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2023年12月6日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

なぜ古い本を網羅的に調べる必要があるのか

漢籍デジタル化公開と中国古典小説研究の展開
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内容紹介
「そんな古臭いものを研究することに何か意味があるのか」。
語学、文学、歴史学、社会学、各方面に広く及ぶ本を調べ尽くす意味と、そこに資料のデジタル化がいかに貢献できるかを、第一線の中国古典小説研究者とともに探る。
2020年に開催されたオンラインシンポジウム「漢籍デジタル化公開と中国古典小説研究の展開」を書籍化。
小松謙による「『水滸伝』版本研究から何がわかるのか―白話文学における校勘の意義」では、読書とは何かという問題を皮切りに、版本研究からとても多くの情報を引き出すことが可能だということ、そしてそれがもたらす意味について丁寧に解説。その後、荒木達雄、中川 諭が、本を調べ尽くすことについて、様々な立場から考えます。
ディスカッション、後日行われた討論会も収録し、あらゆる視角からこの問題について考えるための論点を提供しました。
付録として「主なデジタル化公開済みの清代までの『水滸伝』諸本」も収載。

【さてはて、数百年前の書物を対象とした研究と、二十一世紀ならではのデジタル化の波とは、一体どのように結びつくのでしょうか。まずは本書の説き明かしをご覧あれ。】…はじめにより
目次
刊行の辞○蓑輪顕量(U-PARL部門長・東京大学大学院教授)

はじめに—資料デジタル化のさらなる可能性を探るために
○上原究一(東京大学東洋文化研究所)

U-PARLとは

第Ⅰ部 『水滸伝』版本研究から何がわかるのか

1 『水滸伝』版本研究から何がわかるのか—白話文学における校勘の意義
○小松 謙(京都府立大学)

はじめに
1.近代的読書とは?
(1)近代的読書の条件
A.大量複製技術、つまり印刷術の存在
B.大衆読者の存在
C.大衆が理解しうる書記言語の存在
(2)近代的読書はどのようにして始まったのか
2.『水滸伝』版本研究はなぜ不可欠なのか
(1)白話文学研究における版本研究の意義
(2)白話文学の版本研究・校勘作業から何がわかるのか
A.版本間の関係を明らかにすることができる(書誌学・出版史に関わる問題)
B.本文の成立と変貌の過程を明らかにすることができる。
  換言すれば、テクストの生成過程を解明する手段となりうる。(文学的問題)
   B—1.話法の整理 第三十五回、宋江が呂方と郭盛を和解させる場面
   B—2.表現の洗練と性格表現の追加
   B—3.金聖歎本における書き換え
     ①第七十一回後半以降の削除 ②詩詞韻文の全面的な削除 ③本文の改変
C.白話文の成立過程を跡づけることができる(語学的問題)
3.結び
付 水滸伝版本簡易分類表

2 [上原究一からのコメント]中原理恵発表
『水滸伝』百二十回本の所在調査と諸本の相違
○上原究一

3 アジア研究図書館デジタルコンテンツ
「水滸伝コレクション」の現状と展望
○荒木達雄(東京大学U-PARL)

はじめに
1.「東京大学アジア研究図書館デジタルコレクション」のこれまで
2.「水滸伝コレクション」の概要
(1)『新刻全像忠義水滸誌傳』二十五巻一百十五囘
(2)『新刻全像水滸傳』二十五巻一百十五囘
①そのほかの嵌図本(1)—親賢堂本
②そのほかの嵌図本(2)—ミュンヘン本と李漁序本
(3)『水滸傳全本』三十巻
(4)『水滸傳全本』三十巻
 そのほかの三十巻本—フランス国立図書館本
(5)『鍾伯敬先生批評水滸傳』一百巻一百囘
①そのほかの鍾伯敬本(1)—フランス国立図書館本  
②そのほかの鍾伯敬本(2)—京都大学附属図書館本
3.「水滸伝コレクション」のこれから

4 デジタル化資料を用いた中国古典小説研究
○中川 諭(立正大学)

はじめに
1.中国古典小説のデジタル化の歴史
(1)一九九〇年代末のデジタルデータ
(2)周文業さんによる中国古典小説のデジタル化
①二〇〇一年版 ②二〇〇五年版 ③二〇〇六年版
④二〇〇七年版 ⑤二〇〇八年版 ⑥二〇〇九年以降
2.周文業さんの版本比較プログラム実例紹介
(1)分窗口比对
(2)逐行比对
(3)图文对照
(4)图像对照
(5)同词脱文
(6)相似度比对
(7)字数统计
(8)插图比对
3.中国古典小説版本のデジタルデータ化
(1)版本本文のデジタルデータ化の方法
(2)版本の画像のデジタルデータ化の方法
(3)デジタル画像の用途
4.デジタル化資料の長所と短所
(1)長所
(2)短所
(3)失敗例
5.版本研究の意義

第Ⅱ部 ディスカッション

1.コメント①中島隆博
2.コメント②一色大悟
3.データベースの構築と維持に関するマンパワーと資金/周さんのプログラム
4.古籍版本の(専用)OCRを開発すればいいのではないか
5.中国古典小説研究における書き入れ
6.中国古典小説研究におけるテキストと挿絵の関係
7.「異同の相」とキャノン化の問題
8.OCRと中国の画像使用
付 Q&A
1.笠井直美さんから上原究一さんへ
2.石川就彦さんから中川諭さんへ

第Ⅲ部 講演をめぐる討論会

1.水滸伝の「近代性」とは
2.水滸伝の特徴とその影響
3.百二十回本諸本の調査

付録—主なデジタル化公開済みの清代までの『水滸伝』諸本

あとがき○上原究一
編集後記○荒木達雄

著者・参加者プロフィール
著者略歴
U-PARL(ユーパール yuupaaru)
東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門 Uehiro Project for the Asian Research Library(U-PARL)は、公益財団法人上廣倫理財団の寄付を得て2014年4月に附属図書館に設置された研究組織です。 〔1〕協働型アジア研究の拠点形成 http://u-parl.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/about-ja/studies 〔2〕研究図書館の機能開拓研究 〔3〕人材育成と社会還元 〔4〕アジア研究図書館の構築支援 の4つを部門のミッションとして掲げ、積極的な活動を行っております。 http://u-parl.lib.u-tokyo.ac.jp/
荒木 達雄(アラキ タツオ araki tatsuo)
1979年生まれ。東京大学附属図書館U-PARL特任研究員。 論文に「石渠閣出版活動和『水滸伝』之補刻」(『漢学研究』第三十五巻第三期、2017年)、共著書に「『水滸伝』に見る侠」(上田信編『侠の歴史 東洋編下』清水書院、2020年)など。
タイトルヨミ
カナ:ナゼフルイホンヲモウラテキニシラベルヒツヨウガアルノカ
ローマ字:nazefuruihonomouratekinishiraberuhitsuyougaarunoka

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