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定価:3,300円(3,000円+税)
判型:四六
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内容紹介
中国で改革開放政策が開始されてから40年。この路線下、2000年以降の農村社会が大きく様変わりを果たしている。本書は新たな構造変動下にある社会的性格を再考し、そこに生きる人びとの生活や生存の論理を探究。地域の自主性や自律性の立ち上がりを考察する。
目次
刊行のことば[首藤明和]
はじめに 構造変動下にある中国の村をとらえるための課題[南裕子]
1.本書のねらい
2.中国農村部の構造変動の諸相
2-1 村の領域の変化
2-2 村と郷鎮政府の関係の変化
2-3 村の常住人口の構造変化
3.変動のとらえ方
4.本書の課題と構成
4-1 本書の課題
4-2 本書の構成
第一部 激変する村の底流にひそむ力とその可能性
第1章 アウトロー的行為の正しさを支える中国生民の正当性論理――天津市武清区X村の団地移転を事例として[閻美芳]
1.不条理を生きる農民の正当性主張
2.団地移転の不条理
3.農民を団地に移転させる「団地移転プロジェクト」
3-1 村の概況
3-2 X村における「団地移転プロジェクト」の導入
3-3 団地移転に抵抗する2つの事例
3-4 分離戸に託した生活保障機能
4.移転しない・する村びとの生活実践
4-1 開墾農地による生活水準の向上
4-2 団地移転後の権利主張
4-3 楼房の物業管理費を払わない
5.正しい行為を支える論理
5-1 天経地義の権利
5-2 「正しい」行動を支える人びとの共通観念
6.おわりに
第2章 農村公共サービス制度の変動と村落ガバナンス――成都市の「経費進村」を事例として[陳嬰嬰・折暁葉(訳・南裕子)]
1.はじめに
2.村の公共サービスの苦境――「村の機能不全」
3.成都市の事例:「経費進村」――政府が推進する制度変化
3-1 「経費進村」の制度設計
3-2 主体は村民――民主的意思決定,監督,情報のフィードバック
4.村の対応――外からの制度の受容
4-1 公共利益の再構築
4-2 村での協議と意思決定――公正の原則とローカルな知識
4-3 「こと(事)」がもたらした村の新たなアイデンティティと参加
5.おわりに――村の公共サービス制度と村の公共秩序,公共ガバナンスの再建
第二部 観光開発に向き合う村の自律性
第3章 農家楽山村の議事にみる公の生成――宗族単姓村である北京市官地村を事例として[閻美芳]
1.村びとのプライバシーと公
2.礼治の原理と「良心」
3.宗族からみる村長の選出と評価
3-1 村の概況と宗族結合
3-2 官地村における農家楽経営と女性の活躍
3-3 宗族と村落の選挙
3-4 親子間における人物評価
3-5 農家楽経営権の賃貸料金をめぐる情報の共有
4.オープンな「公」の生成原理
5.おわりに
第4章 中国農村における地域社会の開放性と自律性――北京市郊外一山村の観光地化を事例として[南裕子]
1.はじめに
2.村の開放性と自主性,自律性をめぐる議論
2-1 村落社会論
2-2 観光開発と地域社会
2-3 本章の課題
3.官地村における地域の開かれ方
3-1 官地村概況
3-2 官地村農村ツーリズムの形成と混住化
4.官地村農村ツーリズムにかかわる主体とその相互関係
4-1 村外の主体との関係
4-2 村集団と村民,および村民同士の関係
5.官地村ツーリズムに見る地域の開き方と地域の自律性
6.おわりに
第5章 「留守」を生きる村――中国東北地域の朝鮮族村の観光化に着目して[林梅]
1.はじめに
2.少数民族としての中国朝鮮族
3.延辺朝鮮族自治州とG村の概要
4.G村の観光化の取り組み
5.「受動的立場」と「主導的立場」の関係
5-1 観光資源化とその「正統性」
5-2 担い手としての「他者」
5-3 朝鮮族の「よそ者」
5-4 村の有力者
6.おわりに
第三部 人口流動化の中の村の存続戦略
第6章 「対立」から「融合」と「管理」へ――流動人口のネットワークをめぐる流入地での戦略[陸麗君]
1.問題意識
2.先行研究について
2-1 概念の整理
2-2 流動人口の社会融合についての先行研究
2-3 流動人口と同郷的ネットワーク
3.調査地の概況
4.Z鎮流動人口の社会融合と同郷的ネットワーク
4-1 圧力団体――労災、賃金に関するトラブルにおける同郷的ネットワークの役割
4-2 「新旧Z鎮人和諧聯誼会」の設立――社会融合促進の試み
5.流動人口への総合サービス
6.おわりに
第7章 中国都市にみる「村」社会と民間信仰――深センの「城中村」を中心に[連興檳]
1.圧縮された都市化とその影響
2.城中村の誕生――深センの農村都市化を事例に
2-1 城中村の特徴
2-2 深センからみた「村」社会の形成
3.村社会における民間信仰の意味――「宗族信仰」と「神明信仰」を中心に
3-1 宗族信仰
3-2 神明信仰
4.都市における「村」社会の現状――深センのSG村を事例に
4-1 SG村の概況
4-2 SG村の伝統的建築
5.「村」社会にみる民間信仰の変容――SG村の祠堂と廟を中心に
5-1 SG村の祠堂と宗族信仰
5-2 SG村の廟と神明信仰
6.おわりに――都市部の「村」社会は終焉を迎えたか
おわりに――「生成する村」の視点からとらえる中国の村[閻美芳・南裕子]
1.なぜ今,中国の農村にフォーカスするのか
2.「尺蠖の屈め」によって対応する中国農村
3.「生成する村」
3-1 研究史との対話
3-2 「生成する村」の平常時を支えるもの
3-3 社会主義体制下の「生成する村」
4.おわりに――「生成する村」から見る中国村落の今後
あとがき
索引
はじめに 構造変動下にある中国の村をとらえるための課題[南裕子]
1.本書のねらい
2.中国農村部の構造変動の諸相
2-1 村の領域の変化
2-2 村と郷鎮政府の関係の変化
2-3 村の常住人口の構造変化
3.変動のとらえ方
4.本書の課題と構成
4-1 本書の課題
4-2 本書の構成
第一部 激変する村の底流にひそむ力とその可能性
第1章 アウトロー的行為の正しさを支える中国生民の正当性論理――天津市武清区X村の団地移転を事例として[閻美芳]
1.不条理を生きる農民の正当性主張
2.団地移転の不条理
3.農民を団地に移転させる「団地移転プロジェクト」
3-1 村の概況
3-2 X村における「団地移転プロジェクト」の導入
3-3 団地移転に抵抗する2つの事例
3-4 分離戸に託した生活保障機能
4.移転しない・する村びとの生活実践
4-1 開墾農地による生活水準の向上
4-2 団地移転後の権利主張
4-3 楼房の物業管理費を払わない
5.正しい行為を支える論理
5-1 天経地義の権利
5-2 「正しい」行動を支える人びとの共通観念
6.おわりに
第2章 農村公共サービス制度の変動と村落ガバナンス――成都市の「経費進村」を事例として[陳嬰嬰・折暁葉(訳・南裕子)]
1.はじめに
2.村の公共サービスの苦境――「村の機能不全」
3.成都市の事例:「経費進村」――政府が推進する制度変化
3-1 「経費進村」の制度設計
3-2 主体は村民――民主的意思決定,監督,情報のフィードバック
4.村の対応――外からの制度の受容
4-1 公共利益の再構築
4-2 村での協議と意思決定――公正の原則とローカルな知識
4-3 「こと(事)」がもたらした村の新たなアイデンティティと参加
5.おわりに――村の公共サービス制度と村の公共秩序,公共ガバナンスの再建
第二部 観光開発に向き合う村の自律性
第3章 農家楽山村の議事にみる公の生成――宗族単姓村である北京市官地村を事例として[閻美芳]
1.村びとのプライバシーと公
2.礼治の原理と「良心」
3.宗族からみる村長の選出と評価
3-1 村の概況と宗族結合
3-2 官地村における農家楽経営と女性の活躍
3-3 宗族と村落の選挙
3-4 親子間における人物評価
3-5 農家楽経営権の賃貸料金をめぐる情報の共有
4.オープンな「公」の生成原理
5.おわりに
第4章 中国農村における地域社会の開放性と自律性――北京市郊外一山村の観光地化を事例として[南裕子]
1.はじめに
2.村の開放性と自主性,自律性をめぐる議論
2-1 村落社会論
2-2 観光開発と地域社会
2-3 本章の課題
3.官地村における地域の開かれ方
3-1 官地村概況
3-2 官地村農村ツーリズムの形成と混住化
4.官地村農村ツーリズムにかかわる主体とその相互関係
4-1 村外の主体との関係
4-2 村集団と村民,および村民同士の関係
5.官地村ツーリズムに見る地域の開き方と地域の自律性
6.おわりに
第5章 「留守」を生きる村――中国東北地域の朝鮮族村の観光化に着目して[林梅]
1.はじめに
2.少数民族としての中国朝鮮族
3.延辺朝鮮族自治州とG村の概要
4.G村の観光化の取り組み
5.「受動的立場」と「主導的立場」の関係
5-1 観光資源化とその「正統性」
5-2 担い手としての「他者」
5-3 朝鮮族の「よそ者」
5-4 村の有力者
6.おわりに
第三部 人口流動化の中の村の存続戦略
第6章 「対立」から「融合」と「管理」へ――流動人口のネットワークをめぐる流入地での戦略[陸麗君]
1.問題意識
2.先行研究について
2-1 概念の整理
2-2 流動人口の社会融合についての先行研究
2-3 流動人口と同郷的ネットワーク
3.調査地の概況
4.Z鎮流動人口の社会融合と同郷的ネットワーク
4-1 圧力団体――労災、賃金に関するトラブルにおける同郷的ネットワークの役割
4-2 「新旧Z鎮人和諧聯誼会」の設立――社会融合促進の試み
5.流動人口への総合サービス
6.おわりに
第7章 中国都市にみる「村」社会と民間信仰――深センの「城中村」を中心に[連興檳]
1.圧縮された都市化とその影響
2.城中村の誕生――深センの農村都市化を事例に
2-1 城中村の特徴
2-2 深センからみた「村」社会の形成
3.村社会における民間信仰の意味――「宗族信仰」と「神明信仰」を中心に
3-1 宗族信仰
3-2 神明信仰
4.都市における「村」社会の現状――深センのSG村を事例に
4-1 SG村の概況
4-2 SG村の伝統的建築
5.「村」社会にみる民間信仰の変容――SG村の祠堂と廟を中心に
5-1 SG村の祠堂と宗族信仰
5-2 SG村の廟と神明信仰
6.おわりに――都市部の「村」社会は終焉を迎えたか
おわりに――「生成する村」の視点からとらえる中国の村[閻美芳・南裕子]
1.なぜ今,中国の農村にフォーカスするのか
2.「尺蠖の屈め」によって対応する中国農村
3.「生成する村」
3-1 研究史との対話
3-2 「生成する村」の平常時を支えるもの
3-3 社会主義体制下の「生成する村」
4.おわりに――「生成する村」から見る中国村落の今後
あとがき
索引
著者略歴
南 裕子(ミナミ ユウコ minami yuuko)
一橋大学大学院経済学研究科准教授。
慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学、修士(社会学)。
専門:中国の都市・農村の住民自治・ガバナンス論,農村開発論。
主な業績:「現代中国における農村女性の個人化とジェンダー問題」(井川ちとせ・中山徹編著『個人的なことと政治的なこと』彩流社,2017年)。「一般党員の意識・行動から見る中国共産党の執政能力――上海市民調査から」(菱田雅晴編著『中国共産党のサバイバル戦略』三和書房,2012年)。
閻 美芳(ヤン メイファン yan meifan)
宇都宮大学雑草と里山の科学教育研究センター講師。
早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了,博士(人間科学)。
専門:農村社会学,環境社会学。
主な業績:「ムラ入り賦課金をめぐる『共在性』の論理――茨城県石岡市Ⅹ地区におけるよそ者の分離/包摂の事例から」(鳥越皓之・足立重和・金菱清編著『生活環境主義のコミュニティ分析――環境社会学のアプローチ』ミネルヴァ書房,2018年)。「北京オリンピックを契機とした有機農業の伸長と村の対応」(松村和則・石岡丈昇・村田周祐共編『「開発とスポーツ」の社会学――開発主義を超えて』南窓社,2014年)。
タイトルヨミ
カナ:チュウゴクノムラヲトイナオス
ローマ字:chuugokunomuraotoinaosu
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