海鳴社 我が社の一冊 2017
- 人体 5億年の記憶
- 布施 英利
- 海鳴社
- 978-4-87525-330-3
出版社からのおすすめコメント
東京藝術大学で最初に解剖学を教えたのは、文豪・森鴎外ではなかったのか。ヨーロッパから帰ってきた鴎外が、芸術家たちにどんな「体の構造」を教えたのか。それが、絵画や彫刻にどうバックボーンとして役立ったのか。それにしてもそのほぼ100年後、伝説の解剖学者、三木成夫がやはり東京藝大でどのような講義をしたのか。全く分かっていなかった三木の講義内容が初めてその弟子である布施の筆によって姿を現した。これは、画期的なことと思う。三木の「人間の見方、心と体の見方」の全体像が姿を現し、その繊細さに触れることができる。人間の中に潜む、進化の「パンドラの箱」を開ける気分が味わえることは確実。内容紹介
「からだは1本の管である」
不世出の天才解剖学者、三木成夫の驚くべき「人間の見方」は、その弟子・布施の筆によって初めてその全体像が姿を現す。「人間の心や体の成り立ち」に関する三木の深い洞察力によって、私たちの体の見方・心の見方が180度変わりますこと、請け合い。
私たち人間のからだは、魚であった時代の名残をたくさん抱えている。たとえば、私たちの顔で表情をつくり、口を開いて声や言葉を発する筋肉も、魚だった時代の「えら」の筋肉が変化したものだ。水中で生活する魚類では、顔面に味覚を感じる細胞が集中したが、上陸に伴い、ヒトでは乾燥を避けて口の中の舌でのみ味覚を味わうようになった。
東京大学の医学部の学生が特別講義を聞いた後に、感動の余り拍手をしたという伝説の解剖学者、三木成夫の話術は、保母さんたちを相手にした一般講演でも笑いが絶えなかったという。そうした絶妙な語り口に、入学したばかりの大学生だった著者も強く惹かれていく。
養老孟司(解剖学者)推薦「ヒトの心と体が、5億年の歳月を経て成立したことを忘れるな。ヒトとは何か、それを知ったつもりでいる現代人の驕りへの警世の思想を三木成夫は持っていた。その三木の世界を理解するための必読の書である。著者の解説が素晴らしい」- http://www.kaimeisha.com/