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2023年10月26日発売

コロナ社

出版社名ヨミ:コロナシャ

異種接合材の設計のための破壊力学

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内容紹介
【書籍の特徴】異種材料接合材の強度や応力集中に関して,従来から多くの研究がなされているものの,穴や切欠きなどの欠陥に比べて利用できる書物は少ない.前著『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社,2017年)では,介在物による応力集中や,介在物が周期的に配列する場合の平均的な弾性係数を材料力学的観点から説明した.き裂状の欠陥では応力は無限大となるので,応力拡大係数SIFを用いる破壊力学で,はじめて定量的な強度評価が可能となる.一方で,均質材料中のき裂のSIFと,異種接合材中の界面き裂のSIFとは,類似点も多いが種々の違いがある.本書では,まず,無限板や半無限板の基本的問題に関して,均質材料中のき裂と,異種接合材の界面き裂の違いを詳しく説明している.例えば,異種接合材では,弾性係数の違いから,き裂が無い場合でも界面端部に特異応力場が生じる.よって,このようなき裂の無い場合の接合端部の特異応力場強さISSFも,同時に考える必要がある.縁界面き裂のSIFは,き裂の無い場合のISSFの影響を強く受けるので,通常のSIFの表示では無限大となり使用できない.本書ではこのような,縁界面き裂の2重特異性を考慮した,新しい表現を与えている.これは,き裂先端で無限大となる特異応力σ_y→∞の代わりに,有限値であるSIFで,き裂の特異応力場を表すこととよく似ている。この解の応用例として,仮想き裂法による強度評価事例を紹介し,熱応力のような実務的問題へと展開した. 【各章について】第1章では異種接合材の概略を説明し,第2,3章では,2種類の材料から成るAB型異種接合材の2次元き裂問題(板状問題)を解説した.第4章では,均質材(A型)の立体と板材を考えて,3次元き裂問題と2次元き裂問題を比較して議論し,第5章で,3次元異種接合材(AB型)の界面および界面近傍に存在するき裂の問題を解説した.第6章では,ABA型およびABC型接合材のISSFによる強度評価法を解説した.第7章では仮想き裂法による強度評価法と熱応力問題の考え方を解説した. 【読者へのメッセージ】種々の異種接合材の組み合わせがあるが,本書では多くの問題に対して必要な表現が得られるように,図表を作成した.き裂の無い場合のISSFによって,JISで規定される試験片の接着強度がISSF=一定で表現できることを示した.基本的な突合せ継手から,単純重ね合わせ継手,二重重ね合わせ継手へと順次展開し,その有用性を説明した.また,接着材と被着材の組合せ構造の表記としてAB型やABA型などと表記を工夫して読者の理解の便を図るように努めた.可能な限り最新の研究成果を盛り込むことで,異種材料接合技術を課題とする企業での開発者・研究者にとっても指針となるように配慮した。本書を手にした読者がそれぞれの業務課題である軽量化技術などについて有益なヒントを得られることを著者一同願うものである。
目次
第1章 異種接合材の設計と本書の特徴
1.1 異種接合材の特徴
1.1.1 異種接合材の歴史と用途
1.1.2 異種接合材の種類と応用
1.1.3 異種接合材,複合材料の力学的な特徴
1.2 異種接合材の分類と呼称
1.3 通常のき裂の応力拡大係数SIFと界面き裂の応力拡大係数SIFの違いについて
1.4 特異応力場の強さに注目した異種接合材の強度評価
1.4.1 ISSF法による異種接合材の強度評価
1.4.2 仮想き裂法による異種接合材の強度評価
1.4.3 実際の界面き裂を有する異種接合材の強度評価
第2章 異種接合無限板と異種接合有限板(AB型)中の内部界面き裂の応力拡大係数
2.1 異種接合無限板中の内部界面き裂[内圧]
2.2 異種接合無限板中の内部界面き裂[界面に垂直方向の引張り]
2.3 異種接合無限板中の内部界面き裂[界面に平行方向の引張り]
2.4 異種接合有限板中の内部界面き裂[引張り]
2.4.1 引張りを受ける均質材の有限板の中央き裂の問題
2.4.2 異種接合有限板中の中央界面き裂の応力拡大係数の例
2.4.3 任意材料組合せにおける異種接合有限板中央界面き裂の応力拡大係数
第3章 異種接合半無限板と異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数
3.1 縁界面き裂モデルと内部界面き裂モデルとの比較
3.2 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の二重特異応力場について
3.3 き裂のない異種接合板(AB型)端部の特異応力場の強さについて
3.4 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数[引張り]
3.5 異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂と均質有限板の縁き裂との比較[引張り]
3.6 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数[面内曲げ]
3.7 異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂と均質有限板の縁き裂との比較[面内曲げ]
第4章 均質材(A型)の3次元き裂の応力拡大係数
4.1 無限体(A型)のモードI型だ円形き裂および長方形き裂の応力拡大係数[引張り]
4.2 無限体(A型)の傾斜した長方形き裂の応力拡大係数[引張り]
4.3 半無限体(A型)のモードⅠ型表面き裂の応力拡大係数[引張り]
4.4 半無限体(A型)の表面に垂直な表面き裂の応力拡大係数[せん断]
4.5 半無限体(A型)の傾斜した半だ円形表面き裂の応力拡大係数[引張り]
4.5.1 引張応力を受ける半無限体表面の傾斜表面き裂問題
4.5.2 モードⅠ,Ⅱ,Ⅲ型応力拡大係数のき裂前縁沿いの分布
4.6 半無限体(A型)の傾斜した表面き裂の応力拡大係数[圧縮]
4.6.1 遠方で圧縮荷重を受ける半無限体における傾斜した半だ円形表面き裂の問題
4.6.2 モードII型応力拡大係数KIIの特性
4.6.3 モードIII型応力拡大係数KIIIおよびKIIとの比較
4.7 半無限体(A型)の傾斜した表面き裂の応力拡大係数[転がり接触]
4.7.1 転がり接触荷重を受ける表面層の破壊問題
4.7.2 Hertz接触圧力を受ける半円形表面き裂のモデル
4.7.3 接触荷重を受ける傾斜表面き裂の応力拡大係数
第5章 異種接合材(AB型)界面および界面近傍の3次元き裂の応力拡大係数
5.1 異種接合無限体(AB型)のだ円形界面き裂[引張り]
5.2 傾斜機能材(AB型)のだ円形き裂[引張り]
5.3 異種接合無限体(AB型)界面に平行なだ円形き裂[引張り]
5.3.1 異種接合界面に平行なだ円き裂の無次元化応力拡大係数
5.3.2 剛性比E1,E2が広汎に異なる異材界面に平行で,形状が広汎に異なるき裂の応力拡大係数の近似的解法
5.4 異種接合無限体(AB型)界面に垂直なだ円形き裂[引張り]
5.4.1 異種接合界面に垂直なだ円き裂に対する無次元化応力拡大係数
5.4.2 異種接合界面に垂直なだ円形き裂に対して接合材の剛性比と界面からの距離が異なる場合の応力拡大係数
5.5 異種接合無限体(AB型)界面に斜めなだ円形き裂[引張り]
5.5.1 異種接合界面に斜めなだ円き裂に対する無次元化応力拡大係数
5.5.2 過去の研究結果との比較
5.5.3 異種接合界面近傍の傾斜だ円き裂の応力拡大係数
5.6 異種接合無限体(AB型)界面に垂直に接する長方形き裂[引張り]
5.6.1 界面き裂の引張問題での注意点
5.6.2 界面に垂直に接する長方形き裂の無次元化応力拡大係数
5.6.3 2次元き裂問題との比較
5.6.4 無限体中の長方形き裂と半無限体表面の長方形縁き裂との比較
5.6.5 異種接合界面に垂直に接する長方形き裂のareaパラメータによる応力拡大係数
第6章 異種接合材の強度評価のための特異応力場の強さISSF
6.1 異種接合板(ABA型)および異種接合円柱(ABA型)の接着層厚さ全範囲における特異応力場の強さISSF
6.2 異種接合板(ABA型)および異種接合柱(ABA型)の接着強度の簡便な評価法
6.2.1 異種接合板(ABA型)における接着強度
6.2.2 異種接合柱(ABA型)接着強度の2次元モデルによる評価の妥当性
6.3 重ね合わせ継手(ABA型)における特異応力場ISSF
6.3.1 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)と二重重ね合わせ継手DLJ(ABA型)の実験結果の矛盾点
6.3.2 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)の接着面の曲げ変形がISSFに与える影響
6.3.3 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)と二重重ね合わせ継手DLJ(ABA型)が同一強度を得られる条件
6.3.4 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)における接着強度
第7章 異種接合材の仮想き裂法による強度評価
7.1 異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価
7.1.1 異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価の有用性
7.1.2 仮想界面き裂の応力拡大係数の表示
7.1.3 仮想き裂法による異種接合材(ABA型)の強度評価
7.2 熱応力が生じた異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価
7.2.1 熱応力により生じる界面端部特異応力場
7.2.2 熱応力問題の縁界面き裂の重ね合わせによる解析法(AB型)
7.2.3 熱応力問題の縁界面き裂の応力拡大係数(ABA型)
7.2.4 熱応力が生じた異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価法
7.3 異種接合材(ABC型)の仮想き裂による強度評価
7.3.1 界面端部特異応力場に与える材料組合せの影響
7.3.2 界面き裂の応力拡大係数SIFと界面端部特異応力場ISSFとの関係
7.3.3 仮想き裂による異種接合材(ABC型)の強度評価
付録種々のき裂に対する応力拡大係数SIFおよび特異場の強さISSFの資料
引用・参考文献
おわりに
索引
著者略歴
野田 尚昭(ノダ ナオアキ noda naoaki)
小田 和広(オダ カズヒロ oda kazuhiro)
高瀬 康(タカセ ヤスシ takase yasushi)
堀田 源治(ホッタ ゲンジ hotta genji)
タイトルヨミ
カナ:イシュセツゴウザイノセッケイノタメノハカイリキガク
ローマ字:ishusetsugouzainosekkeinotamenohakairikigaku

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