ラクダの跡 アラブ基層文化を求めて

堀内勝/著

ラクダの跡 アラブ基層文化を求めて
堀内勝/著
978-4-8074-1488-8
2015年1月
在庫あり
目次:
口絵
前書き 25
第1章 ラクダが支える 28
   —ラクダがつくったアラブ文化—
  1.ラクダは万能だった 28
  2.ラクダから生まれた言葉 30
  3.詩歌の韻律もラクダから 33
  4.乾燥地帯の食として 34
 コラム1—ラクダが支えたアラビアの人々の暮らし 36
第2章 ラクダを分ける 40
   —ラクダの名称とその分類—
  1.第一分類 体型(原種)別名称 42
  2.第二分類 地域別名称 43
  3.第三分類 成長段階別名称 44
  4.第四分類 年齢別名称 46
  5.第五分類 「孕みラクダ」の時期別名称 48
  6.第六分類 体毛色別名称 50
  7.第七分類 用途別名称 52
  8.第八分類 「駿足ラクダ」の名称 54
  9.第九分類 頭数別名称 56
 コラム2—瘤を制するものがラクダを制する 60
第3章 ラクダを用いる 64
   —都市と大型家畜—
  1.多面的考察 64
  2.家畜利用と時 65
  3.家畜の用途 67
  4.財としての家畜 75
 コラム3—家畜が基層文化を形成 ラクダと馬から見たアラブ 77
第4章 ラクダが座る 80
   —ラクダの胼胝(タコ)について—
  1.アラブの胼胝観 80
  2.ラクダの胼胝の部位と名称 82
  3.胼胝の病気 89
  4.胼胝の象徴化 91
  5.坐り胼胝 92
  6.詩に叙された胼胝 94
 コラム4—オマーンのラクダ文化 98
第5章 ラクダが連なる 104
   —ラクダの行列—
  1.「隊商」 105
  2.「趾間腺」のこと 109
  3.「胆のう」がないと・・・ 110
  4.先行するラクダ 111
  5.「ラクダの列」の進め方 113
  6.じゅずつなぎ 115
  7.じゅずつなぎ→ロープ綱 117
  8.何百、何千と行進すると 117
 コラム5—湾岸諸国に存続する「趣味のラクダ」 119
第6章 ラクダで旅する 124
   —旅は連れだちラクダに乗って—
  1.夜旅の存在 124
  2.旅人=道の息子 128
  3.一人旅は避ける 130
  4.徒歩でなく、動物に乗って 132
  5.旅団の組織化 134
  6.旅日和 136
  7.旅出の儀礼 140
  8.道中、宿泊、隊商宿 143
  9.旅の終わり 148
 コラム6—ラクダの諺四題 ラクダとラクダ追い スハイル(カノプス)星とラクダ 150
第7章 ラクダを追う 156
   —〈ラクダ追い〉のこと—
  1.ラクダ追いとは 156
  2.アッバール(巧みなラクダ追い) 158
  3.代表語ジャッマール(ラクダに関することを職とする者) 163
  4.ラッファーダ(ラクダを追い放つ者) 164
  5.ザーイド(ラクダを駆り出す者) 166
  6.シャッラール(ラクダを追い散らす者) 167
  7.ミンジャル(賢いラクダ追い) 169
  8.ムハッリジュ(ラクダを連れ出す者) 170
  9.アッカーム(ラクダにくくりつける者) 170
  10.ファッダード(大声を張り上げる者) 173
  11.ハーディー(歌いかける者) 174
  12.ティルフ(ラクダにまとわりつく者) 178
 コラム7—いたわり競わせるラクダ アラブ首長国連邦で見たレース
                 
外国からも参加者ジョッキーは子供 投資保護は困難に 181
第8章 ラクダを夢見る 185
   —ナーカ(雌ラクダ)の表象—
  1.夢の世界・夢の学問 185
  2.日常次元で展開される“夢世界”186
  3.雌ラクダの語のパラダイム 189
  4.雌ラクダと夢判断 195
 コラム8—アゲイル(AGEYL)遊牧民と定住民とをつなぐ集団 204
第9章
ラクダに貯まる 209
   —ラクダのミルクと乳房—
  はじめに 209
1.
胸と乳 210
2.
「豊かな胸」三段階 213
3.
目立たない胸 215
4.
ラクダの乳房・外観と内実 217
5.
家畜の乳房、そのパラダイム 218
6.
人間の「乳房」について 220
7.
[ガナム(ヒツジ、ヤギ)の乳房]について 222
8.
牛馬の乳房について 223
9.
ラクダの乳房について 225
10.
ラクダミルクのエネルギー量 227
11.
乳止め乳房、干枯れ乳房 229
12.
乳首とミルク 230
13.
乳首の使い分け 232
14.
乳口、乳腺とミルク 234
 コラム9—ラクダの搾乳異聞 240
第10章 ラクダを飲む 247
   —アラブ世界のラクダ乳文化—
  1.アラブの乳用家畜種 247
  2.家畜種による乳の使い分け 249
  3.ラクダの乳 252
  4.朝夕の搾乳 256
  5.フワーク(搾乳休止間隔)のこと 260
  6.酸乳—ヨーグルト 263
  7.ラクダバター—ジュバーブ 268
  8.ラクダチーズ—アキト 274
 コラム10—ラクダの“パン”と“肉” 280
第11章 ラクダが食べる 284
   —ラクダの反芻および反芻胃—
  1.反芻胃動物について 284
  2.反芻胃=複数胃の分析について 299
  3.胃袋利用の料理 314
 コラム11—ラクダのワダク(油脂) 325
第12章 ラクダを食べる 329
   —ラクダの屠殺・解体・肉利用—
  1.肉用ラクダ 329
  2.ラクダの屠殺・解体 331
  3.屠殺人、解体人 334
  4.皮はぎについて 338
  5.ラクダ肉の組成 349
  6.ラクダ肉料理 353
  7.美味なラクダ肉 355
  8.肉汁料理 362
  9.ラクダの焼き肉 364
  10.「ラクダの干し肉」 369
  11.ラクダ肉奢り競争 371
  12.食事療法、肉の俗信 375
 コラム12—アラブ首長国連邦のラクダレース
       入賞駝の勲章「サフラン」ラクダ 378
第13章 ラクダが律する 384
   —アラブのリズム観 遊牧生活からの発想—
  1.はじめに 384
  2.アラブの韻律学 387
  3.〈毛〉と〈詩〉 394
  4.ラクダのリズム感覚 400
  5.ラクダの歩行と律格単位 408
  6.おわりに 419
 コラム13—ラクダを観賞する
       1.古代シリア文明展のラクダ二題 2.ラクダの置物 422.
第14章 ラクダが振り、舞う 430
   —アラブ世界の動物層と音楽要素—
 はじめに 430
  1.家畜の序列・構造化から遊牧民の序列・構造化へ 432
  2.放牧のかけ声から踊りのかけ声へ 434
  3.ラクダ踊りの周辺 438
  4.ザグラダ(歓喜の奇声)とシクシカ(ラクダののど袋)447
 おわりに 454
 コラム14—ラクダレースにアラブ民族の心 457
第15章 ラクダが調べる 460
   —動物の走りとリズム性 アラブ世界の言語構造と文化的背景—
 はじめに 460
  1.動物による〈走り〉の分節 463
  2.人間の歩様の特徴 469
  3.馬の走りと水との相関 474
  4.駝名のリズム 480
 おわりに 488
 コラム15—思い知らされた“砂漠民”の生き甲斐 493
第16章 ラクダが走る 497
   —ラクダの走行・歩態について—
  1.〈走る〉ことの機能 497
  2.歩態について 500
  3.三段階分類 501
  4.四段階分類 505
  5.九段階分類(1) 510
  6.九段階分類(2) 516
  7.十一段階分類 519
  8.その他歩態に関する用語 522
 コラム16—神聖ラクダのディフカ(蹄跡) 523
第17章 ラクダが競う 527
   —競駝のスピード—
  1.駿駝の伝統 527
  2.ラクダの歩みと乗り方の慣行 529
  3.走るラクダのスピード 531
  4.1〜10kmまでの速度 533
 コラム17—ラクダのダーウードの悲劇 540
第18章 ラクダに名付ける 544
   —競駝の貴種名を中心に—
 はじめに 544
  1.名駝タッヤーラ 545
  2.フッル(貴種)について 547
  3.貴種の名称分析 548
 おわりに 558
 コラム18—キリスト教聖人とラクダ ラクダを神使とする聖ミーナー 560
第19章 ラクダが沸かせる 571
   —UAE(アブダビ及びドバイ)の競駝場—
  1.ドバイ競駝場 572
  2.スワイハーン競駝場 576
  3.アブダビ競駝場 579
  4.アル・アイン競駝場 580
  5.マズヤド競駝場 583
  6.マラーカト競駝場 583
  7.ワガン競駝場 585
 コラム19—イスラムの天国とラクダ
第20章 ラクダを換える 594
   —ラクダの貸し借り 交換、売買、泥棒—
  1.ラクダの貸し借り 594
  2.ラクダの交換・売買 600
  3.ラクダの収容 607
  4.ラクダ囲いの糞処理 609
  5.ラクダ泥棒 611
 コラム20—説話:ラクダの証言 614
第21章 ラクダを捧げる 622
   —イスラムの犠牲祭と供犠獣—
  1.イスラムの犠牲祭の謂れ及び歴史 622
  2.犠牲獣 636
  3.
供犠 642
 コラム21—狩猟・農牧文化のアラブ世界の地平 653
引用参照文献 664
初出一覧 667
後書き 670
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