/堺商人と三好・織田/道具重視の茶の湯/信長の名物蒐集/秀吉・利休の侘び茶
[虚像編]石塚 修
「名物狩り」とは/織田家の名物所持/田舎大名信長のイメージ/堺の末路―西鶴作品から

5章 信長と室町幕府
[実像編]水野 嶺
信長と室町幕府・足利将軍の今昔/「天下」文言の再考/義昭・幕臣の動向/幕府の再興/五ヶ条の条書/畿内の争乱/十七ヶ条の異見書と幕府の終焉
[虚像編]菊池庸介
はじめに/義昭、信長を頼る/信長の上洛/上洛後の義昭と信長―双方の不和まで/義政追放/おわりに

コラム 信長とフロイス(桐野作人)

6章 元亀の争乱
[実像編]桐野作人
信長の将軍権力代行と越前攻めの経緯/志賀の陣と江濃越一和の再検討
[虚像編]井上泰至
近江関係の情報収集/浅井の「謀叛」と信長の脱出劇/姉川の合戦―奇襲を予想する信長/信長包囲網失敗の本質その1/信長包囲網失敗の本質その2/朝倉・浅井掃討戦

7章 本願寺と一向一揆
[実像編]大澤研一
はじめに/「石山」と「大坂」/開戦前夜/本願寺の「聖戦」/信長の「天下静謐」/「根切」・「撫切」の事情/戦いの終結/一揆の思想と地域一揆
[虚像編]塩谷菊美
はじめに/信長と「一揆」の死闘/徒党・強訴禁止と法座の「石山」語り/絵本読本の「百姓一揆」/おわりに

8章 長篠の戦い
[実像編]金子 拓
長篠の戦い研究の動向/長篠城の守備体制/信長の本願寺攻め/武田軍の三河侵入/両軍激突に至るまで/必然ではなかった長篠の戦い
[虚像編]柳沢昌紀
鉄砲三千挺・三段撃ちの新戦術を創作/引き継がれる鉄砲三千挺/戦場の地名が「設楽原」に/「神君」中心の記述/参謀本部による新戦術の公認

コラム 長篠合戦図屏風(金子 拓)

9章 中国攻め(摂津播磨を含む)
[実像編]天野忠幸
義昭幕府の一員として/義昭の処遇をめぐって/毛利輝元の義昭擁立/羽柴秀吉の登用/毛利氏を追い詰める調略/因幡鳥取城・備中高松城攻め
[虚像編]菊池庸介
はじめに/前哨戦としての木津川口船戦/中国攻めの概略/文芸にみる信長の中国攻め/①木津川口の船戦―足利義昭の陰謀/②播磨出兵―豊臣秀吉の描かれ方/③三木城攻め・鳥取城攻め―甫庵『信長記』にみえる簡略化/④備中攻め―信長の最期/おわりに

10章 信長の城
[実像編]松下 浩
居城を移す信長/家督相続まで/清須城 尾張の統治者として/小牧山城 戦国大名として自立/小牧山城跡の発掘調査/岐阜城 天下布武へ/発掘が進む岐阜城/金箔瓦の謎/安土城 天下人の城/安土城跡の発掘調査成果/安土行幸/居住空間としての安土城/信長権力と安土城/懸け造りの謎/京の城/信長と城
[虚像編]森 暁子
若き織田家棟梁の奮戦と飛翔―尾張国清須城/清須城の名残/清須逍遥/天下人のおわした美の極致―近江国安土城/琵琶湖をめぐって/幻の画への憧憬/安土逍遥/信長の城の道

コラム 洛中洛外図屏風と安土図屏風(堀 新)

11章 信長と女性
[実像編]桐野作人
土田御前(一五一四?〜一五九四)/正室斎藤氏(帰蝶、濃姫、鷺山殿 一五三五?〜?)/お市(小谷の方 一五四七?〜一五八三)/五徳(岡崎殿 一五五九〜一六三六)/側室生駒氏(?〜一五六六)/ツマキ(明智光秀妹 ?〜一五八一)
[虚像編]網野可苗
はじめに/濃姫像の濫觴/本能寺で戦う女性/本能寺の変と濃姫/おわりに

12章 信長と天皇・朝廷
[実像編]堀 新
変わる信長像/戦国期朝廷の実態/太田牛一の描く信長「仁政」/三条西実枝の描く信長「公家一統」/公武結合と「朝家再興」
[虚像編]井上泰至
「勤皇家」信長/信長の神格化―ナイーブな「勤皇」/頼山陽と徳富蘇峰―戦略的「勤皇」/詐術としての「勤皇」―新井白石

13章 武田攻め(長篠以降)
[実像編]柴辻俊六
はじめに/長篠の戦いでの勝利と問題点/通説批判と論争/合戦理解の要点/第二次の信長包囲網/義昭の「甲相越三和」工作/信長の東国経略策/武田勝頼の対応/信長への和睦交渉/武田氏征圧戦の経過/信長の武田領仕置き/まとめとして
[虚像編]森 暁子
長篠合戦から勝頼の死まで/長篠合戦―鮮やかな戦略/高天神城合戦―着実な勢力拡大/信濃国発向―待ち望まれていた支配者/高遠城合戦―後継者の活躍/勝頼の新府撤退―激しい追撃/勝頼の最期―織田家の正当性と安泰/信長の凱旋―王者の寄り道/『甲陽軍鑑』における武田攻め/「武田攻め」観の多様化と信長像

14章 明智光秀と本能寺の変
[実像編]福島克彦
光秀の出自とその飛躍/光秀の志賀郡経営/光秀の丹波攻略と土豪/明智分国の完結性/本能寺の変と秀吉への継承
[虚像編]原田真澄
はじめに/軍書類にみる本能寺の変とその理由/演劇作品での本能寺の変/まとめ

コラム 信長の肖像画(堀 新)

○付録
・信長関連作品目録(軍記・軍書・史書・実録・史論・図会・随筆・小説)(竹内洪介)
・信長関連演劇作品初演年表(人形浄瑠璃・歌舞伎)(原田真澄)
○あとがき(堀 新)
○執筆者プロフィール
著者略歴
堀 新(ホリ シン hori shin)
1961年生まれ。共立女子大学教授。著書に『信長公記を読む』(吉川弘文館、2009年)、『天下統一から鎖国へ 日本中世の歴史7』(吉川弘文館、2010年)、『織豊期王権論』(校倉書房、2011年)、『戦国軍記・合戦図と古文書・古記録の学際的研究』(科研報告書、2019年)、共編著に『近世国家 展望日本の歴史13』(共編、東京堂出版、2000年)、『消された秀吉の真実 徳川史観を越えて』(共編、柏書房、2011年)、『岩波講座 日本歴史 第10巻 近世1』(共著、岩波書店、2014年)、『秀吉の虚像と実像』(共編、笠間書院、2016年)などがある。
井上 泰至(イノウエ ヤスシ inoue yasushi)
1961年生まれ。防衛大学校教授。著書に、『サムライの書斎 江戸武家文人列伝』(ぺりかん社、2007年)、『江戸の発禁本』(角川選書、2013年)、『近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証』(笠間書院、2014年)、共編著に、『秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ 前近代日朝の言説空間』(共著、笠間書院、2011年)、『秀吉の虚像と実像』(共編、笠間書院、2016年)『関ケ原はいかに語られたか』(編著、勉誠出版、2017年)、『関ケ原合戦を読む 慶長軍記翻刻・解説』(共編、勉誠出版、2019年)などがある。
タイトルヨミ
カナ:ノブナガテッテイカイドク
ローマ字:nobunagatetteikaidoku

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