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精神医療89号 精神科デイケアの行方

精神科デイケアの行方
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内容紹介
2015年7月24日に新聞で精神科デイナイトケアが大きく取り上げられる報道がなされた。「クリニック精神疾患患者“囲い込み”」「自立支援医療費目的か」「元患者証言:通院辞められず」などとセンセーショナルな見出しが並び、その後も各新聞やテレビで報道され、国会でも同問題が取り上げられた。新たな貧困ビジネスの闇の舞台としてDNCが取り上げられ、生活扶助・医療扶助・住宅扶助の適正化や、生活保護現場における自立支援のあり方や自立支援医療の見直し、診療報酬の見直し(精神科デイケア(以下DC)料、精神科DNC料の引き下げ)等に波及していった。DNCに通う長期利用者が増大により、厚生労働省においても自立支援医療・診療報酬の「見直し」が議論されてきていただけに、縮減の圧力は強まった。
 2015年末から、日本デイケア学会等による精神科DC減算反対運動が取り組まれたが、診療報酬改定(2016年4月)により精神科DCは減算された。「長期にわたって頻回にDCを利用する患者について、より自立した生活への移行を促す観点から算定要件の見直しを行う」という主旨であるが、漫然とDNCを実施している精神科医療機関側の是正を求め、DNCの治療内実を改めて問うている。
一方、今後のDNCの将来像を考えるうえで、精神医療全体の状況変化を視野に入れる必要がある。国の精神病床削減方針の具体化により、精神科病院は過剰ベッドのダウンサイジングを迫られ、自然淘汰が進行していく。スタッフもユーザーも地域移行が促され、CLが飽和状態に達した地域では自由競争原理も働いて、よりユーザー主体のサービスを提供するCLが生き残っていく。急速に自由市場化が進行する中で日中活動系障害福祉サービス事業所は増加する一方、今回の診療報酬減算によりDCは利用者数・箇所数ともに減少に転じた。ピアスタッフの配置とともに、医療ベースではないクラブハウスやリカバリーカレッジのような当事者主動の地域拠点施設が増加することが期待される。
 近年の変化では、日中活動系の障害福祉サービス分野への株式会社の参入は見逃せない。国保連データによると、就労移行支援、就労継続支援A型ともに既に全国3100カ所を超えており、報酬単価を比較しても、就労継続支援A型は423 ~ 589単位、DCが1日590 ~ 700点、就労移行支援は747単位と序列化している。就労移行支援同様のインセンティブがDCにも導入されることも予想される。これまで、DCは精神医療における脱施設化に寄与し、多くのユーザーが地域で生活することを可能にしてきたが、今後は、より明確な治療・リハビリテーション機能とエビデンスを求められている。
2018年の診療報酬・介護報酬・障害報酬のトリプル改定により、地域包括ケアシステム構想におけるDCや障害福祉サービスのポジションが決定づけられる。地域の諸機関と連携協働を図りつつ、DCのスタッフが自らのポジションをどのように語れるのかが問われている。順風満帆と思われていたDCの今後について、各地・各分野の実践家による特集号。
目次
[巻頭言]精神科デイケアはどこに向かうのか――診療報酬の減算化と障害福祉サービスとの競合・再編の中で(古屋龍太)
デイケアの課題と期待するもの――脆弱性に応答する責務(浅野弘毅)
精神科リハビリテーションとしてのリワークプログラム(五十嵐良雄+大木洋子)
精神科デイケア運営について私が知っている二、三の事柄(肥田裕久)
デイケアにおける“ケア”とは何か(山﨑勢津子)
リカバリーへの出立をサポートするデイケア(辻貴司)
重度認知症デイケアの現状と展望(高尾由美子)
多摩あおば病院とデイケア(生島直人)
一人ひとりがリカバリーしていくステップとなるデイケアを目指して――個々のためのグループ活動を創造・運営、アウトリーチでデイケアの入り口と出口を丁寧に(浜中利保)
精神科デイケアの行方(原敬造)

[コラム+連載+書評]
[視点―50]公認心理師法について(野島一彦)
[連載 異域の花咲くほとりに5] 妄想について(1)(菊池孝)
[連載 神経症への一視角2] 神経症から不安障害へ――疾患概念の転換に伴う偏見の意識化(2)(上野豪志)
[新連載]精神現象論の展開(1)(森山公夫)
[コラム]「看護未来塾」――命の危機に立ち向かう看護集団(阿保順子)
[書評]『供述をめぐる問題』(シリーズ 刑事司法を考える ①)浜田寿美男編[岩波書店刊](富田拓)
[書評]『現代精神医学を迷路に追い込んだ過剰診断――人生のあらゆる不幸に診断名をつけるDSMの罪』ジョエル・パリス著/村上雅昭訳[星和書店刊](波床将材)
[編集後記](近田真美子)

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