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2024年2月15日発売

法政大学出版局

出版社名ヨミ:ホウセイダイガクシュッパンキョク

普遍主義の可能性/不可能性

分断の時代をサバイブするために
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内容紹介
文化や言語、人種や性の多様性・特殊性が尊重されるべきグローバル世界のなかで、いま「普遍主義」はどのように可能なのか。西洋中心主義的・植民地主義的な価値の押しつけではなく、排他的なナショナリズムによる反西洋・反合理主義でもなく、新自由主義に回収されてしまうポストモダンでもない、真に平等なコスモポリタニズムの可能性を問う共同研究論集。分断を超える理論と実践のために。
目次
まえがき  【有賀 誠】

第1部 グローバル化のなかの普遍主義

第1章 「帝国」の普遍主義とコスモポリスの普遍主義──対話するコスモポリタニズムの可能性 【伊藤恭彦】

はじめに──グローバルな正義とコスモポリタニズムの挫折?
1 コスモポリタニズムの社会的背景
2 対話的コスモポリタンの可能性
おわりに──コスモポリティクス

第2章 正義の探求にあたってコスモポリタニズムはもう不要なのか? 【上原賢司】

はじめに──今の時代におけるコスモポリタニズム
1 「コスモポリタニズム」をつかまえる──いくつかの分類と評価
2 私たちは「誰しもコスモポリタン」である?──コスモポリタニズム不要論の含意
3 コスモポリタニズムとグローバルな政治共同体──新たなコスモポリタニズムの可能性
おわりに──私たちは「誰しもコスモポリタン」ではない!

第3章 グローバル化は「進歩」「時代の趨勢」だと言えるのか──新自由主義的な通俗的歴史観を疑う【施 光恒】

はじめに──今なお進む「グローバル化」「英語化」
1 「グローバル化史観」と「進歩」のイメージ
2 近代社会の成立の条件としての翻訳の意義
3 現在のグローバル化は「退歩」の側面を持つのでは?
4 「近代主義」のネイション論への疑念
5 多元的世界の必要性
6 「国際化」ビジョンという代替案
おわりに

第4章 パトリオティックな配慮とその限界──国際社会における消極的/積極的義務 【松元雅和】

はじめに
1 国際社会の四つの義務
2 選好テーゼ
3 同等テーゼ
4 優先テーゼ
おわりに

第2部 西洋/反西洋の思想と普遍主義

第5章 マルクスにおける普遍と特殊 【田上孝一】

はじめに
1 階級闘争の真実
2 普遍的解放を目指すヒューマニズム
3 普遍的解放の主体としてのプロレタリアート
4 私的所有否定の真意
5 普遍的価値としてのヒューマニズム
6 マルクスによる真正社会主義批判の真意
7 特殊主義の創始者としての後期エンゲルス
おわりに

第6章 共和主義と普遍主義──シティズンシップの領域性の再検討 【中村隆志】

はじめに
1 共和主義的シティズンシップ
2 多元的社会における市民的徳
3 政治的統合の特殊性と普遍性
おわりに

第7章 「ヴァナキュラーな価値」の普遍的帰結の可能性、そして現代的課題 【松山聡史】

はじめに
1 「普遍的なもの」の西洋的なあり方──制度化された「普遍的なもの」
2 ヴァナキュラーな価値──「制度化された価値」の根本的な対義語
3 「普遍的なもの」のもう一つのあり方──制度化されていない「普遍的なもの」
おわりに

第3部 東洋・日本の思想と普遍主義

第8章 現代コミュニタリアニズムの普遍性──西洋の普遍主義と東洋の普遍主義 【菊池理夫】

はじめに
1 現代コミュニタリアニズムは特殊主義なのか?
2 英米の自由主義と「自由な帝国」
3 西洋帝国主義とアジア主義の普遍主義
おわりに

第9章 反普遍主義の政治──ハイデガーと京都学派の場合 【轟 孝夫】

はじめに
1 ハイデガーの反普遍主義
2 京都学派の反普遍主義
3 反普遍主義の可能性
おわりに

第4部 ポストモダン以降の政治と法における普遍主義

第10章 アイデンティティ政治のパラドクス──普遍性はどのように回復されるべきか 【有賀 誠】

はじめに
1 アイデンティティ政治の興隆とその問題
2 リベラルの処方箋とその問題点──A・センとW・ブラウン
3 普遍主義の回復──A・バディウと出来事
4 普遍的なものはどこに見出されるのか──S・ジジェクの「ポスト政治」批判
5 出来事を見出すのは誰か
おわりに

第11章 I・M・ヤングにおける「普遍主義」──「構造」をめぐる議論を「経験」へと開くこと 【大場優志】

はじめに
1 「普遍性」に対するヤングの立場
2 「普遍性」をめぐる疑問
3 「経験」に基づいて「構造」を論じるなかでの「普遍性」
4 ヤングにおける「普遍主義」の現代的意義
おわりに──依然として残されている研究課題

第12章 法の普遍性への不信──批判法学とその後続者たちに見る信仰喪失の諸相 【見崎史拓】

はじめに
1 批判法学──法の普遍性に対する信仰とその喪失
2 信仰喪失の普遍化可能性
3 多様な信仰喪失──批判法学的な信仰喪失との距離
4 信仰喪失の先に──再び普遍性へ?
5 それでも不信を貫くならば
おわりに

あとがき  【田上孝一】
索引
著者略歴
有賀 誠(アリガ マコト ariga makoto)
有賀 誠(アリガ マコト)[第10章] 1960年生。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。防衛大学校人文社会科学群公共政策学科教授。主要業績:『ユートピアのアクチュアリティ』(共編著、晃洋書房、2022年)、『徳と政治』(共編著、晃洋書房、2019年)、『臨界点の政治学』(晃洋書房、2018年)。
田上 孝一(タガミ コウイチ tagami kouichi)
田上 孝一(タガミ コウイチ)[第5章] 1967年生。社会主義理論学会事務局長・立正大学人文科学研究所研究員。哲学・倫理学専攻。博士(文学)。主要業績:『はじめての動物倫理学』(集英社新書、2021年)、『マルクスの名言力』(晶文社、2023年)、『原子論の可能性』(共編著、法政大学出版局、2018年)。
松元 雅和(マツモト マサカズ matsumoto masakazu)
松元 雅和(マツモト マサカズ)[第4章] 1978年生。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。日本大学法学部教授。主要業績:『公共の利益とは何か──公と私をつなぐ政治学』(日本経済評論社、2021年)、『人口問題の正義論』(共編著、世界思想社、2019年)、『正義論』(共著、法律文化社、2019年)。
タイトルヨミ
カナ:フヘンシュギノカノウセイ フカノウセイ
ローマ字:fuhenshuginokanousei fukanousei

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