近刊検索 デルタ

12月23日発売予定

山川出版社

1187年 巨大信仰圏の出現

歴史の転換期
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内容紹介
キリスト教圏・イスラーム圏・東アジア圏において成立した普遍性をもつ圏域世界は、12世紀にむかい、さらなる膨張を進めながら、信仰を基盤とする統治の体系(政治社会)として成熟していきます。ローマ帝国の崩壊過程のなかから、アッバース朝を軸とするイスラーム世界の辺境に出現したフランク王国は、ガリア・ゲルマニア・イタリア地域を統合するキリスト教国家のモデルを創出し、ローマ帝国の後継国家という名義を頂くことを通じて、普遍性を継承することにも成功しました。カール大帝という人格において統合されるフランク王国=ローマ帝国という二元国家は、在地の統治機構として成熟を遂げつつ、君主家門を核とする君主国へと成長していきます。徴税と動員のシステムとしての君主国の中核には、裁治権と司牧の体系として社会の末端にまで浸透を始めた教皇権が束ねる信仰世界が広がります。

一方で、イスラーム圏では、アッバース朝における権力闘争を契機に政治的分裂が進み、地域ブロックごとに地方政権が自立し、ファーティマ朝(シーア派:909-1171)、後ウマイヤ朝(756-1031)がカリフを自称した結果、3カリフの鼎立が生じました。こうしたバグダードの混乱のなか、11世紀に入るとセルジューク朝(1038-1194)がバグダードを押さえ、スルタンの称号のもとに武断的な統治を推し進め、広域統治を実現する。強力なカリフ権力のもとでのスンナ派による広域統治は破綻し、地域分権のもとに諸権力が覇を競うなかで、次世代の統治システムが模索された時代が、11・12世紀の中東地域です。

1096年に始まる十字軍は狂信的な信仰イデオロギーに端を発する宗教運動として始まりましたが、1099年のイェルサレム攻略とイェルサレム王国をはじめとする十字軍国家のラテン・シリアにおける建国は、成熟した2つの信仰圏が日常的に接触する空間を生み出しました。十字軍国家を舞台とする13世紀末にまで及ぶ経験は、キリスト教圏、イスラーム圏を構成する国々や人々に、軍事や政治・外交、信仰や思想、交易や人・物資の移動について、新たな局面をもたらしました。

本巻では、普遍帝国の崩壊から巨大な信仰圏が形成されていく過程、巨大な信仰圏の対峙・接触・相剋が生み出す力学とその帰結、統治理念や政治思想、社会制度や文化といったすべてが「信仰」へと回収されていく社会のありようを追究するなかから、「中世」と呼ばれてきた時代の特質を浮かび上がらせることを目指します。
著者略歴
千葉 敏之(チバ トシユキ chiba toshiyuki)
タイトルヨミ
カナ:センヒャクハチジュウナナネンキョダイシンコウケンノシュツゲン
ローマ字:senhyakuhachijuunananenkyodaishinkoukennoshutsugen

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