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2021年10月8日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

日本の歴史を描き直す 信越地域の歴史像

信越地域の歴史像
地方史はおもしろい
地方史はおもしろい
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内容紹介
現代社会のその先を作るために。日本の歩みを記憶として地域から残し伝え考えるための本。日本史ファン、研究者必携のシリーズ4冊目。

本書は、信濃国と越後国(現在の長野県と新潟県)にまたがる信越地域を取り上げます。国境を超えて互いに影響を及ぼしあっていた、信越の大地・生活文化・宗教と信仰・近代化への道筋などの多様なトピックを、長いタイムスパンから影響関係に注目しながら読み解いていきます。

なぜ影響関係に注目するのでしょうか。

地方史というと、県や市、町が出す自治体史を想像される方も多いかもしれません。試しにその自治体史を隣の県の自治体史と読み比べてみてください。例は出しませんが、全く内容が異なることが少なくありません。
本書では、そういった既存の自治体史を乗り越えるべく、信越という地域を設定し、新たな地方史像を提示することを試みました。
信越の歴史を読み解くことで、新たな地方史像のみならず、新たな日本の歴史を描き直すことの意味をも提示します。

執筆は、宮澤崇士、原田和彦、笹本正治、樋口明里、望月 誠、竹下多美、佐藤 慎、渡部浩二、由谷裕哉、竹之内耕、成田 健、木島 勉、柳生俊樹、室 正一、二星 潤、平林大樹、野村駿介、小栁義男、荒川 将、西山耕一、前嶋 敏、山中さゆり、浅倉有子、清沢 聰、小酒井大悟、花岡公貴の26名。

【本書のキーワード】
郷土食と伝承、戦国武将、選択無形民俗文化財、地域の特産物、幕府への献上、栽培管理方法、食文化史、北信濃、蕎麦と笹寿司、形態と分布、都市の祭礼、一様ではない文化、婚姻の儀礼と行事、嫁見、伝統の衰退、仏教美術、多様な印相、絵像と模刻像、山岳仏教、戸隠山と妙高山、祭礼の継承、交通と宗教、親鸞信仰、旅行案内書、神社史、神社の統廃合、オンライン資料、フォッサマグナ、糸静線、大地と暮らし、太古の海、貝化石と古生物、集落遺跡、希少石材、石材の加工術、青銅器文化、発掘調査、祭祀の地域性、弥生時代、鉄剣と墳丘墓、土器の編年、木簡資料、古代の役人、『論語』、古代寺院、古瓦の可能性、仁和の洪水、藩校役人の日記、幕末の時間割、西洋砲術の稽古、陶器製作、レンガ製造、トンネル開通、スキー術の伝播、「信越」と「越信」、矜恃と郷土愛、インフラ整備、水利権争い、共生型水資源開発、信玄と謙信、境界争い、軍記物、古文書保存、海防八策、武備の近代化、震災記録絵図、高田城への被害、幕府からの保証、奔走する庄屋たち、幕領と私領、情報収集と運動、山争い、江戸の裁判、石塚築造、史料批判、転封命令、榊原騒動
目次
『日本の歴史を描き直す−信越地域の歴史像』の刊行にあたって(浅倉有子)

第1部 生活文化はいかにして境界を越えるのか

歴史的英雄と郷土食のむすびつき
1 謙信の勝負メシ−飯山の笹寿司伝承を追う(宮澤崇士)
1、謙信寿司/2、なぜ、謙信?/3、選択無形民俗文化財の調理法

木の実からわかる近世社会
2 幕府に献上された特産物・小布施栗(原田和彦)
1、松代藩と小布施栗/2、栗献上とその種類/3、小布施栗不熟・木枯れと藩の対応/4、小河原村の栗林/5、おわりに

現代にも残る食の地方史
3 国境を越える北信濃の蕎麦文化(笹本正治)
1、はじめに/2、蕎麦の食べ方/3、蕎麦切り/4、更科蕎麦と戸隠蕎麦/5、オヤマボクチと布海苔/6、おわりに

お祭の盛り上げ役がみせるさまざまな姿
4 祭礼に曳き出される長野の屋台−その形態と分布(樋口明里)
1、屋台と文化圏/2、長野県の近世都市祭礼と屋台/3、屋台の分布/4、善光寺町と松代町/5、まとめ

昭和までつづいた地域の伝統
5 地域と時代をまたぐ婚姻儀礼・チカムカエ(望月 誠)
1、はじめに/2、信濃国高井郡箕作村の通婚圏/3、信越国境のチカムカエ/4、むすびに


第2部 信越国境から見渡す宗教と信仰

細部を吟味することで見えてきたもの
6 仏教絵画を解読する−善光寺式阿弥陀三尊絵像の手指のかたち(竹下多美)
1、はじめに/2、刀印ではない印相を結ぶ善光寺式絵像について/3、阿弥陀の転法輪印
4、阿弥陀の転法輪印が使用された背景/5、おわりに

異なる信仰の深層に共通する歴史と伝統
7 二つの霊山と一人の僧−山岳信仰を護持した宝蔵院俊海(佐藤 慎)
1、戸隠山と妙高山/2、宝蔵院俊海/3、二通の書状から見える俊海の素性/4、共通する山岳信仰の伝統

信仰と交通の要をめぐる
8 北国街道をゆく江戸時代の巡拝者たち−「二十四輩巡拝」ルートについて(渡部浩二)
1、はじめに/2、「二十四輩巡拝」の隆盛/3、「二十四輩巡拝」案内書類のなかの信越国境/4、おわりに

神社に関する基礎史料を読みこなす
9 神社合祀のたどりかた−妙高市のオンライン神社明細帳を読み解く(由谷裕哉)
1、新潟県の神社明細帳と妙高市の神社合祀(概略)/2、旧・妙高高原町の神社明細帳と神社合祀/3、旧・妙高村の神社合祀


第3部 信越地域からみた大地の歴史

歴史の土台は何を語るのか
10 信越地方の大地はいかに形成されたか−フォッサマグナと糸静線(竹之内 耕)
1、ナウマンの発見/2、フォッサマグナと糸魚川─静岡構造線/3、フォッサマグナから知る日本列島の成り立ち/4、大地と暮らしとの関り/5、ユネスコ世界ジオパーク

地に残された海の記憶
11 信越国境地域はかつて海だった―長野にあったと考えられる海岸線の話(成田 健)
1、信越国境地域の地面の下はどんな物でできているのか/2、フォッサマグナの海/3、四五〇万年前頃の貝化石からフォッサマグナの海を考える/4、貝の他にも大型の生物も化石で見つかっている

希少な石材を恵んだ環境と加工技術
12 古代のブランド品を生んだ大地と歴史―玉と斧の生産と流通(木島 勉)
1、玉と斧/2、姫川下流域の大地/3、玉と斧の生産集落 長者ケ原遺跡/4、玉と斧を作る/5、ブランドの広がり/6、大地と歴史


第4部 出土したモノたちはわれわれに何を語りかけるのか

思いがけない掘り出し物からわかったこと
13 地域史から列島史への寄与―柳沢遺跡の銅戈と銅鐸(柳生俊樹)
1、はじめに/2、柳沢遺跡の調査/3、柳沢青銅器の概要/4、北信地方における青銅器文化の展開/5、柳沢以前の発見について/6、柳沢青銅器研究の射程:地域史から列島史へ

いまだ謎につつまれた古代遺跡
14 奥信濃の弥生王墓はいつ出現したか―根塚遺跡と北陸系土器(室 正一)
1、はじめに/2、根塚遺跡から出土したもの/3、貼石円丘の墳丘墓をめぐって/4、北陸系土器と箱清水式土器/5、むすびに

古代社会の実態が刻まれた木を読み解く
15 屋代木簡からみえる古代の役人の教養−『論語』はなぜ読まれたのか(二星 潤)
1、屋代木簡とは何か/2、屋代木簡に記された『論語』/3、古代における『論語』の位置付け/4、役人が『論語』を学ぶ理由/5、木簡資料が持つ可能性

消えた歴史を復元する
16 まぼろしの古代寺院 雨宮廃寺─古瓦の向こうにみえる古代の信越(平林大樹)
1、雨宮廃寺と古代の瓦/2、発見された雨宮廃寺/3、瓦をつくる/4、瓦はどこで焼いたか/5、似た文様を持つ瓦/6、瓦の葺き替えとリサイクル/7、雨宮廃寺の終焉


第5部 近代化が信越地域にもたらしたもの

時間割が映す幕末日本
17 藩校日記から読み解く、幕末・信州松代の教育事情(野村駿介)
1、はじめに/2、史料をさがす/3、史料の性格/4、藩校の学び/5、藩校の変化/6、おわりに

時代の変化にあわせたものづくり
18 地域を豊かにした陶器とレンガ−赤塩窯と鉄道局御用煉化石製造所(小栁義男)
1、赤塩焼/2、赤塩窯の製品/3、鉄道局御用煉化石製造所/4、廉価舎の煉瓦でつくられた隧道/5、休業していた倉井第二工場/6、まとめ

海外から輸入された技術によって花開いた文化のウラ側
19 日本スキー発祥物語―越信スキー倶楽部の誕生とその名称(荒川 将)
1、日本スキー発祥の地・上越市高田/2 、越信スキー倶楽部の誕生/3、なぜ「信越」スキー倶楽部ではない?

地域を支えた技術の変遷
20 世界の至宝「池尻川発電所」―発電と農業の共存をめざして(西山耕一)
1、関川水系の発電所/2、日本初の揚水式発電所の誕生/3、農業との共存/4、世界の至宝と冠したのは


第6部 記録史料をわれわれはどのように読み解くのか

合戦史から忘却された戦い
21 川中島合戦を読み直す―永禄元年の争いの検討(前嶋 敏)
1、「五回の川中島合戦」と武田晴信・長尾景虎の争い/2、弘治三年の国切・停戦命令と晴信の信濃守護就任/3、永禄元年の争い/4、景虎上洛

海の向こうの脅威にいかに備えたか
22 近世人の国防思想−真田幸貫の海防と文書(山中さゆり)
1、はじめに/2、真田家文書とその収納容器/3、佐久間象山の海防八策/4、幸貫の考える海防/5、おわりに

絵に残された城の被災
23 震災の記録絵図−新史料が明らかにする宝暦元年高田地震(浅倉有子)
1、高田地震の概要と研究状況/2、「越後国高田城所々土居裂崩堀埋等修復之図」/3、結びにかえて

庄屋たちが起こした運動に迫る
24 幕領への復帰を求めた農民―越後国上板倉郷と大崎郷の庄屋の記録から(清沢 聰)
1、高田城主榊原家の村替え/2、その後の庄屋たちの行動/3、江戸での企て/4、進展が見えない中の風聞と疑惑/5、思わぬ結末

境界争いはいかに決着したか
25 百姓たちの山争いと領主の戦略―信越国境山論(小酒井大悟)
1、各地で起こった山をめぐる争い/2、信濃国森村と越後国羽倉村の山論/3、双方が主張する境目の性格/4、境目の画定

怪しい史料にアプローチする
26 藩主の不行跡を裏づけるには−史料の「クロスファイアー」論(花岡公貴)
1、「史料」は信じられるか/2、「史料」のクロスファイアー/3、榊原政岑という大名/4、政岑の「不行跡」を追え/5、クロスファイアー発動/6、「史料」と巡り合う


あとがき(栗原健一)

執筆者紹介

シリーズ刊行にあたって(地方史研究協議会 会長 廣瀨良弘)
著者略歴
地方史研究協議会(チホウシケンキュウキョウギカイ chihoushikenkyuukyougikai)
地方史研究協議会は、各地の地方史研究者および研究団体相互間の連絡を密にし、日本史研究の基礎である地方史研究を推進することを目的とした学会です。1950年に発足し、現在会員数は1,400名余、会長・監事・評議員・委員・常任委員をもって委員会を構成し、会を運営しています。発足当初から、毎年一回、全国各地の研究会・研究者と密接な連絡のもとに大会を開催、また、1951年3月、会誌『地方史研究』第1号を発行し、現在も着実に刊行を続けています(年6冊、隔月刊)。
タイトルヨミ
カナ:ニホンノレキシヲエガキナオス
ローマ字:nihonnorekishioegakinaosu

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