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2024年2月8日発売

筑摩書房

出版社名ヨミ:チクマショボウ

「叱らない」が子どもを苦しめる

ちくまプリマー新書
ちくまプリマー新書
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内容紹介
叱られないのに、学校がつらい
「叱らない」教育に現役スクールカウンセラーが警鐘を鳴らす一冊。なぜ不登校やいじめなどの問題は絶えないのか。叱ること、押し返すことの意義を取り戻す。

現在、不登校状態の子どもは小中学校合わせて約三〇万人。これまでは「無理させず休ませる」支援が主流でしたが、それだけでは改善しない事例が増えてきていると、現役のスクールカウンセラーが警鐘を鳴らします。

*本文より一部抜粋*
カウンセリングで多くの家庭を見る中で「褒めて伸ばしている」つもりが、いつの間にか「子どもの問題を指摘しない」「ネガティブなところを示さない」という形に変質してしまっていることがあります。本来、「褒めて伸ばす」とは、「ネガティブな面は見せない」ということではないはずです。ポジティブなところだけを伝えて褒めるのに、ネガティブなところを無かったかのように振る舞うということは、子どもを根っこの部分では弱い存在だと見なしているのです。
目次
はじめに

第1章 子どもの不適応が変わってきた現代
1 不登校の歴史を振り返る
まだ説明可能だった不登校/説明ができない不登校の出現/不登校の多様化・あいまい化/不登校はどんな子どもにも起こるが……
2 「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」はなぜ効果的なのか?
不登校の子どもたちは強い登校圧力にさらされてきた/「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」という方針について/「学校には行くべき」と反する気持ちを抑え込む子どもたち/抑え込んだ気持ちが悪さをする/「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」という方針の有効性/「学校には行くべき」という価値観の意義とその変化/意味がないというわけではないけれど……
3 従来のアプローチでは改善しない事例の出現
従来の不登校支援において大切なこと/従来のアプローチでは改善しない不登校の出現/本書で目指すこと
コラム 不登校はなぜ増えているのか?

第2章 成長に不可欠な「世界からの押し返し」
1 思い通りにならないことに耐えられない子どもたち
「思い通りにならない場面」への強烈な拒否感/「思い通りにならないことを受け容れる」ために必要な経験/不快感を関係性の中で納めていくこと/「世界からの押し返し」が少ない子どもは不適応になりやすい
2 「世界からの押し返し」になっていない大人の関わり
「世界からの押し返し」を外注する/子どもの現実を「加工」する/子どもの環境を「操作」する/不快感から目を逸らすための「仲良し」/「押し返し」ができない教師
3 ネガティブな自分を受け容れられない子どもたち
私に「?」を付けないで!/不登校の主因になり得る「ネガティブな自分を認められない」という特徴/学びの前提は「未熟であることへの不全感」/子どもたちが抱く「万能的な自己イメージ」/こころの奥底にある自信の無さ
4 学校で見られる具体的な不適応パターン
環境に対して過剰に適応しようとする/他の子どもが叱られているのが怖くて学校に行けない/他者を低く価値づける傾向と絶え間ない自己否定/苦しい状況を「操作」する/子どもの問題を抱えられない親の反応
コラム 反抗期って必要?

第3章子どもの「不快」を回避する社会
1 何が子どもたちの不適応を生み出しているのか?
本書で「自己愛」という表現を用いない理由/従来の仮説との相違点について/社会背景が子どもたちの不適応を生み出している可能性
2 子どもを不快にできない社会
学校が変わることの意味/「要らない不快」と「成長のための不快」/「褒めて伸ばす」が変質してしまっている/「やりたいこと」と「できること」/社会の風潮が学校や家庭に降りてきている
3 外界と調和することへの拒否感
「なまはげ」が教えてくれる大切なこと/「外界と調和するつもりがない」というマインド/個性とは他者との関係の中で滲み出るもの/only one とoneof them
4 外罰的な風潮の影響
「恥ずかしい」から「怖い」への推移/他責的なスタイルで生きていくリスク/「自由」と「責任」の連動性を学ぶこと
コラム それって誰の問題?

第4章 子どもが「ネガティブな自分」を受け容れていくために
1 「ネガティブな自分」を受け容れる
支援の目標を考える/「ネガティブな自分」と向き合う/「ネガティブな自分」に向き合わせるための要点/向き合わせることが効果的なのは期間限定である
2 親子関係をもとにしたアプローチ
親子関係から始めねばならないが、母屋を壊してはならない/子どもの状態像に対する親の価値観を確かめる/親が子どもの心理的課題を「正しく認識する」ことの価値/支えとしての「甘え」/「甘え」と「甘えではないもの」の弁別が絶対に必要/支えとしての「安全な対話」
3 本人との「付き合い方」
カウンセリングに来ることの意義/カウンセリングでの本人との「付き合い方」
4 学校との関係がこじれやすい家庭への対応
どんな事例を想定しているのか?/学校とのやり取りで見える特徴的なパターン/学校での対応/経過や予後について
コラム You Message とI Message

第5章 予防のための落穂拾い
1 その他の不適応との関係
従来の不登校/ゲームにのめり込む/発達障害との弁別/身体症状との関わり
2 支援の落とし穴と予防について
見逃しやすい落とし穴/家庭でできる予防の例/学校でできる予防の例
3 最後に大切なことを
子どもたちに関わる大人たち/「誰が支援を行うのか」という視点
コラム スクールカウンセラーは何をしている?

おわりに

引用文献・参考文献
著者略歴
藪下 遊(ヤブシタ ユウ yabushita yuu)
藪下 遊(やぶした・ゆう):1982年生まれ。仁愛大学大学院人間学研究科修了。東亜大学大学院総合学術研究科中退。博士(臨床心理学)。仁愛大学人間学部助手、東亜大学大学院人間学研究科准教授等を経て、現在は福井県スクールカウンセラーおよび石川県スクールカウンセラー、各市でのいじめ第三者委員会等を務める。
髙坂 康雅(コウサカ ヤスマサ kousaka yasumasa)
髙坂 康雅(こうさか・やすまさ):1977年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科心理学専攻修了。現在は和光大学現代人間学部教授。主な著書に『恋愛心理学特論――恋愛する青年/しない青年の読み解き方』(福村出版)『深掘り!関係行政論 教育分野 (:を空白に変更しました)公認心理師必携』(北大路書房)『公認心理試験対策総ざらい 実力はかる5肢選択問題360』(福村出版)『本番さながら!公認心理師試験予想問題 厳選200』(メディカ出版)等がある。
タイトルヨミ
カナ:シカラナイガコドモヲクルシメル
ローマ字:shikaranaigakodomookurushimeru

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