近刊検索 デルタ

2022年5月31日発売

文学通信

出版社名ヨミ:ブンガクツウシン

思い出のとしまえん

このエントリーをはてなブックマークに追加
内容紹介
としまえん、94年の卒業アルバム!

大正15(1926)年に、現在の練馬区向山で開園した遊園地「としまえん」は、令和2(2020)年8月31日、多くの人々に惜しまれつつ94年の歴史に幕を閉じました。
としまえんは、世界初の流れるプールや、日本初の本格的ダークライド「アフリカ館」の開設、機械遺産となった世界最古級の回転木馬「カルーセルエルドラド」の移設、斬新な広告展開など、常に時代の最先端をいき、遊園地の楽しさを多くの人々に発信してきました。
本書はとしまえんのあゆみを、練馬区立石神井公園ふるさと文化館で開催された企画展「思い出のとしまえん」をベースに、ポスターや写真など、さまざまな資料からたどります。

掲載図版400点以上、一世を風靡したポスター40点以上掲載。としまえ最後の事業運営部長内田弘氏の講演会「乗り物から振り返る『としまえん』」も収録。この講演は遊園地などの娯楽産業に携わる人には必読の文章です。小宮佐知子氏による「遊園地の歴史にみる豊島園の開園」では、遊園地の成立事情やその実態をつぶさに描き出します。

としまえんを愛するすべての人に。遊園地とは何かということを考えたいすべての人に。
目次
ごあいさつ

凡例

序章 としまえんのはじまり

1 城の跡地に生まれた遊園地
・大正15年、としまえんがはじまる。「健全な精神は健全なる身体に宿る」
・大正15年の沿線案内図
・造園家、戸野琢磨の設計

第1章 戦前のとしまえん

①開園初期のとしまえん

1 全面開園時の様子
・昭和2年、遂に全面開園、ウォーターシュートや園芸施設、スベリ台などの子どもの遊び場が新設
・そして武蔵野鉄道沿線の主要な行楽地となる
・自然の地形を生かし建てられた、異国情緒あふれる「古城の塔」

2 絵葉書からみる開園初期の園内
・昭和2年頃の園内の風景
・次第に整備される園内。石神井川の水の恵みを活用した施設の数々

3 週末の小旅行先へ──大人も子どもも
・児童向け林間学校やキャンプ設備が整う
・ウォーターシュートは約30尺「鯉の池へ船が滑り込む毎に、すばらしい歓声」!
・週末の行楽地。休日を郊外で過ごす生活が習慣化していく。
・昭和初期の旅行ブーム。としまえんも候補地のひとつに。
・このころの東京各地の遊園地の入場券

4 駅名にもなり高まる存在感
・としまえんは東京イチの子どもの遊び場
・昭和7年の武蔵野鉄道乗車券
・動画でみる昔のとしまえん

②昭和10年頃からのとしまえん

1 揺れる遊園地の立てなおし
・昭和11年、業務委託を導入し、新装のとしまえんはじまる
・飛行船や豆汽車が「スポーツランド」の中に
・学校に「ぜひ来てください」のお手紙でアピール
・当時は、野球、テニス、バスケット、バレーボールの会場を貸し出し、模擬店や弁当販売も行われていた
・武蔵野鉄道も大プッシュ。沿線案内図にしっかり描かれる園内の様子。

2 大きな宣伝も遊園地で
・映画のロケ地にも
・昭和13年の花火大会
・森永製菓の「母の日運動」とタイアップするとしまえん
・化粧品メーカーとタイアップするとしまえん

[Column]としまえんプール

3 ついに経営は武蔵野鉄道株式会社へ
・鉄道会社と遊園地の経営が融合した頃の園内マップ
・子どもたちが楽しいものを集めて、乗り物も「現代の遊園地」に近づいていく

[Column]ウォーターシュートのあゆみ

[Interview]ウォーターシュートの船頭を担当していた岡島三男さん

[Column]戦時下のとしまえん

第2章 戦後のとしまえん

①遊園地の最先端をいく

1 華やかさを取り戻して
・戦後のとしまえん。動物舎に描かれている動物たちは……?
・としまえん名物はウォーターシュートと飛行船!
・としまえんがモデル? 私たちが知っている現代の遊園地像に
・新聞へ寄せられた「ロバさんが重そうでかわいそう」
・修学旅行にアプローチ。宿泊施設を整えて。

2 戦後の花形ランドマーク
・空飛ぶ電車――日本初のモノレール
・大観覧車――12台のカラフルなゴンドラが回る
・ロープウェイ――18人乗りのロープウェイ
・インドアスキー場――雪の管理が大変だったとか!?
・ローラースケート場――スキー場は2年後……
・マンモス噴水――東洋一?のマンモス噴水

3 映画づくりから始まる昆虫館
・生きている昆虫をじっくりと

4 永遠の花形マシン──サイクロン
・トンネルくぐりは日本初!スタッフも担当になりたかったとか……

5 火花散るぶつかり合い──オート・スクーター
・自分で自由に運転できる喜びも

6 スリルを求める時代へ
・スタント・カー・ショー、人間大砲。スリルあふれるイベントを開催
・花火大会――38年間つづいた夏の風物詩
・そしてターゲットは子どもから若者へ

7 突進するゾウ、宙を舞うヒョウ──アドベンチャーゾーンアフリカ
・次から次へと襲いかかる動物たち

8 旅する夢のメリーゴーランド──カルーセルエルドラド
・百年の歴史を乗せて回る

[Column]エルドラドの歴史
・ドイツでのエルドラド
・アメリカに渡ったエルドラド
・ニューヨーク市民に愛されたエルドラド
・エルドラドが日本にやってきた
・2年にもわたる修復作業

9 飛び出す日本のおばけ──ミステリーゾーン&お化け屋敷
・名前や外観は西洋風だけど……
・みんなが愛したおばけたち

10 跳んだりぶらさがったり──フィールドアスレチック
・子どもの森の原点

[Collection]としまえんのチケット
・ファンチケット
・木馬の会チケット
・のりもの回数券
・ご招待回数券
・入場招待券
・昆虫館入園券&招待券

11 愛すべき絶叫マシンたち──コークスクリュー・シャトルループ・フライングパイレーツ・トップスピン
・コースターは2度まわる
・体にかかる重さはスペースシャトル打ち上げよりも大きい?
・スケールの大きさは負けません
・「トップスピン」前は悲鳴でいっぱい。人気で1台から2台へ。
[Column]フライングパイレーツの大きな船をどうやって動かしてるの?
・どんどん導入されゆくアトラクション
・昭和58(1983)年の人気の乗り物ベスト10

12 夏を独占する遊園地の誕生まで──としまえんプール
・流れるプール――本物の川で流されながら開発
・波のプール
・7つのプール完成――週刊誌風の広告で「駅のまん前」リゾートへ
・プールサイドリゾート
・キャッシュレスタグ
・ノーティックジェット

13 としまえんのハイドロポリスは〜♪
・高さはビルの7階?
[Column]ハイドロポリス裏話
・WHITE WATER WEST社
・「HYDRO POLIS(ハイドロポリス)」の名前の由来は?
・海外のスライダーも滑りに行って決めた「カナダの設計会社」

[Column]プール入場者数の記録

[Column]としまえん乗り物看板

[Collection]としまえんのピクトグラム

②新たな「としまえん」らしさへ

1 練馬区とみんなの遊園地
・成人の日のつどい――おめでたい日も一緒に。式典のあとにアトラクションを楽しんで。
・練馬農業祭
・アニメカーニバル――練馬で誕生したアニメも応援
・練馬まつり&ねりまEXPO――練馬まつり、産業見本市……。地域とともに進んでいく。
・練馬区花火フェスタ――70周年を祝う色とりどりの花火

[Column]としまえん街化構想
・バーデと天然温泉 豊島園庭の湯
・ユナイテッド・シネマとしまえん
・トイザらスとしまえん

2 すべての季節を園内で
・としまえん夜桜ウィーク――桜散る中でのアトラクション
・としまえん あじさい祭――園内を走る列車からあじさいを眺めて
・としまえん独自の花火大会も開催
・ナイトプール――きらびやかな夜のプール
・いろいろな夏のイベント
泡パーティー/ウォーターワークス/ミニサーカス/プロジェクションマッピング/恐ろし園/ビアガーデンライブ/ハイドロスターウォーターショー/ミストライド
・いろいろな季節のイベント
クリスマスコンサート/ハロウィーン装飾/キャラクターショー/ストライダーとしまえんカップ/キャラクターショー/本物の馬のメリーゴーランド/イベントトリックアート/クリスマスオブジェ
・緑のビアガーデン
・としまえん屋外アイススケートリンク
・キャンディイルミネーション/ラスベガスイルミネーション/7イルミネーションズ/マジカルイルミネーション/ウィンターファンタジア

3 子どもでもスリルを楽しみたい
・近くの子どもたちに楽しんでほしい
・ミニシリーズ──身長制限で悲しまないように──小さなアトラクションたち
・初めての遠足はとしまえんでした

[Column]としまえんの飲食施設

[Column]としまえん裏話
・緑を大切にしてきた「としまえん」
・乗り物に乗るのに待つ時間は何分が限度?
・トイレプロジェクト

第3章 としまえんの広告は面白い

1984〜2020(No.1〜47)
広告製作秘話 by内田弘

終章 閉園と思い出たち

1 ご来園ありがとうございました
・閉園までのカウントダウン
・長い歴史を持つ遊園地、最後のマップ
[Comment]宮内靖代氏(現西武リクリエーション株式会社)
・楽しい思い出をグッズに閉じこめて
[Column]としまえんのキャラクター
・「としまえんにはたくさんの”夢”がありました」
・新聞にも見開きで掲載された広告はとしまえんらしい最後の1枚
[Comment]博報堂 宮崎晋氏・後藤大氏・石井雄樹氏、内田弘氏
・最後のTシャツは全部で9色
・コロナ禍でチケットは事前購入制に
・展示会「94年の歴史展 としまえんの卒業アルバム」
・としまえん最後の日

2 としまえんの思い出たちは現在も
・西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)
・横浜・八景島シーパラダイス(神奈川県横浜市)
・八木山ベニーランド(宮城県仙台市)
・リナワールド(山形県上山市)
・那須高原りんどう湖ファミリー牧場(栃木県那須郡)

もっと知りたい「としまえん」

1 内田弘講演会 乗り物から振り返る「としまえん」

・「乗り物の遊園地」としまえん
・としまえんの歴史時代区分
・①創世期(大正15〈1926〉年〜昭和30〈1955〉年初期)
ウォーターシュート《昭和2(1927)年》
競泳プール(大プール)・婦人プール(小プール)《昭和4(1929)年》
空飛ぶ電車《昭和26(1951)年》
駐車場《昭和27(1952)年》
・②遊園地基盤施設建設期
(昭和30〈1955〉年初頭〜昭和40〈1965〉年代初頭)
観覧車《昭和31(1956)年》
ロープウェイ《昭和33(1958)年》
インドアスキー場《昭和33(1958)年》
マンモス噴水《昭和36(1961)年》
流れるプール《昭和40(1965)年》
サイクロン《昭和40(1965)年》
ラウンドアップ《昭和40(1965)年》
トラバント《昭和40(1965)年》
・③中型遊戯施設導入期
(昭和40〈1965〉年初頭〜昭和50〈1975〉年代初頭)
オットセイ《昭和41(1966)年》
ミステリーゾーン《昭和41(1966)年》
アフリカ館《昭和44(1969)年》
パラトルーパー《昭和44(1969)年》
ヘリコプター《昭和44(1969)年》
フリュームライド《昭和45(1970)年》
カリプソ《昭和45(1970)年》
スカイダイバー《昭和45(1970)年》
スイスボブス《昭和45(1970)年》
マッドマウス《昭和45(1970)年》
カルーセルエルドラド《昭和46(1971)年》
お化け屋敷《昭和47(1972)年》
西洋お化け館《昭和48(1973)年》
年間会員制度「木馬の会」発足《昭和52(1977)年》
ミラーハウス(初代)《昭和52(1977)年》
ダックス《昭和52(1977)年》
回転ボート《昭和52(1977)年》
・④スリルマシン全盛期
(昭和54〈1979〉年頃〜平成5〈1993〉年頃
ユーロ2006《昭和54(1979)年》
コークスクリュー《昭和54(1979)年》
フライングボッブ《昭和54(1979)年》
アストロライナーBIG《昭和54(1979)年》
ロックンロール《昭和54(1979)年》
サターン《昭和54(1979)年》
トロイカ《昭和54(1979)年》
シャトルループ《昭和55(1980)年》
スイングアラウンド《昭和55(1980)年》
パイレーツ《昭和55(1980)年》
エンタープライズ《昭和56(1981)年》
ミラーハウス(2代目)《昭和56(1981)年》
・入社してからの仕事
・アルミのゴミ箱
・ディズニー対策会議
・プール事業
レインボー《昭和58(1983)年》
フライングカーペット《昭和58(1983)年》
・「遊園地二層化構想」という夢
ブラワーエンジン《昭和58(1983)年》
インディアン《昭和59(1984)年》
テレコンバット《昭和58(1983)年》
フライングパイレーツ《昭和59(1984)年》
昭和61(1986)年のガイドマップ
ブレイクダンス《昭和62(1987)年》
フリッパー《昭和63(1988)年》
イーグル《平成2(1990)年》
マジック《平成2(1990)年》
ウェーブスインガー《平成3(1991)年》
トップスピン《平成3(1991)年》
メガダンス《平成5(1993)年》
トップスピンw《平成5(1993)年》
・⑤絶頂期から衰退期
(平成6〈1994〉年〜平成19〈2007〉年)
とし博開催《平成8(1996)年》
カーメリーゴーランド《平成7(1995)年》
フロッグホッパー《平成12(2000)年》
トイザらスとしまえん店《平成12(2000)年》
スカイトレイン《平成13(2001)年》
レディバード《平成13(2001)年》
ジャングルハウス《平成14(2002)年》
ミラーハウス(第3代目)《平成15(2003)年》
ロッキンタグ《平成17(2005)年》
アンパンマンハッピースカイ《平成19(2007)年》
・⑥遊園地の原点回帰
(平成20〈2008〉年〜平成よ27〈2015〉年)
ミニサイクロン《平成21(2009)年》
アニマルカップ《平成22(2010)年》
スナッピー《平成24(2012)年》
バタフライダー《平成25(2013)年》
・⑦新たな方向の模索期
(平成28〈2016〉年〜現在)
こどもの森《平成28(2016)年》
立体迷路トリックメイズ《平成28(2016)年》
チャレンジトレイン《平成29(2017)年》
アソブラボー《平成30(2018)年》
アーケードゲーム「カーニバルタウン」《平成31(2019)年》
としまえんファイナル《令和2(2020)年》

2 遊園地の歴史にみる豊島園の開園(小宮佐知子)
・遊園地とは
・日帰りの行楽地としての遊園地はこうして発展
・豊島園の開園

[付録]
「企画展 思い出のとしまえん」の記録
時代別園内Map
1926/1932頃/1942/1955/1971頃/1977頃/2000頃/2015頃

索引(乗りもの他)
著者略歴
練馬区立石神井公園ふるさと文化館(ネリマクリツシャクジイコウエンフルサトブンカカン nerimakuritsushakujiikouenfurusatobunkakan)
石神井公園ふるさと文化館は、練馬区の伝統文化を生かし、新たな地域文化を創造するため、観光振興にも寄与する博物館機能を有する生涯学習施設として、平成22〈2010〉年3月に開館しました。「江戸・東京の近郊のくらし」をテーマとした展示や、自然や歴史、伝統文化等についての講座・体験事業の実施、団体見学の受入、所蔵資料・図書の閲覧などを行っています。 https://www.neribun.or.jp/furusato.html
小宮 佐知子(コミヤ サチコ komiya sachiko)
中央大学大学院文学研究科博士前期課程修了。練馬区郷土資料室勤務を経て、2010年3月開館の練馬区立石神井公園ふるさと文化館の立ち上げに関わり、現在まで学芸員として勤務。特別展「夢の黄金郷 遊園地〜思い出のメリーゴーランド〜」、企画展「独立70周年-練馬区誕生への奇跡」、企画展「思い出のとしまえん」など、練馬区域に関するさまざまの展覧会を担当。
内田 弘(ウチダ ヒロシ uchida hiroshi)
1955年東京都生まれ。東京理科大学理工学部機械工学科卒業。大学卒業後、特種自動車関連メーカーに入社し、テレビ中継車、レントゲン車などの営業および設計に従事したが、1981年に縁があり株式会社豊島園に入社し、遊戯施設のメンテナンスと新規事業計画の企画業務を約20年間兼務した。その後、販売促進部部長、企画室室長、経営企画部部長などを歴任し、2020年8月31日事業運営部長として、としまえんの閉園を迎える。2020年10月1日、株式会社西武園ゆうえんちに社名変更が行われ、2021年5月19日にリニューアルされた西武園ゆうえんち運営支配人となり、現在は運営部部長。
小林 克(コバヤシ カツ kobayashi katsu)
1959年新潟県生まれ。専門は近世考古学、物質文化研究。博士(文学)。日本大学文理学部史学専攻課程修了。元練馬区立石神井公園ふるさと文化館館長、松蔭大学教授。江戸東京博物館学芸員として同館の常設展示を作成し、「掘り出された都市展」など多くの展覧会を担当。その後、小金井公園にある江戸東京たてもの園で園長を務める。日本大学芸術学部などの兼任講師を経て2018年〜2022年3月まで練馬区立石神井公園ふるさと文化館館長。著書に『新博物館学 これからの博物館経営』や『近世物質文化の考古学的研究 民具資料との対比から日蘭物質文化比較へ』など。
タイトルヨミ
カナ:オモイデノトシマエン
ローマ字:omoidenotoshimaen

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを使用しています。

-- 広告 -- AD --

【AD】
今、注目すべき第三書館の本
ザ・殺人術
人の殺し方を本にしていいのか

-- 広告 -- AD --

もうすぐ発売(1週間以内)

※近刊検索デルタの書誌情報はopenBDのAPIを利用しています。