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2022年8月30日発売

小鳥遊書房

出版社名ヨミ:タカナシショボウ

『荒地』を掘る

アメリカ紙からみる/『荒地』の時代Ⅱ
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内容紹介
『荒地』の場合、「読むこと」は
「発掘すること」に他ならない!
同時代のアメリカの新聞紙面から
「トロイ」「ジプシー」「チェス」「インド」などの言説を探りあて、
エリオットが『荒地』という「廃墟」を作り出し、
「批評家」、もしくは、読者が「シュリーマン」よろしく、
そのテクストを「発掘」し、「廃墟」の全貌を「復元」する。
目次
まえがき—本書見取り図
第Ⅰ部 〈アーケオロジカル・イマジネーション〉の世紀と『荒地』
プレリュード
 第一節 「トロイ・コンシャスネス」の時代
 第二節 同時代アメリカ紙にみる、「トロイのヘレネ」・コンシャスネス
 第三節 現代に再誕した「ヘレネ」①—マダム・ブラヴァツキー/マダム・イェール
 第四節 現代に再生したトロイのヘレネ②—「フラッパー」、そして、ヴィヴィアン

第一章 〈トロイ〉はいずこ?
 はじめに—問題の所在
  余白①・アメリカ紙にみる「謎々」言説
  余白②・アメリカ紙にみる「スフィンクス」言説
  余白③・「影/塵」言説
  余白④・「塵」のエピグラフの典拠について
—『サッダルマ・プンダリーカ』「第一三 安楽の住所」
  余白⑤・「影/塵」と「ゴッシク」—ハーンの「塵」
  余白⑥・『荒地』同時代の「ゴシック・ロマンス」言説
  余白⑦・ガーバー著『中世の伝説』における「アーサー王物語集成」について
  余白⑧・『荒地』に彷徨うテニスンの影
 第一節 『荒地』のテキストを発掘し、〈トロイ〉を探る
  余白⑨・「瓦礫」+「イノシシ」の例
  余白⑩・「イノシシの頭」をめぐる同時代アメリカ紙の記事
  余白⑪・「瓦礫に埋もれた」「インドのトロイ」の記事
  余白⑫・「トロイのヘレネ」のアメリカ版
  余白⑬・ブルータスと新トロイに言及した文学資料
  余白⑭・「ニュー・トロイ」から「ロンドン」へ
  余白⑮・「ロンドン・ストーン」—同時代アメリカ紙の記事
  余白⑯・「むさぼり喰うロクスト」言説
  余白⑰・「赤い岩」について
 第二節 「考古学的発掘」言説の時代—「考古学は一九世紀に発展した」

第二章 シュリーマン博士からの手紙/〈非現実の都市〉が現実に
 はじめに
 第一節 「トロイ」を示唆する記号群—「死者の埋葬」をめぐって
 第二節 トロイとスミルナの地理学 
 第三節 シュリーマン、逝く—同時代アメリカ紙によるシュリーマン賛辞
 第四節 “my ruins”は「わたしの崩壊」か?—大戦争の「廃墟」報道
 第五節 そして、もうひとつの「イリアス」物語—『トロイアの女たち』

第Ⅱ部 『荒地』と〈ジプシー〉言説の系譜
  —「Ⅱ ア・ゲーム・オヴ・チェス」を掘る

プレリュード—表層テキストに不在の記号〈ジプシー〉
  余白①・「Ⅱ チェス遊び」と『我らが共通の友』
  余白②・アメリカ紙で報じられるローレンス・アルマ=タデマと「クレオパトラ」表象
  余白③・アメリカ紙が告げる『アントニーとクレオパトラ』
  余白④・『クォ・ヴァディス』について
  余白⑤・「洗足式」言説 

第三章 『荒地』と、パウンドの詩集『ラストラ』所収の詩三作
     —「ザ・ジプシー」「ザ・ゲーム・オヴ・チェス」「メトロの駅で」
 はじめに
 第一節 パウンドの『』について
  余白⑥・「ロンドン・ブリッジを群集が流れていった」をめぐって①
—パウンド作「メトロの駅で」と『荒地』
  余白⑦・パウンド訳「能楽集」の「アッパリション」について
  余白⑧・同時代紙の「アパリション」/「マテリアライゼーション」言説
  余白⑨・パウンド=フェノロサ訳能「錦木」と『荒地』「Ⅰ 死者の埋葬」
  余白⑩・シング作『西の国のプレーボーイ』への抗議運動(プレーボーイ暴動)
  余白⑪・パウンドとイェイツが、ストーン・コテージでなしたこと—能ドラマ翻訳をめぐって
  余白⑫・エドワード・カーペンターについて
  余白⑬・「ロンドン・ブリッジを群集が流れていった」をめぐって②
        —「ロンドン・ブリッジ」/「ロンドン塔」爆破事件と『荒地』
  余白⑭・「クラーケンウェル監獄爆破事件」について
 第二節 「スコーガン」言説と「ジプシー+女占い師」言説
  余白⑮・つづき漫画「探偵ホークショー」
 第三節 「ジプシー/ボヘミアン」言説と「モダニズム」
  余白⑯・「センウセレト」関連の発掘

第四章 同時代アメリカ紙にみる「ジプシー」言説
 第一節 十九世紀後半の言説
  余白⑰・ジョージ・バロウとジプシー生活
 第二節 「ジプシー」言説—リーランドとジプシー学
  余白⑱・「ティンカー」をめぐる議論
  余白⑲・「アイルランド」と「ジプシー」
 第三節 「ジプシー」言説—その他もろもろ
 第四節 「ジプシー」言説—芸術とジプシー
  余白⑳・同時代の「エイプ」表象
    —「アイルランド人」表象における「エイプ」と「黒人」、そして「進化」の深層の「発掘」
  余白㉑・「ジプシー・パッション」の広告
  余白㉒・ジプシー音楽について
  余白㉓・ジプシーと誘拐
  余白㉔・「つかの間のショー」について
 第五節 「ジプシー」言説—ジプシーとアナーキズム
  余白㉕・劇『デイヴィッド・ハラム』と劇『ドイツ人ジプシー』
  余白㉖・欧米人の無意識を彷徨するジプシーたち
 第六節 「ジプシー」言説—ジプシーの終焉
  余白㉗・神聖ローマ帝国とジプシー迫害—「十八世紀のジプシー警戒標識」をめぐって
第Ⅲ部 〈国家〉と〈国語〉
第五章 〈チェス〉言説と〈アフロディーテ〉
 はじめに——題「イン・ザ・ケージ」から「ア・ゲーム・オヴ・チェス」へ
 第一節 「イン・ザ・ケージ」が連想させるもの
 第二節 「ア・ゲーム・オヴ・チェス」の出所
         —ミドルトン劇、シェイクスピア劇、そしてパウンド詩
  余白①・『ザ・テンペスト』の〈チェス〉言説と『荒地』
 第三節 同時代アメリカ紙の「チェス・ゲーム」言説
 第四節 映画に登場する〈チェス〉—「アフロディーテ」と「クレオパトラ」言説
  余白②・姉妹作『彼女の夫の友人』
 第五節 「独立国家」の成立とその「国語」制定問題—「ノルウェー語」と「アイルランド語」の場合
  余白③・「ラディノ語」をめぐって—同時代アメリカ紙より
 第六章 「民衆フランス語」とは何か?
         —ファクシミリー版『荒地』が提示する、国の再生と国語問題
 はじめに
 第一節 問題提起—『ファクシミリー版』での現場検証
  1 「ヒズ・ヴァイル・フレンチ」
  2 同時代アメリカ紙にみる「アボミナブル・フレンチ」
  3 同時代アメリカ紙にみる「アボミナブル・ラングウィッジ」(abominable language)
  4 同時代アメリカ紙にみる 「アボミナブル・グリーク」(abominable Greek)
  5 同時代アメリカ紙にみる「アボミナブル」と「ジュー」「蛇」の連鎖
 第二節 パウンドの関心の核をめぐって
          —「プロヴァンス語/オック語」と「トルバドゥール」の「歌」
 第三節 パウンドと「イマジズム」、そして同時代評
  余白④・「ムーサイオス」について
  余白⑤・コンプトン・マッケンジーの「シルヴィア・スカーレット」物
  余白⑥・『ピーター・ウィフル』の「エディス・デイル」をめぐって
 第四節 パウンドとプロヴァンス文学
  余白⑦・「ラブレー」が揶揄った「リムーザン」方言
 第五節 フランス語のたどった途—俗ラテン語からロマンス語へ、そしてオイル語/オック語へ
  余白⑧・アメリカ紙の「ミストラル」言説
 第六節 オイル語の支配言語化とオック語の没落史
 第七節 「アイルランド」の「独立」—イングランド語/アイルランド語(ゲール語)
 第八節 ロスミルナ(スマーナ)/イズミルと、ギリシャ語/トルコ語の攻防⑩ 
  余白⑨・「人工言語」について
  余白⑩・もうひとつの『イリアス』
    —『列柱廊の絵画』に出土する「トロイ」と「スミルナ」第Ⅳ部 〈サンスクリット〉の考古学
  余白⑪・『イリアス』の「エクフラシス」—「アキレスの盾」
  余白⑫・『荒地』のエクフラシス
第Ⅳ部 〈サンスクリット〉の考古学
第七章 「ガンガ」へと至る旅
 はじめに—「リエトゥヴァ」から「ガンガ」へ
  余白①・「ヘンリー・サヴィジ・ランドー」の探索旅行について
  余白②・アメリカ紙の英語「レイク・スターンバーグ」
 第一節 ヨーロッパの知の地平に登場した「サンスクリット語」、その衝撃とその余波
  余白③・もうひとつの「チェス」の詩
  余白④・ジョーンズ/サンスクリット/ジプシー
 第二節 インド(サンスクリット/パーリ語/ヒンディー/イングランド語)
  余白⑤・『ララ・ルーク』とペナント『ヒンドスタンの眺め』をめぐって
 第三節 聖なる川ガンジス
  余白⑥・「死者」のもうひとつの浄化—「カーンプルの大虐殺」
 第四節 ガンジス川の水源「ヒマラヤ山脈」へ
 第五節 地図の空白を埋める—スヴェン・ヘディン博士のチベット探索旅行
第八章 疑惑の旅行記とその「インド」言説—「贋作」暴露の時代
 はじめに—〈贋作〉の時代
 第一節 シェイクスピア贋作誌—アイアランドとカリア
  余白⑦・『ヴォーティガン』について
  余白⑧・贋作の時代
 第二節  マンデヴィル『旅行記』とその「インド」言説
  余白⑨・『旅行記』の「ガンジス」と「インド」表象
  余白⑩・贋作人魚フィーバー
 第三節 『聖書』の空白を埋める旅行記—「聖イッサ言行録」
 第四節 アメリカ同時代紙にみる、ノトヴィッチの受容・反駁経過
  余白⑪・比較宗教学的な読み—ルナン『イエス言行録(伝/の生涯)』
  余白⑫・同時代アメリカ紙における「サキャ=ムニ」
  余白⑬・『聖アントワーヌの誘惑』と『荒地』—「禁欲主義」
  余白⑭・二〇世紀初頭のティエポロ—同時代のアメリカ紙から
  余白⑮・「ルナン主義」の影のもとに—「イエス言行録」と「イッサ言行録」
  余白⑯・「ダッマロカ」について
 第五節 ノトヴィッチの援軍?
 第六節 「比較宗教学」言説—ノトヴィッチの典拠?
 第七節 チベットのパーリ語文献
 第八節 「人の息子」言説
  余白⑰・「人の息子」論議史とその問題点
 まとめ—「」シンドロームと、そこからの脱却

第九章 『荒地』形成過程と聖書正典・外典成立過程
 はじめに—『荒地』と同時代の「剽窃」意識
 第一節 同時代アメリカ紙にみる「剽窃」意識の変遷
 第二節 聖書と偽物・贋作・虚構—「正典」と「外典」の創出
  余白⑱・同時代アメリカ紙にみる「外典」言説
  余白⑲・「シラの息子イエスの知恵」について
 第三節 テキスト生成原理としての〈正典・外典〉化/〈伝説・伝承〉化/〈剽窃・贋作・虚構〉化

おわりに——謝辞と本書誕生「秘話」
   参考文献一覧
著者略歴
荒木 正純(アラキ マサズミ araki masazumi)
1946年生まれ。東京教育大学大学院博士課程中退。 東京教育大学文学部助手、静岡大学教養部講師、筑波大学人文社会学系統教授、白百合女子大学教授。 現在、筑波大学名誉教授。博士(文学)。 著書に『ホモ・テキステュアリス:二十世紀欧米文学理論の系譜』 (法政大学出版局)、『芥川龍之介と腸詰』(悠書館)、『「羅生門』と廃仏毀釈』(悠書館)、『『荒地』の時代:アメリカの同時代紙からみる』(小鳥遊書房)、訳書にキース・トマス『宗教と魔術の衰退』(法政大学出版局)、スティーヴン・グリーンブラット『驚異と占有』(みすず書房)、その他。
タイトルヨミ
カナ:アレチヲホル
ローマ字:arechiohoru

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